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減税の話が聞こえてきた (?)ので、あらためて所得税の仕組みを解説!

(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ↓)
https://voicy.jp/channel/660/642079
※大河内薫マネリテラジオVoicy 2023年10月24日放送より

どうも、大河内薫です。
今日のテーマは所得税です。
所得税減税!みたいなニュースが永田町方面から聞こえてきました。
「1年間限定で所得税減税」に収まるんじゃないかというニュースですね。

今回はそのニュースの前に、所得税の仕組みを説明しようと思います。
所得税は収入にかかる税金、ということはみなさん理解していることでしょう。
でもその計算体系を説明できる方、完全に計算できる方はいないと思うんです。
そこまでする必要はないですが、ざっくりこんな感じというのは覚えておいてほしいです。


◾️所得税の仕組み

所得税の仕組みは、基本は収入がスタートです。
収入からいろいろなものを引いて、最後に残ったものに税率をかける。
これがざっくりとした計算体系です。

いろんなものを引くので、どんどんどんどん数字が小さくなっていきます。
そしてその小さくなった数字に税率をかけるので、この引く部分を増やせば増やすほど節税になるわけです。(これが節税の仕組みです。)

◾️引く部分は大きく分けて2つ

収入といえば日本人に馴染みのあるものは給料ですので、給料をスタートとして考えていきましょう。

給料をスタートとして所得税を考えていくときに、何が引けるか?
給料の場合は引けるものは大きく2つです。
「給料所得控除」というものと「各種所得控除(15種類)」というものです。

給料所得控除は、例えば給料300万円だと給料所得控除は100万円くらいです。いきなり100万円くらい引けるんです。これは自動で引けるものだと覚えておいてください。
これは何なのか?…フリーランス個人事業主で例えると「みなし経費」です。

フリーランス個人事業主には経費があります。
自分の事業をしていくために支払った出費は経費として引くことができるんです。
でも会社から出る給料には経費という概念はないですよね。会社の経費を立て替えることはあっても、それが従業員の税金を安くすることはありません。
会社に行くためのスーツや靴、バッグを買っても税金は安くならない。
でも会社員も会社に行くために必要なものを揃えているので、みなし経費のような存在として給与所得控除があると覚えておくと、理解が進むのではないかと思います。
 
つまり給与所得控除は、給料をもらっている人はみんな引けるものなんです。
「給与所得控除」と検索すると国税庁のホームページが出てくるので、そこに自分の年間の額面総額、給料額面総額を入力すると、給与所得控除やそれを引いた後の金額が自動計算されますから、気になる方はぜひ確認してみてください。

基準として覚えておくといいのは「年間300万円の給料だと給与所得控除は大体100万円くらい」というところです。

◾️所得税を計算すると

そこから各種所得控除(基礎控除や配偶者控除、扶養控除とか15種類)を引いて、年間300万円の給料はどれぐらいの所得税になるかというと…なんと5万円くらいなんです。年間で5万円くらい。
だから一般的な収入の方、300〜500万円くらいだったら、所得税は全然払っていません。
当然所得税は累進課税といって、所得が上がれば上がるほど税率は高くなっていくので、かなり負担をしている人もいます。でも一般的な収入であれば所得税はほとんど払っていないんです。

◾️さらにそこから天引きされているもの

所得税をほとんど払っていないなら、何を払ってるかというと…社会保険料です。
年間300万円の給与だと大体15%、45万円くらいです。
ちなみに住民税だと10万円くらいですね。

これくらいささっと計算できるのは難しいけど、こういう構造であるいうことは覚えておいて損はないんじゃないかなと思います。

◾️年末調整は「節税イベント」

そして会社員の場合は、所得税は会社が計算してくれます。それが年末調整です。
年末調整は、会社が所得税を計算してくれるイベントです。
でも年末調整のための情報を持っているのは従業員です。年末調整の一番のポイントはここですね。
税金を計算する人と、税金を計算する情報を持っている人、これが分かれているんです。

