国境越えライドのハードルとは
日本に住んでいると自転車で国境を越えるということを考えることはないと思います。日本国内の移動では海や山、斜めに細長い国土のため船や飛行機などの地上交通に頼らない場合も多いかと思います。むしろ日本の方が県境を越えるハードルがヨーロッパよりも難しいと思うくらいですし……
さて、今回はフランスはコルマール
ハウルの動く城の最初の街のモチーフと言われるほど、街の景観が綺麗な街であるコルマールまで自転車で観光しにいこうという生やさしいライドです。
今回のルート
上記地図ではRhein、ライン川を挟んで左がフランス、右がドイツとなっています。こう見てみると多摩川を挟んだ、神奈川と東京の県境のような感じはしますが、本当にそんなもんです。
EU内はシェンゲン協定の下、自由な行き来が可能であるため、道路上では基本的にはパスポートコントロール等はないです。そのため、国境の看板を見ていないと国が変わったことがわからないような錯覚に陥ります。
もちろんフランス・ドイツのように言語帯が変われば、いやでもわかりますが、オーストリア・ドイツ間のような言語が一緒の国ではパッとした違いはなく、もはや国が変わっていないような感覚になります。(一応、方言や地名の特性等もあるので、話しているときや看板でも気づきますが……)
さて、本題に戻ると、フランスは、パリルーベ、ルマン湖一周の時など走っているつもりではありますが、今回は交通規制のない中走るのでほぼ初フランスライドということにします。
途中、自分の家からフランス国境まではIhringenなどKaiserstuhlというワイン畑で有名な場所を通ります。ところどころに見えるワイン直売所に寄りたいのはやまやまですが、持ち帰る術がないということでお預けを喰らいました。
ワイン畑というだけあって、景色は壮観で、日本でいう棚田に葡萄が生えているような感じです。
フランスに入国
国境を超えて
大きく何かが変わるというわけではないですが、建物や看板に書いてある文字がフランス語になったり、道の作り方が少し変わったりと若干の違いが出てくるのは国境を越える醍醐味な気もします。ただ、国境付近では正直なところそれくらいの差しかありません。とりわけ、この地域はドイツとフランスがかつて奪い合いをしていた土地でもあるため、文化が混ざったり、そもそも似ていたりなど、”国境=文化の境目”という関係にはありません。
ヨーロッパ自体国境はあれど、国境付近で一様に変わるというよりはグラデーション上に変わるというのが非常に多いので、この独仏国境でもその曖昧な文化の滲み合いのようなものを感じることができます。(歴史的に見れば、ヨーロッパはこのような感じが多いですが、スペインとフランスの国境のようにピレネー山脈など地理的要因で文化のシャットダウンのような役割もあるので、あくまでも陸続きに限りますが………)
センターピポット
教科書でよく見るセンターピポット式の散水機です。初めて見たので興奮しましたが、なんかエヴァンゲリオンの使徒みたいですね。くだらない事ですが、社会科の授業中は先生の話を一切聞かずに資料集を読んでいた人間なため、こういう本物をみるとどうしても湧き上がってしまいます。
景色はドイツとほぼ一緒、これだけ見せられてもドイツだか、フランスだかの判断は難しいですね……
小さな領邦の街に突入
ドイツでもこういう街はありますが、フライブルク周辺にはあまり無いのでちょっぴり羨ましい感じがします。ローテンブルクなどのバイエルンの方によくあるイメージでしたが、意外でした。
今までオランダとドイツの国境、スイスとフランスの国境を自転車で超えたことはありますが、国境は言ってしまえば田舎の端と端の間にある感じなので、国境を超えた感はその場ではあまり感じません。その後街に入ってから、喋っている言語が違ったり、家の雰囲気が違ったり、文字が読めなかったりというのを経て、あ、国境越えたんだと思う感じです。遅効性のある毒みたいな感じです。
無駄にでかいラウンドアバウト
よくわからないのですが、ドイツのラウンドアバウトに比べてフランスのラウンドアバウトは2回りくらいデカいです。これも国の施策の違いかぁと思いながら走っています。個人的にはフランスのラウンドアバウトの方がレースでは高速で進入できたり、日常では二車線のためゆとりがあったりと使いやすくて好きです。といってもフランスの運転は少々荒い気がするのでなんとも言えませんが……
コルマールに到着
流石に国境から10kmほど離れた土地であるため、フランスらしさのある街になってきました。個人的にはフランスはそこらかしこに花があったり、色とりわけ壁の塗装の使い分けがセンスしかないというイメージです。
なんか綺麗
うまく言語化するのが難しいですが、明らかにドイツと違う雰囲気があります。ドイツに見えなくないけど、でも何か違うんだよな……みたいな感じです。大宮と浦和みたいな違いとも言えるし、豊洲と築地のような、違いは明らかにあるんだけどなんとも言えない、絶妙な差というか、なんというかという感じです。自分でも何を言っているかわかりませんが……
パン屋さん?パウンドケーキ
ワインとか売ってる、なんか有名どころらしい
ここに来た時は知りませんでしたが、ここはどうやらハウルの動く城の始まりの街のモチーフらしいです。言われてみれば、確かにそうかも……と書きながら少し事前調査すればよかったと思っています。
ビスケット屋さん
例の如く、今回もバックは持ってきておらず、後ろポッケに少し入るだけということで、ビスケットを粉々にして家に帰る未来しか見えないため、諦めました。
カフェもオシャレ
イェーガーマイスターのマイナス18度は少し惹かれたけど、度数も強く、帰路もあるのでお預けです。
橋の上で撮る、みんな撮ってた
少しベネチアのような感じもありますが、やはり水のある街は綺麗ですね。近くだとストラスブールなども街中に水路があるなど綺麗な街もあり、今度はそっち方面にでも行こうかと思いました。
コウノトリの人形?なんか可愛い
観光地なだけあってお土産ショップもあります。個人的にお土産やTシャツ派なので、少し探しましたが、子供用のものしかありませんでした。
フリーズドライの果物売っているところ
さて帰ろうかと歩いていると、見覚えのある茶色い団子のようなものが見えました。
みたらし団子?!?!
そう思いましたが、実際にはドライフルーツ屋でした。
なんか、こう、少しオアシスを見た気がしました。
帰路、ドイツ国境にさしかかり
フランス側からEUの国境の看板を見るとフランス語でドイツと書かれています。ドイツ連邦共和国のため、思ったよりも名前が長いです。
ここではドイツに入国ということで、あとはどうにでもなるという安心感を手に入れます。実際、トラブルはフランス側で起こると自信がフランス語を喋れないため、かなり難儀することが予想できるので……
こういう国境沿いでは独仏どっちも喋れる人も多いですが、やはり母国語しか喋れないという人も多くいます。同時に田舎でもあるので、英語も通じないみたいなパターンもあるので、正直このイレギュラーが一番怖いです。
もうあとは帰るだけです。ここから先は少しいけば駅もちらほらと点在しており、家まではちんたら濃いでも1時間もかからないので安心です。
さて、そんなこんなで帰宅しました。
国境ライドは正直そんなに難しくはないですが、怖いのはやはり言語の壁ですね。スイスへ抜けるのが、自分の言語圏的には的を得ている気もしますが、スイスは物価もそうですが、スイスドイツ語は別の言語なのでフランス行くのとほぼ一緒です。ほんとに何言っているかわからない時の方が多いです。
と言いながら、渋々スイスのライドのコースでも作ることにします。
ではまた
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