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モノカキングダム答え合わせ⑥【ササガキさん】
年明けてからバタバタしてだいぶ間が空いてしまいました💦
昨年末に行われたモノカキングダム2024。もう、年を明けましたが、自分の立場を完全に棚に上げて「モノカキングダム過剰考察」なるものを書き、モノカキングダム2024の入選作品の考察を順番にしています。
間が空いておりますが、何事もなかったかのようにマイペースでやっていこうと思います(笑)
エントリー作品です。
たまってきたので、マガジンにしました!
この前、令和ロマンと三宅果帆さんが出ていた番組で「人はなぜ考察せずにはいられないのか?」というトークをやっていました。
「考察」流行ってるみたいですね(笑)
こっちもすごい長い尺の未公開を
— 令和ロマンの娯楽がたり【テレビ朝日公式】 (@reiwaroman_EX) January 4, 2025
YouTubeにあげるので
それを見てもう一度TVerを見てください!!!
ハンター×ハンターの話とか
永野vs蓮見とか本編に本当は入れたかったくだりが死ぬほどあります#娯楽がたり pic.twitter.com/9V0n2PShbq
もう面白いし、まるで自分のこと見透かされているような内容でしたね!
その時の発言要旨
感想で売れたい人が現れた
「自分だけの考察をしよう!」で目立ちたい人が増えた
感想に「考察」として謎ときをすることで鑑賞の報われ度が上がる
事実に基づく「考察」のほうが他人と共有しやすい
作者が仕掛けたというと批判されずらい
タイパをあげたいので面白いオチが確約されている作品を見たい
アイドル考察文化(推し文化)がアニメ・マンガに派生した
「推し活」も「考察」も原動力は誰かに言いたいという気持ち
「推し活」も「考察」も予想を裏切られるのは嫌だ
作り手側は「考察」を気にすべきか?
「考察」をお金にするのは、二次創作を同じ?それで商売にする……お金にするのはちょっと……?
「批評」は自分の意見、「考察」は作者が考えていることの予想
「察」が字的にかっこよすぎる……w
「はてなぶろぐ」はちょっとかわいいかんじだけど、「no+e」で「考察」は、言葉がかっこよすぎる…(これ本当に言ってた)
考察ブームは野球のID野球と同じじゃない?
作り手は、野球をやっている気持でやったらいいんじゃないのか。スポーツのようにライブ感覚でやれば野球選手はファンの考察なんかそこまで気にしてないでしょ。
「考察」を「考察」することで「考察自体がダサくなる」
「考察」しまくることで、「考察されるのが当たり前の風潮を作って、考察されることを気にしない社会を作りたい」
今は中途半端な過渡期みたいで良くない、考察したい派もしたくない派もお互いを気にしないようような社会へ。
「考察」とは……好きなものを語るときの一番かっこいい(かっこつけた?)やり方!
ということでですね、noteで考察とかもうただのかっこつけですね(笑)間が空いてしまってもこだわってやる価値があるとポジティブに捉えることにしました(笑)
さて、ダラダラ語るのはこのくらいにして、今回は、この文章を取り上げてみたいと思います。
小学2年のボイスメッセージ 【ササガキさん】
今回は、ササガキさんです!
今回のモノカキングダムで初めて、拝読いたしました。
まずは、これまで拝読してきたどの方々とも全く違うテイストの文章でとても楽しかったです!
何ていうんでしょうか、この文章を読んでイメージに思い浮かんだのが、「語感」ですね。
文章には、読みやすい文章と読みにくい文章があると思います。読みやすけりゃあいいってわけでもなくて、読みにくくてもいい文章もあると思います。
あと「テンポ」のいい文章ってありますよね。テンポがいい文章というのは、内容の読みやすさのほかに、スラスラと流れるような読みやすさがある。一文を短くしたりですとか、文そのもののぜい肉を取ったような文章。
ササガキさんの文章には「テンポ」ともちょっと違うような特徴を感じました。
それでパッと思いついたのが「語感」。
語感っていうのは、「ことば」そのものの発音の印象が入っている感じでしょうか。例えば「パッ」と言う語感でなんとなく感じるイメージってあるじゃないですか。あるいは、「グ~」って言う語感でなんとなく感じるイメージってあるじゃないですか。
ササガキさんは、この「語感」の使い方がめちゃくちゃ上手なのではないかと思っています。
この「語感」の使い方。本記事でいえば、「うんこ」の使い方ですね(笑)
「うんこ」って、「うーん」とか「んこ」とか「うんこうんこ」とかで、イメージが違うんですね。いままでしりませんでした(笑)
そんなわけで、めちゃくちゃ楽しいこの作品の中身を見ていきたいと思います!
