光る企画は、一見無駄と思える作業から生まれる
これまで様々なテーマで、企画づくりを行ってきました。
CMや広告の企画づくり。
新商品の企画づくり。
イベントの企画づくりなど。
それらの企画づくりを振り返り、あらためて思うことがあります。
それは、「企画の質を高めるには、一見無駄と思える作業が必要だ」ということです。
ご存じでしょうか。
1つのCMをつくるために、CMプランナーたちは、何十何百と物語の企画アイデアを考えます。
最終的には1つのストーリーがあればよいわけです。
しかし、その1つの質を高めるため、ありとあらゆる方向から、まずはアイデアを考えてみる。
「質より量」を意識しながら、数をたくさん出してみる。
そしてたくさん案を考えた後に、「より良い」と思える方向性を絞り込んでいく。
そのような作業を行っています。
一見無駄とも思えるこの作業。
しかしこの作業があるからこそ、自信を持ってクライアント(依頼主)にCM企画の提案が行えるのです。
そしてキラリと光るCM企画が生まれるのです。
◎論文執筆の心掛け
私は過去に2度、日本広告業協会が主催する懸賞論文に応募しました。
そして2度とも、銀賞を受賞しました。
応募するのは、広告業界で働く猛者たちです。
その中で賞を取るため、私には心がけていたものがありました。
それは、「広げて絞る」という原稿執筆の進め方です。
懸賞論文の文字数は、12000文字になります。
「広げて絞る」という進め方を意識した私は、この文字数の約3倍にあたる35000字分の原稿素材をつくることにしました。
考えたことや伝えたいこと。
裏付けとなるデータや情報など。
それらをまずは徹底的に集めました。
集めきったら、その中の重要な部分だけを選び、内容をぎゅっと凝縮する。
そうすることで論旨が明確な、筋肉質の文章にすることができるのです。
このような進め方も、一見無駄が多い作業のように思えます。
しかしこの作業があったからこそ、説得力があり、読む人の気持ちを動かす、受賞に値する文章を書くことができたと考えています。
◎宮崎駿さんの言葉
かなり昔の話になりますが、NHKの「プロフェッショナル・仕事の流儀」という番組を見ていたら、映画監督の宮崎駿さんが、こんなことをおっしゃっていました。
「仕事に直接関係あることばかりやっていたら、仕事にならないですよ。僕の仕事のもとって、ほとんど仕事に関係ないことから出てきているから」
これが映画づくりに向き合う際に、宮崎さんが意識していることのようです。
また、「仕事に関係して、と思ってやっていないですよ。自分が面白くやっているだけで」ともおっしゃっていました。
この番組を見ながら、若かりし私は、大きなショックを受けました。
それまで仕事では、「効率が大切」「無駄はよくないもの」と考えていたからです。
しかし、宮崎さんは違いました。
直接的には関係のないものが大切だ。
それが発想や創造性を生み出す材料や原動力になる。
そのような意図の内容を話されていました。
◎たくさんため込み、その中の光るものを探す
一見無駄と思えることに取り組むこと。
そして、その取り組みを新しい発想や創造性に生かすこと。
自分の強みづくりや武器づくり。
これも、新しい発想や創造性が必要なものだと思います。
自分の中に、一見無駄と思える情報をたくさんため込んでおく。
たくさんため込んだ後、その中のキラリと光る何かを探すこと。
例えば、わくわくするもの。面白いもの。
他の人からも魅力的だと感じてもらえるもの。
そういうものを見つけ出し、1つの強い武器を育てていく。
自分ならではの個性を育んでいく。
私自身の経験を通じ、そして宮崎駿さんの言葉を通じ、そのような考え方の大切さを強く感じます。
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