一日一絵: 渓谷と緑の国・ルクセンブルグ回想して一枚の水彩画に。ちょっと描きすぎかな・・・
自然の渓谷を要塞にしたルクセンブルグの街を歩いて、もう何年になるだろうか。
ユースホステルの裏側から急坂を登り切ると、城砦の上に出る。
はるか下方にゆったりと流れるアルゼット川。
ひときわ高くそびえる塔はサン・ジャン教会か。
緑の遊歩道が、川に沿って延びている。
この景色をもっと間近に見たいと思い、砲台のある岩盤の間の小路を辿った。
城砦の壁に張り付いた細い道を下って行くと、石の橋に出た。
めがね橋である。
辿って来た道を振りかえり、視線を上げると先ほどの砦が天空のかなたにある。
岩がゴツゴツとむき出し、壁を作り、ところどころに砲台の穴が見える。
300年も前に、オーストリアの兵士によって造られたと言う。
名も知らぬ鳥が、その壁を横切って飛んでいった。
アルゼット川のほとりに建つサン・ジャン教会
自然の岩盤を利用して、砲台の穴が空いており、穴の中には砲塔も見える。
どの国にも、冒険好きな若者がいるものだ。
この青年は、幅30cm城壁から、2m程先の城壁に飛び移ろうとしていた。
一歩間違えば、100m下のアルゼット川に落ちるのは必須。
「日本の忍者だって、そんな危ないことはしないから、やめときなはれ」と注意すると、
「あなたは、ジャパニーズ・ニンジャの子孫か?」と尋ねてきた。
もちろん「違う」と答えておいた。
ノートルダム寺院の大きな扉を押すと、簡単に開いた。
厳かな紳士がこちらを見て、中に入るよう手招きする。
そしてここに座れと、椅子を指さす。
その日は日曜日だったので、ミサの最中であった。
ステンドグラスの前には、司祭が説教をしている。
聖歌隊の讃美歌が、後の方から聞こえてきた。
観念して、ミサに付き合ったが、説教の意味はさっぱりわからなかった。