ニュルブルクリンクは甘くない
ニュルブルクリンク、車製造業各社のテストコースとしても名高いサーキット場。ニュルブルクという城下の領邦都市を起点に約25kmほどのコースで構成され、今回は北コースを車ではなく”自転車”で走ることに。
この記事のイベントは”決して”、自身の自転車をより高次元に昇華するというものではなく、ただただ一周25kmをもがき苦しむだけの遊興とも言える。ちなみにノンアルながらビールが何本かもらえる、嬉しい。
さてそろそろレーススタート
前回の記事からの続きで、今回の記事はレース本番です。
ちなみに裏ではこんな感じになっていました。良ければどうぞ。
さて、このイベント自体の出走順としてはJedermann(誰でも参加OKのやつ)の出発後に24H耐久の出走となります。Jedermannは言ってしまえばそれぞれ1,3,6周の最速タイムを競うTT(タイムトライアル)です。
24H耐久のチームの出走順としては自分は4番目ということで、スタートから出発はせずにJedermannの集団と、一番手のケイマサさんを応援する事になりました。
ケイマサさんを見送って少ししたら、スタート地点付近からどよめきが伝わってきます。
どうやらJedermannがスタートしたようです。
2分もしないうちに、ゴォォーというロードバイクの特徴的な音が聞こえてきます。
正直、自分が走っている時にも同じような音は聞こえるため特になんという訳でもありません。
問題は速度です。自身の前を通り過ぎる際、明らかに自転車ではないような風切り音が出ます。新幹線の通過の時のような、ビュン!!という音がひっきりなしに続きます。
そう、Jedermannは平気な顔して人間とも思えないような速度で走ります。
この時の自身の前では約50km/hで通り過ぎます。異常です。
この人たちは気狂いとも言える速度で坂をのぼり、坂区間では平気で100km/hを超えるという魔の巣窟です。
その結果、このJedermann参加者は一周約25km、500m登るコースを表定速度38km/hで悠々と走り終えます。
Jedermannもひと段落したところでKeimasaさんがやってきます。
ピースをしながら走り去る姿を見た時、後ろから経験者の囁きが聞こえます。
この笑顔がだんだんと歪んでいくんだよなぁ
恐ろしいよ。そんなことをニコニコしながらこちらの耳元にささやいてきます。こんなことをするのは悪魔とかの悪霊の類です。
ただこれは冗談の類ではなく、実際にそうなります。
今となってはあれですが、聞いた当初は耳を疑いました。
戻ってきた
一巡目のケイマサさんが戻り、その後に一周したKさんが戻ってきます。両者50分代前半をマークするという……
早くないか?……
あぁ、自分もこのスピードで走らないといけないのか……と義務感や、事故らないようにという緊張感が混ざります。
そしてKさんの交代でふっちーさんが出発。
到着予想時刻は55分後と仮定して、それまでは準備に時間を隔てることに。
この間に、少しご飯を食べたり、ストレッチ等をしたりと体の調整と共に、自転車を入念にチェックする事に。
このニュルのコースは登って下ってで且つ急勾配という万が一に整備不良があったら大事故になります。
ここでコースについて説明をば
上記標高のデータを見ればなんとなくわかるかもしれませんが、最初に568m下って、あとは568m登るというコースとなります。単純な構成であるものの、問題はこの下り区間です。かなり勾配がついていることもあり、ほんの一瞬で自転車ではそうそう出ない速度で下ることになります。
上記の図の横軸の16:40はこのコースで最も低い地点で、その前のV字の谷のようなところがその最高速度記録地点となります。
ということで、この下り区間では怪我をせずに、登りはひたすら登るという作戦を採用する事になった。
万が一に備えてバトンが渡るまで何回もブレーキのチェックなどをしていましたが、それ以上に自分がうまく曲がれるかなどが不安ですが……
いよいよ自分の番に……
