見出し画像

凄い凄いと言われてるけど誰も詳しく語らないヒゲダンの「Pretender」を分析してみた

オリジナル曲上げてます。良かったら聞きながら↓


さて、今J-POP界をにぎわせているのは間違いなくKing GnuとOfficial髭男dismの2組でしょう。特に後者は「日本の音楽の歴史を変える!」とプロアマ問わずに言っていますし、実際僕もそう思います。

ただ、誰も内容について詳しく語っているところを見たことがないので、今回は僕が気付いたことを書いてみることにします。

まず、


使われている楽器の数

が"異様"に少ないです。J-POPとしては。おそらくここが日本のポップスを変えると言われている所以(ゆえん)じゃないのかなと思います。

聞いてみたところ、ドラム・ベース・エレキギター・ピアノ・シンセ(3音色程)、そしてボーカル(とコーラス)。

音楽好きで楽器をやったり、特に曲を作る人ならこの時点で「マジで?」って思うところだと思います。J-POP風のバラードといえば、少なくともまずは上記の編成にストリングスが欲しくなるところだったりするんじゃないでしょうか。

それが必要で正解かどうかは置いておいて、Pretenderに弦楽器が実際入っていても問題はないと思います。そこをやらなかったのが「進化論」の理由付けの一つ。

次に、各楽器について


ギターが1本

ギタリストとしてこれには素直に驚きました。実際の録音の仕方はこれまた置いておいて、曲の頭から最後までギター一本で全セクション余すところなく再現出来ます。

加えて、こういう曲ってまずファーストチョイスとしてアコギが想定されます。それがこの曲には入って無い。

言葉を選ばなければ、現代は惰性的に「とりあえず要るよね」でアコギが録音されることがほとんどかもしれません。『バラードにアコギがない』と一定以上の年齢の方が聞くと「え!ありえないっしょ!」って言う人もいるんじゃないかなと思います。ただこの曲にアコギのアタック音が入ることを考えるとやっぱり曲の全体像をぼやけさせてしまう気もします。


ドラムが俺でも叩けそう!

ドラムの経験が無いので、もちろん実際すぐには叩けませんが、そんな僕が「頑張って練習すれば叩けるんじゃね?」って思えるくらいにドラムパターンがシンプルです。

曲のセクションをつなぐドラムフィルだって全てスネアを『タカタカ!』と叩くだけ。今は全楽器テクニック至上主義が戻りつつある中でこれは挑戦的だし、新しく感じるのも分かります。少し前に流行ったローファイ系のループ的なビートで溢れていたのも今思うとこの曲のための布石だったのかもしれないですね。


歌詞の世界観

『世界線』というワードが印象的ですよね。SF用語だけど、日本だとシュタインズゲートというゲームで爆発的に広がった言葉です。とはいえまだ市民権は得ていない言葉だとは思うんですが、もはやネットがあれば意味不明な言葉って存在しないし、何となくで意味も分かるからこそどうとでも捉えられてちょっと甘美に響きますね。

まだ若いバンドだし、たまたま目に入ってきたワード主体で出来た歌詞なのかなと思ってたんですが、ジャケット写真を見たら完全にシュタゲの影響下にあるのが分かりました。

画像1

説明は割愛しますが、作中でも重要なメーターです。アニメもあって面白いのでオススメです。この数字の意味もシュタゲを知れば判明して、歌詞の内容ともリンクします。

似たようなところだとBUMP OF CHICKENの『アルエ』もエヴァの綾波レイについて書かれた曲として有名ですが、あっちはキャラ愛が溢れ出て見えるのに対して、こっちはジャケットを見てやっと気付くくらいに「好き」の出し方が丁度いいし上手いのに感心しました。

ーーーーーーーーー🏍≡3ーーーーーーーー

書いてみると分析というほど凝ったものではなかったかもしれませんが、純粋に曲の良さに心を奪われました。

少し前にiZotopeという海外の音楽ソフトメーカーのセミナーに行った際に、「日本は複雑な音楽をやっていて大変だなと思う」という言葉を耳にしました。

実際日本の音楽はミクスチャー文化でどんどん情報が膨れ上がっているので、反動で今後はこういった洋楽的構成のシンプルな曲が好まれるようになるのかもしれませんね。

僕も音楽家の端くれとして何が出来るかなと考えたんですが、しばらくは自分の「今作れる曲」を作っていこうと思います。

というわけで僕の曲も聞いてみて下さい、どうぞよろしく!↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?