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きょうも冥界に行ってもどりてライナーノーツ
この記事は長編小説の冒頭800文字で争うコンテスト「逆噴射小説大賞2024」に投稿した作品の後書き的なものです。
小説「きょうも冥界に行って」
テーマについて
逆噴射小説大賞は今回で5年目の参加です。ここ数年の小説のテーマは日頃思っていることシリーズです。「夜に質量・明日はパフェ」と「星を射つ確率」がそれにあたります。実は世界はこうなのでは……?ゆくゆくはこうなるのでは?とうっすら思っている事を小説に落とし込みました。
日頃、新しい場所に行く道は新鮮ながら自分の居場所ではない、よそ者感を感じていて、そこから知っている場所に戻った時のあの安堵感は生還した…!という感覚を共有したく、そこから世界を膨らませました。
ボツ1
一時期"迷子"にフォーカスを当てすぎて、迷子にまつわる理由づけを増やした結果、怪しさが減ったんでちょっと減らしました。迷子を生還させない為に衛星を落として、その結果の災害を書きすぎた。まだ描写されない設定は残っているけど重要じゃなかったので。
どっちかというと冥界に潜っている感覚を大事にしたかった。
灼熱
今年7月に京都にいったのです。
やばかった、あっっつい。水の減りが尋常じゃないし、影がない。手持ちの水が尽きたら終わる…そんな命の危機を日中に出歩くだけで感じていました。
その体験が今回の描写に繋がっていたらとてもうれしい。
書いた分だけ上達している気がする
日常、あまり長い文章を書かないのですが、逆噴射小説大賞に応募し始めてから6作品の冒頭を書くことができました。総量としては少ないけれど、ちょっとづつ良くなっていると思います。
逆噴射小説大賞と同じDHTLSが開催している逆噴射映画祭で2週間に1本づつ映画を観ているのも効いていると思う。
逆噴射小説大賞は沢山の人が投稿しているので、気恥ずかしさ軽減&フォロワーが少なくても、みんなに読んでもらえて反応がもらえるので良いことばかり。なので普段書かない人にもおすすめ。
人間に人間味を
今回はいつもより登場人物に重さ?をつけてみました。
私は基本、世界を書くのが好きで、人間に興味がないので気を抜くと全員脇役になってしまって、それでも良いかなと思っていたのですが、他の投稿作を読んでいると魅力的な小説にはキャラクターがとても生きている感じが強いと感じていたのがきっかけでした。
去年の小説「星を射つ確率」にも登場人物の実在生、キャラクター的な重さが足りてないなぁとうすうす感じていました。
なので、今年は彼らの性格や状況外見をもうちょっと決めました。
毎回迷子になるにも関わらず、出かけるし躊躇なく友人を呼ぶのだからふてぶてしい性格でひねくれ自分の信じた事にはどんどん突き進んでいくタイプ、細身で、スーツ!逆にそれにつきあってくれる友人なら体育会系のカラッとした明るさでいいやつ、体格が良くて免許とトラック持ってTシャツ……など設定しました。その辺が世界の重みにつながるといいな。
中の人ひっこめ
うまい言い回しを思いついたから入れたいだけだなという箇所はとことん削りました、自分のドヤ顔が鼻についたので……自分で読んでそれってだいぶ余計な情報になる気がしたので惜しみながら削りました。
校正をがんばった
ストーリーが形になったのが本当に締切2日前くらいだったので、移動中も誤字脱字修正、一文字下げができているか?読み味、リズムが滞っているとこのブラッシュアップ、澱みなさすぎて目が滑りすぎないか?パンチを入れるとこはちゃんと爪痕を残せているか?などを締切ギリギリまで重ねました。がんばった!
ほんとほぼ真っ白の設定集だったのが頭の中でつながった瞬間に小説になるのなんだろう。アドレナリンすんごい出た。
問題
いままで長編小説を完結させたことがない。
がんばる。
カラテだ。
逆噴射小説大賞最終選考に残ったことについて
逆噴射小説大賞2024「きょうも冥界に行って」は最終選考の17作品に選ばれました!
優勝は逃しましたが、最終候補が発表された瞬間、予想外の驚きと嬉しさと、優勝への欲が混ざって頭の中が真っ白になった事。そして同時に創作の苦しみの疑獄の門が開いた音が聞こえました。
だって、ここまで残っちゃったら時間はかかっても書かないとって。
文章を書くのが結構な苦痛なのに、年一くらいがいっぱいいっぱいなのにできるのか……?との不安もありますがともかく2025年はその先に挑戦したいな、と考えています。こう、いい感じに調子に乗りたい。
最後に
「きょうも冥界に行って」ならびにこの記事を読んでいただきありがとうございます!感想もありがとうございます!