書き出し
GPS端末。小さいやつ。を、子どもに持たせてるんですけど。
そのね、オプション機能に、ボイスメッセージというのがあって。
ボタンひとつで音声メッセージを吹き込めて、
親はそれをスマホから聞いたり、声で返事できるという。
まあこれが、ほんと、無限にうんこ。
ほかにエントリーしているどの人とも違うこの文体。
いきなりつかまれたことのない部分をつかまれたような気分です。
文章と詩の間ぐらいというのでしょうか。
これって、真似しようと思って簡単にマネできる書き方ではないと思います。私なんかは、下手にマネしようとするとダサくなってしまいそうです(笑)
なんていうか、言葉そのもので遊んでいる感じがします。
で、もうクソ面白いですね(笑)
なんといっても
まあこれが、ほんと、無限にうんこ。
クソ面白いです。無限に。
感動系が多めだったモノカキングダムの中で、このさらりと入ってくる感じはセンスを感じます。でも、うんこ。ってところまでも含めてクソ面白いです。
あとしょうもないことに引っかかってしまう私的には、ここも好きなんですよね。
うんこのことしか吹き込まれないの小学2年男児ともなると。
え、ここで読点(「。」)にするんですか!?
これも下手にマネしようとするとやけどしてしまう気がしてしまう文の切り方のような気がします。雑談しながら包丁で何かを切っているのに、切り込みの入り方がめちゃくちゃきれいといったところでしょうか。
もう、ググっと最後まで一気に読めるの確定です。
中盤①
うーーーんこうんこうー・・・んこうんこうんこ・・う。
おや、もうそんな季節ですか、風情がありますな。じゃねーのよ。
「うんこ」の語感の引出しってこんなにあるんですか?(笑)
もう「語感」です「語感」。
ラッパーの人っているじゃないですか。あれって人によって好みのタイプが分かれると思うのです。何がその分かれ目になるのか、その要素の一つに「語感」って絶対あると思うのです。そうは言っても、好かれる「語感」と嫌われる「語感」って分からないじゃないですか。後から、あ、これは「スキ」かも、となる。
で、これは好かれる「語感」でしょうねぇ。なんで好かれるのかわかんないけど、好かれる「語感」だと思います。
情報ゼロの小学2年男児のさえずりが、
貴重な情報空間のリソースを無駄に食ってるんですよ。
ゆゆしきことと思いつつ、まあそもそも小学2年生なんて高エントロピー存在だし、なんだか慣れてきて、うんことのコール&レスポンスが成立するようになってしまったんだけど。
これは私の勘違いだったら申し訳ないのですが、最近のいけ好かないエリートサラリーマンは、横文字ばっか使いやがって。横文字使ってるだけで、恰好だけつけてそのわりに中身が全然ないんじゃないの?
というツッコミを受けることを先回りして想定して入れた、ハイコンテクストなジョークなんじゃないかなと思いました。
だって、「うんこ」の話ですよ(笑)。「リソース」とか「高エントロピー」とかこのアンバランス間で遊んでいる感じがたまらなかったです。
GPSが今いる場所をリアルタイムに地図上にプロットしてくれるので親としては安心。予定通りのコースを進んで、宿につき、今頃夕飯食べてるかなーなんて思っていると、メッセージの通知があり。
おうおう、旅先なんだからいい加減なんか気の利いたレポート頼むぜと、開封してみたところ。
もうここまで読んでしまうとササガキさんの文章にハマってしまいますね。
ここの部分だけ切り取って、「うんこ」と「少年」を除いて今一度ここだけ読んでみると、気鋭のイケイケのベンチャー感のやり取りのような感じすらしてきます。
すごいです、この二重投影。
と思ったら次ですよ。
中盤②
ピー「・・・さびしい」
と。
ここで、動かしてきましたか。
「さびしい」の4文字です。実はネガティヴワードこの4文字だけなんです。なんでこの4文字がこんなに映えるのか。
これは、完全にこの4文字に行くまでのササガキさんワールドの効果ですね。このコントラスト、ここまでワールドを作り上げているから、「さびしい」の4文字が浮かびかがってくるように響く。
もう一度言います。たった4文字をここまで映えさせる。持っていき方ですね、やっぱり。
で、すごいのはこの後です。
あの・・・ごめん。
本場のキムチ食べててごめん。
助けてあげたいけど、きみ、今いるの長野で、我々は都内の韓国料理屋にいるんだ。
ごめん。ほんと。もぐもぐ。ごめ。もぐ。ご飯おかわりできます?
