【Brexitって結局なんなの?】その1-深く理解していなくても大丈夫
2016年6月23日にイギリスにおいて
国民投票が行われ
僅差で離脱支持派が勝利(52%)し
イギリスのEU離脱が決定しました。
それから British+Exit=Brexit
という造語が作られ
各メディアで取り上げるようになって
移行期間を含め約5年の歳月が流れました
Brexitという単語を聞くことはあっても
・とりあえずEUから外れた。色々大変そう
・ヨーロッパって日本から遠いし、よくわかんない
・でも、勉強しておかないといけないのかな…
と思う人も多いと思います
そこまで深く理解する必要はなく
関連ニュースをみたときに興味が持てるように、最低限の基礎知識を持っていれば大丈夫です
このnoteでは
ここがおもしろいよ!
という情報に絞ってお伝えしていきます!
構成はこちら
1. EUについて
2. Brexitってこういうこと
3. Brexitに関する関連記事の紹介
長くなるので複数回に渡って書いていきます
1. EUについて
EUについて最低限押さえておくとよい特徴はこちらです
1-1. 国ではなく「共同体」
EUは貿易協定があり
貨幣のユーロを使っているので
ひとつの巨大国家のようなイメージを持たれがちですが
あくまでも「共同体」であり「国」ではありません
こちらの図をご参照ください
Wikipediaから引用してきました
ヨーロッパ各国の関係図です
青枠「欧州連合」と書かれている国々がEU加盟国です
2007年更新のデータですので
イギリスが含まれているのと
2013年に加盟したクロアチアは上図ではまだ含まれていません
ここでお伝えしたいのが
国ではなく「共同体」なのでガッチガチにルールと枠組みを決めているわけではない
ということです
例えば緑の枠の「ユーロ圏」
ここは、通貨のユーロを使っている国のくくりです
緑枠に囲まれていて、青枠の欧州連合にも入っている国は
EU加盟国でかつユーロを使っている国です
逆に、欧州連合の枠に入っていて、ユーロ圏に入っていないのは
EUには加盟しているが、ユーロは使っていない国です
イギリスもそうで
EUに加盟していましたが、£(ポンド)を使っていました
赤枠の「シェンゲン圏」ですが
ここは国境検査なしで移動できる国です
例えば、日本人の私が滞在ビザを取得して
フランスへ入国したとします
フランス入国の際は検査が必要ですが
フランス→スペインの移動はパスポートのみで移動可能です
こちらもイギリスは入っていませんでしたので
先ほどの例でいうとフランス→イギリス入国の際は検査が必要です
ここでポイントなのは
EUに加盟しているからといって絶対にユーロを使わないといけないわけではないですし、逆にEUに加盟していなくても、自由移動などの同盟に参加することはできます
国家ではなく「共同体」にしていることにより、様々な法律や同盟ができて恩恵が受けられる一方で、ヨーロッパをさらに複雑にしている
という情報を覚えておくだけでも関連ニュースに興味が持てると思います
1-2. 身内にやさしく他人に厳しく
上記でも例にあげましたが
基本的には、EU加盟国の間ではパスポートコントロール不要で
国家間を移動することができます
これは「人・物・資本・サービスの自由移動」という
EUが掲げている理念のひとつで
これを実現させるために色々な法律が存在します
これを逆に考えると
ひとたびEU圏内に入ってしまえば移動が自由になるので
不法入国に悪用されかねません
そのため、最初にEU圏の国に入国する際に
厳しくパスポートコントロールをします
一例をあげます
私がスペインに留学したときのことです
日本からスペインへ入国する場合は3か月間であれば
観光ビザとして扱うのでパスポートのみで入国可能です
ですが、3か月を超える滞在の場合は
日本で長期ビザを取得する必要があります
さらに6か月を超える場合は、現地でまた別の申請をします
用意する書類も工程も結構めんどくさいです
一方で、ルームメイトにオランダ人がいたのですが
彼らは長期滞在であってもオランダ⇔スペイン間は
特別な申請無しで自由に行き来することができます
長期滞在ビザなので
EUに限った話ではなく、アメリカなど他の国の場合でも
申請書類の用意がめんどくさいのは変わらないと思います
しかし
同じ条件で滞在しているのにEUから来ているかどうかだけで待遇がここまで違うのか…
と当時歯がゆく思ったことを覚えています
1-3. 共同体 VS 国
最近では誹謗中傷が問題になっていますが
「誹謗中傷は侮辱罪・名誉棄損罪だ」
という意見と
「言論の自由が保証されているはずだ」
という意見で対立があります
対立する意見があり、どちらにも保証されている権利がある場合
どちらが正しい・間違っている、という話ではなく
起こった出来事をもとに、裁判で判断されることになります
これと同じことがEUでも起きています
しかも、異なる国が集合しているので事態はより複雑です
■事例:アイルランドの妊娠中絶問題
アイルランドは2018年まで
人工妊娠中絶が禁止されていました
そのため、EUに加盟してからは
アイルランドでは
国内の医師から助言を受けて
人工妊娠中絶のためにイギリスと訪れる
ということがありました
しかし、アイルランド最高裁判所は
中絶を受けられる他国の医院の情報を教え
中絶手術をする手助けを受けることを禁止しました
EUでは「人・物・資本・サービス」の
自由移動が認められています
この場合、人工妊娠中絶の手術をうけることは「サービスの自由」にあたります
しかし、一方では「人工妊娠中絶を禁止している」というアイルランドの法律もあります
この場合、どちらが優先されるのでしょうか?
上記で挙げた
日本での誹謗中傷の件と同様
裁判で取り扱います
この場合は
欧州司法裁判所での裁判になります
この事例以外にも
EUのルールVS国や組織の独自ルール
どちらが優先されるのかについての論争は
多く起こってきました
■事例:サッカー選手・ボスマンの移籍
サッカー選手・ボスマンをめぐって
移籍問題が起こりました
こちらに詳しく書かれていましたので
引用いたします
ヨーロッパというと
Brexitのイメージが強いですが
その背景を見てみても色々おもしろいです
「難しくて理解ができない」
「あまり興味が無い」
と思うものはムリに見なくても問題ないので
興味があると思えるトピックだけでも
押さえておくと知識が広がります
EUについての基礎知識は下記書籍がオススメです
2007年出版で少し古いですが
EUの成立~基本的な制度・組織について書かれています
上記で挙げた事例も載っています
趣味で知識を深めたり、学校のレポートだったり
「基本をざっと理解したい」という場合に適しています
次回は「2. Brexitってこういうこと」
について解説していきます
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