"地域創生"でも"移住促進"でもなく、「無価値の価値化」から地域を楽しむためにオンラアがやっていること
こんにちは、オンラア未来会議の高橋です!
トゥーノーイシデショウは今日までお盆休み。お休み中は、事務局メンバーで木更津のクルックフィールズに行ってきました。施設内の看板や、アート展示の方法などを見て「トゥーノーイシデショウでもやってみたい…!」と夢を膨らませながら東庄町に帰ってきました。子どもたちが楽しく遊べる場所もあって、動物もいて、自然をたっぷり感じながらアートも点在していてとっても良かったです!
さてさて、先月、オンラア未来会議代表の柳堀が香取郡多古町のコミュニティラジオ「たこみんFM」におじゃましたのは活動報告でお伝えしましたが、せっかくなら文章でも読めるようにしよう!と文字起こししてみました。
たこみんFMをたちあげた「なるちゃん」がMCの番組で、オンラア未来会議のことや、東庄町のこと、「東関東地域」のことなどなど、いろいろと話していますので、涼しい場所でのんびりとぜひどうぞ📝
(下の目次から、気になるタイトルをクリックすると、そこからすぐ読めます!)
▼音声で聞きたいぞ!という方はこちらから
そもそもオンラア未来会議ってなに?
なるちゃん(たこみんFM設立者。2022年9月千葉県多古町に家族とともに移住):まずはオンラア未来会議とは何か教えてください。
ぎっぽり:オンラア未来会議は東庄町出身者を中心としたメンバーで発足しておりまして、東庄町で活動する団体です。それぞれ本業をもっていて、未来のために「本気の片手間」で取り組んでいます。
今取り組みの内容としては、知るための施設「トゥーノーイシデショウ」の運営・管理をしています。トゥーノーイシデショウは、3階が学生も使える「ハタラキバ」というコワーキングスペースです。2階は佐藤直樹さんという現代アーティストの方の作品を展示してあるギャラリーになっていて、1階は企業がオフィスとして使っているのと、保健室だったところは「キッサテン ホケンシツ」という喫茶店になっています。毎日ちがう、地域からやってみたい!というオーナーさんが担当しています。
イベントも開催していまして、毎月第2日曜日にフリーマーケット&ライブイベント TO KNOW SHOWを開催しています。こちら出店も出演も完全無料で、とにかくチャレンジしてみよう表現してみようというイベントをやっています。
なるちゃん:出店する人も当日でいいんですか?!
ぎっぽり:飲食の方以外は当日参加で大丈夫です。ステージも空いている時間があったら飛び入りで歌ってもらったり(笑)
あとは、町内の空き家を利活用していこうというプロジェクトが動いています。
というのが動きの一部ではあるのですが、皆さんに見ていただけるような活動としては以上です。
団体名にもなっている「オンラア」はこの地域のことばで「私たち」
なるちゃん:これだけでも相当中身の濃いいろいろな情報があるのですが…。すごくシンプルな疑問として「オンラア」ってなんですか?最初「オンライン」かと思いました。
ぎっぽり:そうですよね(笑)
銚子弁というか、この地域の方言で「私たち」という意味なんです。
「オンラア」=「私たち」という意味がわかっていただけるような方々と、未来についてお話ししましょうというところから、名づけました。
なるちゃん:この辺だと「オンラア」というんですね!
東庄を英語にもじって「TO KNOW」としていたりとか、センスがいいなぁと思いました。
ぎっぽり:ありがとうございます。
「TO KNOW」で「知るために」という意味ものっけているんですけれど、東庄をローマ字で書くと「tonosho」=トゥーノーショーなんですよね。なのでそこからもじらせていただいています。
旧保健室を改装したキッサテン ホケンシツはどんな場所?
なるちゃん:1階にある「キッサテン ホケンシツ」はどういうものなんですか?
ぎっぽり:機能としてはカフェ、直売所、雑貨屋さんになっています。
地域のおいしいお米だったりとか、花き農家さんのお花だったりとかを直売所として販売しています。あとは、この地域じゃなかなか手に入らないような雑貨を扱っておりまして、浅草の革職人がつくるカバンだったりもおかれています。
カフェは日替わりオーナー制になってまして、月曜日から金曜日までさまざまなオーナーさんが担当しています。このカフェのすごいところは、売上全部お渡ししてます。
なるちゃん:どうするんですか?!
ぎっぽり:利用料もいただかず、本当にチャレンジしていただく場になっています。
なるちゃん:東庄の人じゃなくてもできるんですか?
ぎっぽり:そうですね。
「東関東地域」をおもしろくしていきたい
ぎっぽり:東庄町を拠点にしているのですが、ターゲットにしているのは東関東地域と言っているエリアなんです。
成田より東の千葉県北東部と茨城県南東部を「東関東地域」ととらえていて、東関東地域の情報をつなぎあわせて発信していきたいというのが僕らの想いなんです。実はちょうど東関東地域のおへそが東庄町でして、つなぐ役割として我々が存在しているのでは、と。
なるちゃん:千葉県に住んでる人でも「東庄って場所どこ?」って思う人も多そうですが…
ぎっぽり:東庄町観光協会が「#素通りしないで東庄」って言ってますからね(笑)
なるちゃん:観光地はどこかあるんですか?
