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NHKラジオ『ふんわり』 30th January 2025-はじめてのネオアコ
NHKラジオR1の午前の番組が『ふんわり』なんですけど、木曜日のレギュラーは六角精児さんで、酒呑みの鉄道オタク(自分もそれを引きずっていますけどね)という勝手に持っていたイメージを軽く覆すような選曲やゲストがしばしばあり、その都度見直されながら、なるべく聴くようにしています
はっぴぃえんどや周辺の人たちと交流があったとか、それを示すようにパイドパイパーハウスの長門芳郎さんが時折りゲストに来ていたりという具合で
先週の放送で昨日1月30日はネオアコの特集と知り、とてもニッチであまり知られていないジャンルではあるんだけど、自分にとっては宝物のように聴いてきた音楽なので、こんなメジャーな番組でやるということで期待しかありませんでしたよ
SNSで繋がっている、海外からの方も含めて若い人たちも頻繁に訪れるアナログレコード専門店さんに「今時ネオアコはどんな感じですか」と尋ねたことがあるんですけど、「あんまり(盛り上がってない)です」というお答えをもらい、それはわからなくもないよなぁと感じたりしてきたので…
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ネオアコって何?と言われたならば、自分なら世代を超えてわかりやすいかなと感じるこの人たちのこのアルバムのような音楽と提示するのが一番早いと思ってます
フリッパーズ・ギターが小山田圭吾さんと小沢健二さんの二人組になり日本語で歌い出す前のメジャーデビューのファーストアルバムですね
普段から音楽好き同士としていろいろ話しながらも、何故か連れだって出かけることもせず、なんとなく必要以上に踏み込まない関係にいた親友から、「ギターの上手い東大生がいるよ」と教えてもらって一緒に観に行ったのが、メジャーデビューが決まりフリッパーズ・ギターに改名する前のロリポップ・ソニックで、日本人でネオアコを感じさせるバンドが出てきたんだ!と一発で惚れ込みました
自分が彼らのライブに通い始めた頃は六本木インクスティックというハコで演っていましたが、ステージの途中で曲を止めてまでギターのチューニングを合わせ直す小沢さんの拘り具合とか今もよく覚えてます
(昨年の『LIFE』再現ライブに感じたものとも通じるようで、ビッグネームになっても変わってないんだなぁと嬉しくなったりしてました)
お二人がソロになってからは「もーいいか」と感じて追いかけるのは止めましたけど、『LIFE』で大人気アイドルにもなられたオザケンさんが、ライブハウスで観た頃の寡黙な印象とは全然違って音楽番組などに出演してサービス満点で楽しげに話すのも好ましい感じしかなかったです
アレはパクリだよと揶揄する声も当時からありましたけど、著作権の問題で変わっていく以前のヒップホップの根幹にあったサンプリングの応用だよねと、それも「クラブに入り浸っていたなら当然やるよねー」とわかる感覚でした
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『ふんわり』はほぼ午前いっぱいを使う長丁場の番組で、午前九時代には六角さんも通過してきているパブロックが特集されて、なかなか良き下慣らしやなーと思いながら聴いてました
ネオアコは様々な表現を生み出した🇬🇧のポスト・パンクの一つですが、パブロックは同じ🇬🇧のプレ・パンクのように捉えていたので
パブロックならば、自分ならばこの人が一番「らしい」と感じるんですけど、
パブロックなるものをはじめて聴く方への配慮なのだろうと思いながらも、エルヴィス・コステロまでここに含めてしまうんだーとか、このコーナーもいろいろ楽しませてもらいました
他の選曲はウィルコ・ジョンソンのいたDr. FeelgoodとBrinsley Schwarzに在籍していたニック・ロウ関連でしたが、自分は🇺🇸のヴァン・ダイク・パークスとほぼ同じ感覚の後追いでこんなのから聴き始めたので、
「へぇー」と教えていただいた感じです
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ニュースを挟んで午前十時から待望のネオアコ特集が始まり、六角さん自身はまったく素通りしてきたあたりの時期なので、ゲストに北爪啓史さんを迎えての選曲からなる構成で、一曲目はアレかコレのどっちかやろと思っていたら、やっぱりコレでしたねー
自分がネオアコという音楽があるんだと知ったのもアズテック・カメラが最初でしたから納得というよりなく
これぞという感じですし、フロントメンバーのロディ・フレイムがまだ20歳の時の楽曲なのにとても完成度が高くて、それは当然ですよねと
で、次は何?とワクワクが止まらない中で、
ブルーベルズと来ました
掘り出すとキリがない中で、あくまで「はじめてのネオアコ」という特集ならば、どうしてもわかりやすい感じになるよなぁと懐かしく聴かせてもらって、でもこの線がネオアコのメインではなかったよねとも思いながら
三番目に流れてきたのが自分にとってのオール・タイム・ベストであり続けてるペイル・ファウンテンズです
ボーカル担当でフロントマンのマイケル・ヘッドには憧れしかなくて、まさしく自分にとってのアイドルでした