遂にふっちーさんが戻ってきました、戻ってきてしまいました。ふっちーさんは1時間ほどで戻ってきたということで、ノルマ50分代前半という必然性が崩れました。
正直、これのおかげで気を楽に走れたのでラッキー!!と思いながらバトンを受け取りました。
さて、ここからは無事に一周してケイマサさんに渡すまでは気が抜けません。
ニュルのピットを走り、北ルートの入り口に向かいます。
ここまでのルートがなかなかにクネクネしているため、途中少しこの道で合っているのかと不安にもなったものの、無事に北コースの入り口へ差し掛かることに。
下り区間スタート
当たり前のようにガーミン(GPS)上では40km/hと表示されることに驚く暇はなく、次から次へとカーブを曲がっては、坂を下って、少し登ってまた下るのが続きます。
ただ、正直一番スピードが出るV字谷よりも前の区間は割と安心して下れます。というのも、道はかなり綺麗かつ幅広ということで走行ラインを決めやすいという特徴があります。ちなみに横はヤリスなどの小さな車であれば、三台ほど横に並べるほど大きいです。
もちろん自分よりも早く走る人もいるため、左側を開けるなどの配慮も必要ではありますが、いかんせん幅広でマージンも大きいため正直何も考えずに走れるような感覚に陥ります。
最高速度のV字谷へ突入!
?!?!?!?!?!?!?!?!
速い。速すぎる。なんだこの速度は。
目安を挙げると、USJの後ろ向きで走るジェットコースターの最高速度は89km/h。
同じ速度で、安全バーもなく、生身で下っていることに驚きが隠せません。
もちろんこれは人生で自転車で出した最高速度となります。
むしろこれが最高速でなかったら、どこで出せるのだろうかという……
ただ一つ忘れてはいけないのはこれはV字谷。
この後に登り区間がすぐにくるものの、この下りで獲得した速度の惰性で登ることはできるため心配はいらないっちゃ、いらないです。
というのも、ここでこの速度の弊害が現れます。
皆さんはエレベーターが上の階に行く時少し下の方に引っ張られる感覚を感じたことはありませんか?(スカイツリーとかの高速エレベーターとかで)
そう、その感覚です。
なんだか登っている時に下方向にGが余分にかかるのです。
ただエレベーターのような軽い感覚ではなく、ジェットコースターとかで感じる、顎の肉が下に引っ張られるような強さを感じます。
走行には別に大したことないものの、自転車で陥ったことのない感覚に驚きます。足も下方向に押すのは簡単なものの、上方向に引っ張るのがかなり重い。本当に重い……
決して登り区間だからという重いではなく、下から人に引っ張られているかのような感覚である。
カッパッパ(河童)です
あとはもう登り区間のみ
さて、ここからは登り区間へ突入します。
この登り区間で踏ん張れるかが、主に一周あたり50分代か1時間越えかの鍵となります。
もちろん40分代の人はこの区間を平気で30km/hくらいで走る気狂い行動に走りますが、今回は自分のペースを大事に25km/hくらいを目安に走ることに。
やはりマラソンのように自分のペースで走るのが楽です。
今回の自転車の構成はフロント53/39T、リア11-30Tというアホ構成で挑んでいます。この構成、下り区間や軽いのぼりであれば間違いではないものの、長距離の坂の区間では自身の貧脚故に選択ミスとなりました。
漕いで出せる最高速度は高い代わりに、登るときは重いギアで登るしかないという諸刃の刃となった。
割と勾配があるように見えるかと思いますが、これはまだまともな方。望遠レンズ故の錯覚ではあるものの、ここは坂の中盤であるため、みんなやる気をなくしてか、はたまた体力を温存するために、ゆっくりと走る人も多い区間でもあります。
登り終わり!!
長い登りが終わりとはいうものの、ここから全く登らないというわけではなく、ここからは登って下って登って下るという凸凹ステージへ突入することに。
一周目ではうまく立ち回りを覚えていなかったため、この凸凹区間では体力と筋肉を無駄に消費することになります。というのも下りの速度を生かして、登るというのが基本となりますが、自分には一つ問題があります。
体重が軽すぎる!!!!
