中国長江白帝城で、物乞いをする双頭児とその母・・・
今年の梅雨は、観測史上まれに見る豪雨で九州など大変な被害にあった。
日本だけではなく、中国、韓国でも洪水等の大きな被害が相次いだ。
長江沿岸にも大変な雨で、三峡ダムが決壊する恐れがあるなんてニュースがあった。
完成した三峡ダムはまだ見ていないが、三峡ダムの工事中の頃、長江下りの旅をした。
1997年、夏のことである。
途中、三国志で有名な白帝城に立ち寄ったときだった。
その古城に登る道の脇に、言葉では言い表せない光景があらわれた。
膝を折ってしゃがみこむ母に、寄り添うようにたたずむ男の子・・・。
4歳か5歳くらいか・・・。
子供の前の小さな器には、小銭が少しばかり入っている。
上半身裸のその子供の左の肩に、ハンドボール位のコブのようなものがある。
そこを通る人は、目をそむけて足早に通り過ぎる。
しかし、私は見た。イヤ・・・見たというより、目が吸いよせられた。
左の肩にもうひとつの頭があるのだ。
髪の毛はない。鼻などの突起物もない。
大きなほおずきのように、つるりとして、丸い。
ただ、目に当たる位置に、薄墨を溶かしこんだようなシミがふたつ。
そのまわりに、赤くて細い血管が走っていた。
ああ、私は見てはいけないものを見たのだろうか?
さすがに、写真を撮る勇気はなかった。
考えがまとまらない・・・・なぜ?
なぜ、あの子供はここにいなければならないのか?
なぜ、病院にいないのか? なぜ、手術を受けないのか?
なぜ、国は黙って放置するのか?
なぜ、母親(?)は、子供を見せ物にするのか?
母親に?マークをつけたのは、このような子供を貸し借りして、その日の糧を得ている人もいる・・・と、聞いたから。
でも、絶望にうち砕かれたさみしそうなあの目は、母親の目だった。
人間って、悲しいね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しかし、今は世界第二の大国、もうそんな光景はないと思うが。
これより三峡入口。ダムのため水位があがり左の吊り橋も水の中のはず。
三峡のひとつ、ふ峡。
劉備玄徳が没した白帝城。今はダムの水位が上がり、島となっている。
左より、孔明、玄徳、玄徳の遺児2人。