昔ながらの商品をリニューアルするお話 #4 ~小児整形外科の先生に取材させてもらったら、ファンになってしまった~ 編
こんにちは、オオニシ体育株式会社の渡邊と申します。弊社の商品巧技台は1953年生まれ67歳ですが、同年代はミルキーさんとかベビースターラーメンさんとかだそうです。三ツ矢サイダーさんは66年先輩だそう。
#目指せ100歳
さて今回は前回お話しました通り、取材記事風にまとめていきます!
この取材を通して、リニューアルへのヒントを探していきたいと思います!
第一回目のインタビューは、小児整形外科専門ドクターの中川将吾さんです!
【プロフィール】中川将吾
小児整形外科医 医学博士
茨城県内のリハビリ病院で医師として勤務する傍ら、子どもから大人までが遊びに来る感覚で、体を動かしたり、正しい知識を学んだり、時にはくつろいだり、そんな夢のクリニックを建設予定
経歴・クリニック建設の経緯
ー 中川さんはこれまで例にない新しいクリニックを建設予定とのことですが、なぜ建設しようと考えたのかをお聞かせください。
中川さん:そもそも学生の頃からこどもを対象とした治療をしたいという気持ちがありました。それで研修先も小児整形外科の有名な先生のいるところを選びました。その後しばらくしてから滋賀県の小児病院へ勉強に行ったことが本格的なスタートとなりました。
これまでは悪いところは手術して治すと言うことが当たり前だと思っていました。でも手術をすることで、できていたことができなくなることもあります。
そして、どうやら手術がしやすくなるための、その前段階の準備が大切なのではということに気づき始めました。
リハビリテーションを正しく行うことで、手術の難易度を下げたり、術後の経過を良くしたり、手術を行うヵ所を減らしたりできる可能性があります。そこから予防リハビリテーションという分野に活動をシフトしていきました。
その頃、大学院でこどものリハビリを助けるHALというロボットスーツの研究に携わります。これは脳性麻痺などの立ち上がって歩くことのできない子を、このHALがサポートして歩くことを可能にします。
その効果を実際に目にして、「この子たちは身体の動かし方を知らなかったからできなかったのだ」ということに気付きました。
身体の動かし方を知ることができる施設がこどもたちにとっては必要で、それも動きのやり方自体を教えるのではなく、自分で考え、行動し、自らの身体を動かしたくなる環境を作りたい。そう思うようになりました。
障害を持っている子だけではなく、自由に遊べる環境が減っている現代のこどもたちにとっても、同じことが言えると思います。
そんな環境を作るために、巧技台だったり他の遊具が役に立つのではと考えています。
今は医療の枠組みの中で、身体を動かしたり、色んな動きを引き出す治療を受けられるクリニックの建設準備をしています。
このクリニックでは、悪くなるのを待って治療するのではなく、クリニック内に遊びながら身体を動かして予防できる仕組みも一緒に作っています。
こどもが通いたくなる環境を作る。するとその家族も一緒に体を動かす機会ができるし、くつろいだり、リフレッシュしたり。みんなが通いやすくなる場所を作りたいと思っています。
そして、その中には正しい発達の手助けをするための学びの仕組みも取り入れます。
正しく評価のできる専門家が両親へ正しい知識を伝える。そういった意味でもこの施設が’必要だと思っています。
これには人(専門家)が大事なので、現在noteで毎日記事を書いて、同じ思いの人を集める活動をしています。
巧技台の活用方法
ー 中川さんは以前から巧技台を導入したいと仰ってくださっていました。この施設ではどのように活用される予定ですか?
中川さん:色んな動作が確認できるので、つかむ、登る、渡るなどのコースで遊んでいる様子を見て、どの動きの段階でつまずいてしまっているのかを確認できるのかなと思っています。
ー 他に何かあったら良いなと思う機能やご要望などはありますか?
巧技台を固定するためにあえて大きなボルトがあったり、パズルのようになっていたりするとおもしろそうですね。
施設内のデザイン性について
ー 施設内に置く備品のデザインはどのようなことに配慮しますか?
中川さん:施設によって違うと思いますが、まわりとの調和が大事かなとは思います。デザインを1個に決めてしまうと難しいかもしれませんね。
ー 例えば、こどもが落ち着くような色など、色に求める効果は意識しますか?また、弱視の子などに優しいユニバーサルデザインであることは意識されますか?
