一日一絵:足摺岬。人はどうして岬に惹かれるのだろう?
「あなたがいつか話してくれた
岬を僕はたずねてきた
二人で行くと約束したが
今ではそれもかなわないこと
岬めぐりのバスは走る
窓に広がる青い海よ
悲しみ深く胸に沈めたら
この旅終えて街に帰ろう
(山上路夫作詞 山本コウタロー作曲)
人はどうして岬に惹かれるのだろうか?
岬の先端に立つと、大きな息を吸ってから、どこか座るところがないかと捜す。
岬と一体である大地に腰をおろすと、無限の広がりの中の自分がひどく小さく見えるが、それでいて何となくやすらぎが感じられる。
なぜだろう?
歩いて行ける最後の地点、まさに地の果てで、これから先は行けない。
身体が「ここから先はいかなくてもいい。ここが目的地だ」と感じるからだろうか。
(たまには、ここから先へと進む人もいるが・・・)
ぼんやりと岩に砕ける波を眺める。
遠くには外国船か、横文字の貨物船がゆっくりと移動している。
漁船がのどかな音を出して横切る。
その航跡のあとをカモメが追いかけている。
俺は自分自身の航跡を振りかえる。
自分の航跡に悔いはない・・・とはいえない。
嵐で転覆しそうな時もあれば、座礁した時もあった。
そんなとき、誰かが助けてくれた。
その人たちも俺より先に逝った。