時間の大切さを知ることは大切なの?
■書籍タイトル
時間資本主義の到来〜あなたの時間価値はどこまで高められるか?〜
■最初のひとこと
「時間価値」というアングルで、かなり広い範囲を議論している。つまり時間を制するものこそ現代の勝利者だった。
■感想のひとこと
時間の使い方を見直し、価値を高めるための教科書となりました。
■著者プロフィール
松岡 真宏 東京大学経済学部卒業後、野村総合研究所やUBS証券などで流通・小売り部門の証券アナリストとして活動。
■書籍の概要
◯かたまり時間とすきま時間
「かたまり時間」とはネットが普及するまでの時代では1時間あるいは30分刻みで予定を組んで用事を済ませていた。その時間こそが意味のある時間だった。
「すきま時間」とはトイレの3分間、少し空いてしまった5〜15分間では自発的に生産的な行動を取ることが不可能であり、こうした「すきま時間」は単にぼーっとして捨てられるか、白昼夢に老ける程度しか使い道のなかった時間だった。
しかしネットの普及によりいつでもどこでも業務を勧められたり、買い物をしたりすることができるようになった。このおかげで「すきま時間」に価値が生まれ、「かたまり時間」にある価値は睡眠程度となってしまった。
◯時間資本主義とは何か
現代で希少価値が高まっている時間を資本と捉えて、経済や社会の流れをみる新しい試みです。
私たちは今後、何をするにも時間という概念から逃れることはできない。だからこそ、時間制約という枠組みから、心理的に脱却できるような商品・サービスを求めるようになっている。
例
Aさんの1000円とBさんの1000円は同じ価値です。
しかし、Aさんの1時間とBさんの1時間では価値が全く変わってしまいます。Aさんは1時間で1万円稼ぐのに対し、Bさんは1時間で1000円を稼ぐ可能性もあります。
このことからも「時間価値」こそが「時間資本主義」になることがわかります。
◯時間資本主義時代の勝ち組・負け組
まず初めに時間とお金の人材のマトリクスを確認してください。あなたはどこの位置にいますか?
上に行けば行くほど高所得右に行けば行くほど時間リッチ(時間に余裕がある)です。
4つを紹介します。
1、伝統的エリート〜お金はあるけど時間がない〜
ある種の負け組。「時間の効率化」によってできた時間をスキルアップや残業にあてている大企業のホワイトカラーは、左上の人たち。伝統的エリートの人の中には、従来のマインドセットを持ちながら新しい時代の変化に対応しようとして、メンタル面で適応不全を起こしている人もいる。これまでは紛れもないエリートだった。
2、まじめ貧乏〜お金も時間もない〜
目の前の仕事をしっかりとこなして行くことの価値を重く捉え、まじめに働いている人たち。
飲食店の店長やブラック企業と言われるところで働く人たちはここに含まれる。本人自身も、まじめに仕事をしているという自負もあり、幸福度も自分なりに高い人が多いと思われる。
3、クリエイティブ・クラス〜お金も時間もある〜
言うまでもなく時間資本主義の勝ち組です。彼らは既存のルールでは未来がないことをわかっている。
このカテゴリーの人は、まじめな人も、そうでない人もいるが、総じて人との出会いを積極的に行なっている。またさまざまな価値観を持っている多様な人と交わってさらにクリエイティビティを高めている。
4、終わりなき日常を生き続ける人〜お金はないけど時間はたっぷり〜
アルバイトやアフィリエイターなどが入る。時間資本主義としては勝ち組でストレスをコントロールできている部分も強くみられている。縛られることの無い生活を送ることは新たな職種の誕生かもしれません。
◯自分の時間のクオリティをより上げるためには
ストレスフルな時間をなるべく快適な時間に変えることが望まれます。嫌なことをやっている時間に、クリエイティブになることは難しい。
脳神経科学の研究では脳は何もしていない時にこそ活性化するという結果がある。リラックスしている時ほど、酸素とブドウ糖を運ぶ血流が活性化する。
それを踏まえて、1日の時間の質をなるべく上げることを考えている人たちは、こうしたサービスに喜んで対価を支払うと思われる。
■感想
時間資本主義が既に到来して10年以上経っており、ネットの普及でどこでも人と繋がれたことで生産性は上がった。しかし、何もしない時間、家族時間が減ったことは顕著に現れている。
サービスも使いながら、時間の使い方もきっと何をしないかを選択して行くことが何より大切だと感じた。