中川さん:これも施設によるとはおもいますが、全体的なデザインで居心地が良いとかそういうことかなと思っています。
ユニバーサルデザインについては、そこを意識しすぎると、その場で出来ても他の場所で出来ない環境になってしまうこともあります。
例えば、リハビリに来たときだけ優秀な装具があるけど、実生活ではその能力が発揮できなかったり。苦手なことがあるのなら、他の感覚を鍛えてどう補っていくかも重要だと思っています。
必要以上に特別感を出すのではなく、みんなと一緒で良いのではと思います。
ー みんなと一緒ということは、障害の有無関係なくだれもが来れるクリニックにするのでしょうか?
中川さん:今のところ誰でも来れるところにしようと考えています。あまりにもたくさん来たらまた考えます。笑
あくまでも親子で来るような設計にして、家庭をトータルで診れる設計にはしたいと考えています。
子どもの”遊び”に関して
ー 子どもの”遊び”にとって大事なことはどんなことだと思いますか?
中川さん:子どもの発達には好奇心が必要です。好奇心があるから挑戦する。何もないところでは好奇心も生まれませんし、その場所になにかがあれば子どもは動きだします。見たことないものや変化があったりすると子どもたちは勝手に遊びます。いつもと違う環境や場所を取り入れることが大事なのではと思います。
発達の事を考えると、初めは偶然できた。それを繰り替えしできるようになった。応用して他のこともできた。結果を予測してまったく違ったこともできた。というように進んでいきます。
巧技台で例えると、繰り返しできるような体験をさせてあげたり、組み替えて難易度をあげたり、自分で遊ぶものを決めて挑戦してみるなど段階を踏んで遊ぶと良いかもしれませんね。
理想とする環境
ー 病院などのリハビリ室は殺風景な印象がありますが、理想とする環境はどんなものがありますか?
中川さん:最近は徐々に変わってきてはいますが、まだまだ病院の中は刺激も少なく、決まったスケジュールで動かなくてはならないなど、どうしても効率を求める作りになってしまっていますよね。
病院にいてリハビリしてた方が良いのではと思うかもしれませんが、いかに刺激がないかというのは感じます。
病院内で、自分で選択するという機会がないと刺激にはつながらないですし、まだまだ受け身の姿勢になってしまうことが多いですね。
難しいとは思いますが、特にリハビリ病院では、部屋の中にベッドしかない環境ではなく、遊ぶスペースがあったり、ゴロゴロしたり、自分で選んで過ごせるそんな空間があっても良いのかなとは思います。
これからの課題
ー 最後に、現在の子どもを取り巻く環境の課題や、環境がどうあるべきかなどお聞かせください。
中川さん:今の世の中は満たされているはずなのに、なぜか環境が改善されていなく、逆に子育てへの不安が強まっている違和感を感じます。
当たり前がずれてきていたり、情報過多になっていたり。こうした方が良いが多すぎてストレスになっているのかなと思っています。
そういった意味でも、子どもだけ、親だけではなく、家族まとめてのサポートが出来、正しい知識(必要以上に考えなくても良いということも含め)が学べる施設が必要だと思います。
しかし、これひとつで解決できるわけではありませんし、自分だけがこれを実践しても、知っている人にしか伝えられないという問題は出てきます。
他と協力したり、この施設の存在を広めたりする仕組みが必要ですね。ゆくゆくは多店舗展開なども考えています。
ー 色んな問題を解決できる窓口になったり、自ら実践する。そういった新しいモデルを目指していくということでしょうか?
中川さん:そうですね。できるのかな~?笑
ー 楽しみにしています!笑 本日は貴重なお時間ありがとうございました。
今回の気付き&学び
今回のお話の中で、巧技台のリニューアルに活かせることがたくさんありましたがその中でも、
・わざと固定するためのボルトを大きくしたり、パズルのようにしてみる。
・ユニバーサルデザインが必ずしもその子の為になるとは限らない。
・施設内環境との調和。
・「刺激」、つまり「自分で選択する機会」の創出。
この辺りを組み込んでいきたいですね。どんなものになるのか楽しみです。
改めて、本当に素敵な想いを聞かせていただきました。子どもの為に、家族の為に、スタッフの為にと設計されたクリニック。期待せずにはいられません。なにより、中川先生自身のワクワクが伝わり、とっても素敵な方だなと改めて感じました。
結論、ただのファンになりました。笑 これからも応援しています!
そして、次回も取材記事になります。
ご協力いただいたのは、医療えほんラボのメンバーの皆様と、とっても魅力的な看護師さん2名です!
お楽しみに~
オオニシ体育株式会社
渡邊 駿介
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