ぎっぽり:周囲に強力な観光地がありすぎて、それに比べると申し訳ない感じで…。
鹿島神宮、香取神宮があって、銚子漁港があって…そういう環境の中ではあるので、観光としては見劣りしてしまうんですよね。逆に言うとこれらの場所に大体30分以内で行けて、周囲にはなんでもあるというのが、移住を選んでいただいている重要な視点になっています。
なるちゃん:ここまでの話の中で「なに?どこ?」と思っている方のために改めて説明をすると…。
東が銚子市、南が旭市、西が香取市、北が神栖市・鹿嶋市。利根川沿い、チーバくんの耳の付け根ぐらいに位置していますね。多古町からだと30分ぐらいで意外と近い。
ぎっぽり:僕らが拠点にしている旧石出小学校、現「トゥーノーイシデショウ」はJR成田線下総橘駅から徒歩3分ぐらいの位置なんです。意外に駅前にトゥーノーイシデショウのような建物がある場所ってないので、可能性があるなぁと以前から思ってはいました。
なるちゃん:いまGoogleMapを見ていたら行ったことある場所がありました!磯山観光いちご園さんに行ったことがあります。
ぎっぽり:いなよしっていうとんかつ屋さんがあって、ものすごい分厚いとんかつを出してくれるんですけど、そこで提供しているSPF豚というのが、東京だと大行列店でも使われている豚肉なんです。それが東庄町だと東庄町価格で、食べられるのでそちらもおすすめです。
なるちゃん:東庄は豚肉が売りなんですか?
ぎっぽり:豚肉のおかげで町でいられる、というかんじだと思います。すごく強力な産業です。
なるちゃん:人口ってどれぐらいなんですか?
ぎっぽり:1万3000人ぐらいです。徐々に減り続けて…。
廃校活用も「無価値の価値化」のひとつ
なるちゃん:いま廃校を活用されているということなんですが、小学校は町の中にいくつあるんですか?
ぎっぽり:もともと5つあったのですが、そのうちの4校が閉校になって、今は1校になっています。
石出小学校は僕が卒業した学校で、廃校になるにあたって手上げして、今のような活動をしています。
なるちゃん:廃校になったのはいつなんですか?
ぎっぽり:2020年3月末です。7月からお預かりしています。
なるちゃん:その時にはオンラア未来会議自体はあったんですか?
ぎっぽり:もともと任意団体として、地域では無価値だと思われていることやものを価値化するにはどうすればいいんだろう?という活動を始めていて、廃校利用する際に法人化しました。
なるちゃん:”無価値を価値化する”という活動はいつぐらいからやっていたんですか?
ぎっぽり:2018年10月に活動を開始していて、最初は空き家を改修してゲストハウスにしようとしたりとか、間伐材をスウェーデントーチにしたりとか、苔アートとか、無価値なものを商品化するところから始まりました。
なるちゃん:それがだんだん大きくなっていったんですね。
今トゥーノーイシデショウを使っている人数は多くなっているんですか?
ぎっぽり:8人ぐらいが常駐していて、活動を支えてくれている人数でいうと30人ぐらいです。
なるちゃん:その発想力と、形にしていく力はどこから出てくるんですか?
オンラア未来会議が、未来会議という名前がついているということは、常に皆さんで会議をしたりしているんですか?
ぎっぽり:日曜日の夜に、もう3年間たちますが、ずっと毎週ミーティングをしていて、そこで出た課題は次の週には実証して検証しているんです。
僕たちはとにかく話し合おう、という団体なんです。
話し合って結果やってみよう、ということを実際にやってきて、今に至っています。コミュニティありき、ですね。
なるちゃん:じゃあ学校を活用したい!というのが最初にあったわけでもなく、いろいろと話し合う中で出てきたひとつ、ということなんですね。
ぎっぽり:そうですね。
廃校活用できるらしいけどどうする?という話をした結果「やってみよう」となりました。
なるちゃん:集まっているメンバーは皆さん東庄町出身なんですか?
ぎっぽり:立ち上げメンバーは同級生です。みんなおもしろくて、全員一回東京に出て戻ってきた組です。
今活動を支えてくれている人たちは、50パーセントぐらい移住者です。地元の方と移住者の方が共同で町のリソースを活用していこう、というのが我々の特徴です。
実は東庄町の人より、地域外の人からの反応が良くて、「何やってるんだろう」ときてくれて、一緒に取り組んでいることが多いです。
なるちゃん:外から見ててめっちゃおもしろそうですもん!
発信の仕方というか、見せ方がすごく考えられているというか、上手だな…と。すごく気になる内容がいっぱいあります。
ぎっぽり:移住してきてくれてる人たちも、もともと大手のPR会社で働いていた方だったり、テレビコマーシャルをつくってるプロデューサーだったりするので、発信の仕方には気を使っていています。
「地域創生」や「地域貢献活動」とは少し違う
なるちゃん:移住してくれた方は柳堀さんが知らない方なんですか?
ぎっぽり:いえ、どうしても一緒にプロジェクトをやりたいと思って、口説き落とした人たちが来てます(笑)
なるちゃん:最高じゃないですか!楽しそうですね。
そういう人たちと一緒に盛り上げていくと。
ぎっぽり:なので、「地域創生」や「地域貢献活動」とは少し違うんですよね。
自分たちの生活を高めていく活動が、地域を良くすることだというかんじで、まず大切なのは自分、もしくは自分にとって大切な人たちがベースにあって、その人たちがいる場所だから大切にしようという考え方です。
なるちゃん:どうしても気になるんですが…運営にかかる経費とかってどうしてるんですか?
ぎっぽり:基本的には自分たちでまかなっています。
利益をあげる事業の準備をしていて、これからさらに本気でやっていこうと思っています!
東庄町に30代の人たちが10人近く移住を検討してくれるって奇跡だと思うんです。それがこの3年間で達成できている、ということはもっとみんなにほめてもらいたいです(笑)
(編集:高橋明日香)