会社は従業員から情報が出てこないと、会社が持っている情報だけで税金を計算するしかありません。
配偶者がいるのかいないのか、扶養している家族がいるのかいないのか。
この情報がないと引くものが引けないんです。
年末調整は「節税イベント」だと捉えて、会社に税金を計算するための資料を出しましょう。
そういう意識で年末調整に向かうと、年末調整めんどくさいな〜っていうマインドも少しは払拭されるのではないかなと思います。

◾️税率の勘違い

税率は、所得が増えれば増えるほど上がっていきますが、ちょっと勘違いしている人が多いんです。計算方法がちょっと複雑なんですよね。

まず、課税所得金額という言葉があります。
課税所得金額とは、給料からいろいろ引き切った最後の金額のことです。

その課税所得金額は、
195万円以下なら税率5%で
195万円を超えて330万円以下なら税率10%です。

この時、課税所得金額が300万円の人の税金を計算してくださいって言うと、大体みなさん300万円に10%をかけてしまいます。残念ながらこれが大きな間違いです。

195万円以下は5%、これは確定なんです。
300万円の人は、195万円までは5%で195万円を超えた残りの105万円だけが税率10%になるんです。
これが累進課税です。段階的に上がっていくんです。全体がいきなりその税率になるわけじゃない、ということなんです。

なぜこんな仕組みになっているかというと…
課税所得金額が195万円だと税率は5%ですよね。
でも196万円で全部10%になったら、195万円の人より手取りが減ってしまいます。それはあってはならないよねということなんです。
1円でも多く稼いだらちゃんと手残りも多く残るべき、ということで税金はこのような累進課税になっています。

一方で社会保険は累進課税ではないので、いきなり社会保険が発生します。
「130万円の壁」なんて言われていますよね。
129万円と130万円では129万円の方が手取りが多くなってしまう。でも税金ではそういうことはちゃんと排除されています。
社会保険料もそういう意味では段階的に発生していくような仕組みにした方がいいのかな、なんて個人的には思っています。

◾️まとめ

所得税の印象は変わりましたか?
一番言いたかったところは、一般的な収入の方は実は所得税をほとんど払っていませんというところなんです。

つまり冒頭で話した、所得税減税の話が永田町方面から聞こえてくるといった話は果たして所得税減税なのか?というところです。
だって国民のほとんどが所得税をそんなに払ってないわけだから。年間5万円しか払ってないわけだからね。その5万円を一律ゼロにするんですかという話です。しかも期間は1年間。
給付金よりも減税という形を取ってくれた方がそれはいいんだけれど、もう少し考える余地があると思います。

所得税減税よりも消費税に足を踏み込んでほしいなというのが個人的な意見です。 

◾️お知らせ

現在、Voicyプレミアム放送は土日に更新しています。
また、Voicyプレミアム放送では月1でセミナーを行っています。

今月のセミナーは20日の金曜日でした。
テーマは「インボイス制度」です。

インボイス制度は、消費税との絡みで複雑化してしまいました。
では僕たちはどのように考えればいいのか。当然、個人事業主やフリーランス、経営者、経理部や管理部の方々は諸に影響がありますが、間接的にも専業主婦の方そしてサラリーマンの方にもいろいろ影響があります。
知っておいて損はないよ、知っておくべきことだよ、という話をしていますので、ぜひぜひ気になる方はプレミアムリスナーにご参加ください。 

<先週の放送>
10月21日(土) インボイス制度セミナー(アーカイブ)
10月22日(日) 定年退職した翌年の住民税が多額になるので、〇〇で対応する(コメント返し)

日曜日はコメント返しをやっています。
たくさんの質問や意見をいただけて本当にありがたいです。僕も皆さんのコメントで成長できる部分がありますので、プレミアムリスナーに入った方はたくさんコメントをしていただけたらなと思っております。

今日は高知県の小学校でお金の授業をしてきます。
以前、お金の教育というのは砂漠に水を撒くような行為だと、ある先生の言葉を紹介したことありますが、こういう一歩一歩の積み重ねが大事だと思っています。本日も気合を入れて子供たちのために授業をしていきますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは本日も張り切っていきましょう。

それでは、素敵な1日を。
最後まで読んでくれたあなたに、幸あれ✨じゃあね!

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マネリテDAO~信頼できる仲間とお金の話をしよう〜
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