その前のアイドルがJAPANのドラムス担当で坂本龍一さんとも終生の仲にあったデビッド・シルビアンの弟さんのスティーヴ・ジャンセンだったんですけど…、どちらも髪型を真似したくて美容師さんに依頼すると「頭の形も髪質も違うから無理!」と言われてしまったりとかありましたよ🙂
ペイル・ファウンテンズならば、自分はデビューアルバムからのシングルカットだったこれが一番好きなんですけど、曲自体もとてもイイし、MVの世界観にも痺れるほどお洒落な感じがいたしました
VWのヴァナゴンみたいなタイプのクルマが好きになったのもこのMVの影響とも言えるくらい、音楽だけでなくて、ファッションや佇まいや何もかもお手本にしてましたし、今もその影響は残っているとも感じるくらいです
後半の一曲目は、コレも絶対欠かせないだろうというこちらで、
聴き直すたびにEBTGはなぜか冬に似合うんだよなぁとか、その後長く続くだけの大人びたセンスがあったよなぁとか感じさせてくれます
ボーカルのトレイシー・ソーンと組んでいたベン・ワットは、後にクラブDJとしても活躍して「ドラムンベースは現在のボサノヴァだ」という名言を残しながら、この大名曲をEBTGの名義でリリースしています
狭義のネオアコは割と早めに終わるムーブメントだったんですけど、そのアティテュードを継承する人たちが様々に分かれていき、自分もリアルタイムで大好きだったこのバンドを、そのあとに選んでこられ、
特集後半の一曲に何をもってくるかというのは、まさに選曲の妙だよねーと思いながら、イントロのキラキラ感満載のギターがやっぱりイイよなぁと浸ってました
北爪さんはベル・アンド・セバスチャンの名前も出しておられましたけど、自分の好みも「ベルセバ」と比べたなら圧倒的にこちらです
ここにもチラッと書いたんですけど、フリッパーズ・ギターでメジャーデビューして活躍された小山田さんや小沢さんはもちろん、サバービアの橋本徹さんも絶対当時はネオアコに夢中になっていたよねと感じるんですけど…
さすがに北爪さんは最後の一曲を流す前に、的確にフリッパーズの名前を出して、「少し違うんですけど」と前置きしてからスピッツの『ロビンソン』を軽く掛けます
確かこの人たちは本来もっとロック志向だったのが、当時のプロデューサーさんからメジャーで生き残るためのアドバイスを素直に聞いてこの大名曲を残したと側聞しています
今に至るまで彼らの楽曲の基本にある感覚だとも感じますけど、リアルタイムでラジオから流れてくるのを聴きながら「これはこれでイイよなぁ」と思いながらも、(本人たちもわかっているはずと感じながら)アコースティックな楽器を使っていてもここにある感じはネオアコじゃないよねとしながらも、多感な歳頃にポスト・パンクを聴いてきた感覚をずーっと自らの音楽に盛り込んできたよねと共感する曲ばかりでしたから、「はじめてのネオアコ」特集で名前を出しても全然違和感は無いです
そうした解説を簡潔に入れてから、1980年代のネオアコに出会った人たちが、今度は自ら作り手となっていく1990年代のミュージシャンたちにインスパイアされた音楽を奏でる、現在20代のメンバーからなるnagakumoで最後のシメ
北爪さんによると本人たちはネオ・ネオアコだと言っていると説明しておられましたが、スピッツの『ロビンソン』には無いネオアコの感覚を確かに感じさせながらも、今時の感覚でアップデートされているセンスはもう素晴らしい👍としか言えません
nagakumoさんがインディペンデントで活動していることを、最初にネオアコースティックな音楽を演り始めた人たちが共通して持っていたアティテュードだったポスト・パンクのDIYの感覚と繋げての解説も見事でした
とにかく、昨日の『ふんわり』は最高過ぎた
ネオアコ特集はこちらから、パブロック特集は次のリンクからで、聞き逃し配信は2月6日のAM10:55迄となってます
北爪啓史さんはこんな面白そうなコラムを書いたりしておられます
このnoteの下書きにはネオアコというタイトルのものもありますが、「はじめてのネオアコ」特集で一番最初に掛けるアレかコレかと想像していたアレとは、オレンジ・ジュースというバンドでした
とにかくこのイルカのジャケットが素敵すぎて、「フリッパーズ」もこのジャケットからの発想だよなぁと感じたものですし、とても重要な位置付けにあるのは間違いないにしても、残念ながら彼らは「アコースティックな楽器」を使っているわけではないので、はじめて聴くならば少しわかりにくい感じも確かにあり、アズテック・カメラで順当だなとするところです
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紹介し始めるとキリがないんですけど、ネオアコはファッションとも密接に関係していて、オルタナティブな感性を持ったスタイルで、そちら方面の現役業界人の人たちにも多大な影響を与えているスタイル・カウンシルのデビュー直後くらいのこの辺も、ネオアコ好きなら必ず通っているはずです
ネオアコが一旦終わった後にいろいろ分かれていく中でアノラック系と呼ばれるグループが出てくるんですけど、その代表格でニルヴァーナのカート・コバーンも影響を受けたと言っていたのがパステルズ
ロリポップ・ソニックからの持ち曲で、フリッパーズ・ギターの1stにも収録されたこの曲は、彼らに捧げたオマージュです