太極拳が苦手
こう見えて僕はとても頭が悪い。
高校の時、毎週月曜日の朝に常用漢字テストなるものがあった。友人には全然勉強してこなかったと強がっていたが、裏ではそれなりに勉強をしていた。そのテストの合格点にとどかなかった生徒はその週の木曜日の放課後に補講がある。僕はその補講は皆勤賞だった。
補講の内容は各々が落ちたテスト範囲の勉強をし、再テストを受けられる準備ができた人からテストを受け、合格したら帰れるというものだ。
要領が悪いのかいつも最後の一人になっていた。そこで大きな問題が発生する。なぜか僕一人になると担当の先生が隣で静かに太極拳を始めだすのだ。ぎりぎり視野に入る位置で音も立てずにそれは行われる。
その瞬間から気が散って頭に漢字がなんにも入ってこなくなる。先生はそのことにふれてほしいんだろうが、僕は絶対にふれないと心に決めていた。僕がする貧乏ゆすりを見て先生はよく励ましの言葉をくれた。この貧乏ゆすりは先生が思っているようなものではないのに。
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