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会話のむつかしさ・・・早とちり、思い込み、食い違い。小咄3編。


 勘違いというか、思い込みというか、人との会話でちんぷんかんぷんになることがある。
ウチの女房も少しずれているのか、会話の途中の食い違いで話がこじれた。

こんな小咄がある。

※ 江戸小咄 落ちた柿
 二人の男が、闇夜に柿を盗みに入った。
一人が木に登って柿を落とすと、下の男が拾うはずみに溝に落ちてしまった。
「おい、落ちた、落ちた!」
「しっ! そんなに大声を出すやつがあるか。落ちるのは当たりまえだ。だまって拾えよ」
「だって、溝に落ちたんだよ」
「そんなのは捨てておけ!」

※昭和小咄 ワルガキの尋問
 戦後まもないある地方での話。
二人の悪ガキが、柿泥棒をやって捕まってしまった。
駐在所のお巡りさんが、きつく尋問した。
「お前!なんという名前だ?」
いがぐり頭の悪ガキは、ふてくされた顔で返事する。
「こんど、いうぞ」
「なんだと! 今度じゃなく、今言わんか!」
「じゃけん、こんど、いうぞ」
「いい加減にしろ! もう一人!青ばなをたらしたやつ。お前はなんという名じゃ?」
「いま、ゆうた」
「今、言うた? 二人とも本官を馬鹿にしとるのか!」
ちょうどその時、お寺の和尚さんが通りかかり、声をかけた。
「何しとるんじゃ? 近藤雄三くんに、今勇太くん」

 ※平成小咄 ある首相の英会話
クリントン大統領が来日したときのこと。
迎える日本の首相は、外務省の役人から英会話を教わった。
「まず、大統領に会ったとき、How are you? と挨拶してください。
そうすると大統領は、Fine, thank you. And you? と言うだろうから、首相は Me, too. と言ってください」
 いざそのときになって、緊張した首相は、How are you? というところを Who are you?
と言ってしまった。
 クリントンは、すばやくユーモアで切り返し、 
I am a husband of Hillary Clinton.  と、答えた。
すると森首相は、 Me, too. と言ってしまった。