感動モードにしないんです。
だって、最終的に「ごめん。」っていえずに「ごめ。」になってますからね(笑)
私がいうのもおこがましいですが、この展開だと感動モードにもっていきたくなっちゃうような気がするんです。その方が、クライマックスピークに行けそうな気がしてくる。でも、そういうことはしない。
ここもなんでかってちょっと考えたくなりますね。
私なりの解釈なのですが、これって「オオゴトにしないよ」ってメッセージ(やさしさ)なのかなって感じました。
「・・・さびしい」に対して、必要以上のリアクションをして感動モードに持っていくほうがある意味持っていきやすさはあったかもしれないと思います。でも、ササガキさんはそうしなかった。ご飯のおかわり頼んじゃうんですね。
ここで一回ふっと力を抜く。
これって「差分」を発生させているのではないかと思うのです。ピークにもっていく前に、いったんふっと力を抜く。肩の力を抜いたほうが、そのあとの動作はよりキレが増す、そんな気がします。
欲していることを察して、先回りして準備してしまう。
そういう環境から脱してほしかった。たくましく育ってほしい。
意味のある言葉を発することが大事な環境に身をおいて経験を積んでほしかった。
あと君が食べなそうな韓国料理をこっそり食べに来たかった。
すまん。そこはほんと。
ここも「出し入れ」のうまさだなぁ。
力を抜きつつふっと力を入れて、力んでいないのにスパッと切れる。
だからこそ、全体的に緩い感じの雰囲気を出しつつ、締めることは締まってる、そんな流れが作られているのではないかと思います。
終わらせ方
その後、特に返答もないまま時は過ぎ、
小学2年男児は翌日、ヘラヘラしながら帰ってきました。
あのとき何があったの?と聞いても
はっきりとは答えてくれず、うんこうんこ言ってました。
また、うんこうんこ言っているお子さま(笑)
前段が不意の不安というか、ふわっとした不安を払拭する感じですね。
いわゆる「不穏な流れ」という展開があります。まだ、不穏は現実化してないけど、それを匂わせるような描写です。マンガだと死亡フラグみたいな。この匂わせによる効果は、先を読みたくさせる効果があると思います。
そして、この「不穏フラグ」を現実化させるのかどうか。読み手は気持ち的には不穏が現実化しないで安心したいっていうのが普通です。一方で何かが現実化してしまわないのかそれはそれでハラハラドキドキしながら読み進めていく。読み手はこんな状態ではないかと思います。
そしてそして、この状態の読み手に対して、ササガキさんは次をどうもっていったのか?
続き
成長感じさせてくれるじゃん。
でもあの時ボイスメッセージで流れてきた
君の声の切実さを父は忘れんよ。
キタ――(゚∀゚)――!!(笑)
何このおしゃれ着地(笑)
父のやさしさ、子供の成長っていう主題は抑えつつの、この肩の力が抜けた感じ、なんて素敵な親子エピソードなんでしょう。
この「いったんフッと力を抜く感じ」、すごくいいなと思いました。しかし、ヘタにマネをするとダサおじさんになってしまいそうです(笑)
今回も書いていておもしろかったです。
ササガキさん、好き放題書いてスイマセン。ありがとうございました😊。ゆるゆるペースになってしまうかもしれませんが、ぼちぼち書いていきますね。
そんなわけで、もしよろしければ次回もお楽しみにということで、「今日一日を最高の一日に」