単純な話だが、下りの際は体重が重いほど、速度が出るため、その分下りでは速度がそんなに出ないのです。もちろん体重が軽いため、上りは比較的楽ではあるものの、やはり下りの速度を生かして、登る戦法はやりずらいというものです。
ドイツ人の平均体重は?
蛇足になりますが、同年代ドイツ人の体重の平均は約80Kg。Körpergewichtが体重で日本人の体重に比べてもなかなかに重いです。(もちろんその代わり身長も高いですが…...…)
それに対して、自分の体重は53kg。日本人の平均の体重よりも10kg以上も差があり、ドイツ人とは30㎏もの差があるために、明らかにただ下るだけでは加速が足りず、惰性で長く登ることはできず、余分に登りで足を消耗することになります。
そのため、二周目以降ではこの区間では下りで思いっきし踏んで、その速度を生かして登り切るというムーブメントを実行することに。おかげで体力の消耗は二周目では軽減できました。
まぁ、そういうことで、一週目は無駄に足掻いたためかなりきつかった区間でした。
先ほどの凸凹区間を終えると(通称?)Audiストレートに突入する。
ここではいかに隊列、トレインを組んで、体力を消費しないかが勝負の鍵となります。
加えて、今回の24H耐久は西からの風が強めということもあり、この西に向かって伸びるAudiストレートではこの向かい風を防ぐのが鍵となります。
幸いなことに、トレインに参加することができ速いスピードを維持しながら、体力の消耗を防ぐことができ、少し元気な状態でラストのコンコースへ。
このTor(門)が見えたらあとは少し!
ゴールの門を通り、あとはチームのテントまで走ります。
あと少し、あと少しと心の中で唱え、前へ進みます。
見栄のコースへ突入
見てわかるように、大体の人はここに拠点を構えます。1人で24時間走る気狂いは除きますが、大体の人はここのゾーンで交代します。
加えてたくさんの人が見ていることもあり、全体の速度も引き上がります。
やはり終わりということ、誰かに見られているということもあり、気分も上がり全員のペダルにも力が乗ります。
ということで一週目完走!!!
結果は51:32
チーム最速を叩き出しました。速すぎるよ!!と言われ、嬉しい反面、この速すぎるという言葉のコンテキストを理解します。
あ、まって。これ、あと6セットもやる可能性あるの?!
少し振り返りと反省
ログから見て取れるように、最初の下り区間で割と強めで踏んでいることがわかる。この下り慣れてしまえば楽しいので踏んでしまいますが、足の温存を考えてここはあまり強めに漕がないのが良さそうですね……
登り区間では平均的に踏めてはいるものの、勾配がきつい区間ではギアが足りなく、立ち漕ぎや無理やり踏んで解決したため紫色の高出力で漕いでいるのがわかります。
平均的にかなり高めのW(出力)で踏んでいます。
一周目ということもあり、なかなかに元気に溢れた一周でしたが、これがあと何回続くのかと思っただけで、顔が引き攣る感覚に襲われることに。
ただ、登り区間では一定の力で走っているためこの区間での脚が攣りそうのような疲労感はあまり感じず、対して最後の凸凹区間で一番疲労感を感じたということから、二周目ではそこを改善することに。
加えて登りの後の平地などを休憩スポットのようにペダルを軽く回すことで足を休ませていたが、ここは少しスピードを出して次の登りのために準備する方が楽にも感じる場面もあったため、そこに注力して二周目に挑むことに。
一周目ですでにお腹いっぱいではあるものの、残念ながらもう逃げることは不可能。
すでに一巡目のケイマサさんは出立済み。
諦めて、次の順番まで拠点でカレーを頬張り次の二周目に備えることに。
さて、一度記事はここで区切ることにします。
次の記事でおそらく完結するとは思いますが……(頑張ります)
では、次回、投稿者諦める
デュエルスタンバイ!!!!