【小さなアサリと母の優しさ】#わたしと海
今回は、ヤマハ発動機xnoteで季節感のある特集が組まれていたので、
私なりの海にまつわるお話しを書きたいと思います。
私の地元では潮干狩りが盛んで、小学校では毎年校外学習で潮干狩りに出かける行事がありました。
体操服に赤白帽子、履かなくなった上履きを身に着け、いざ海へ!
みんな一斉に砂浜を掘り返します。
もちろん私も無我夢中でアサリを探しました。
しかしひとつも見つけることができず、周りを見てみると、すでにみんなネットに半分くらいアサリを詰め込んでいました。詰め込まれたアサリが羨ましくて、必死に砂浜を掘ります。
掘っても掘っても、それでもアサリは出てきてくれません。
少し浅瀬の方に行ってみたところ、すでにクラゲが出てきていて、上履きを履いた足に絡みついてきました。
それがとても不気味で、幼い私は戦意喪失・・・。
結局、私の持ったネットがいっぱいになることはありませんでした。
その時、引率の先生から号令がかかります。
「は~い、みんな!そろそろ時間になりますよ~。」と。
当時負けず嫌いだった私は、ひとつも採れないなんて自分が許せなかったのでしょう。
最後の希望を込めて、砂をひと掻きします・・・そのとき・・・!!
”小さなアサリ”がひとつ、採れました。
私はもう嬉しくて嬉しくて、飛んで喜んだことを今でも覚えています。
そうして家に帰った私は、自慢げに母へ、アサリがひとつ入ったネットを手渡しました。
母は「わ~!アサリ採れたね!」と微笑み、疲れたであろう私を気遣ってくれました。
夕飯のとき、私に出された味噌汁には・・・”小さなアサリ”がひとつ、入っていました。
小さいながらに、その母の優しさが身に染みたのを覚えています。
最後は命に感謝して、美味しくいただきました。
小さなアサリの命と、母の優しさに触れた、8歳の夏でした。