SDGs、紹介するか?応援するか?
たくさんの企業がSDGsについての広告をするなか、すこし切り口が新鮮だった伊藤忠商事。「わたしが夢中のSDGsはじまる。」というメインコピー、「伊藤忠商事は、わたしが主語のSDGsを応援したいと思います。」という締めのコピーともに、生活者を主体としたメッセージとしている。
今回は、この新聞広告を自分なりに分解してみる。
すべてのビジュアルは、以下からどうぞ。
なぜ、5つのテーマなのか
素直に考えると、生活者にとって身近なテーマを、カンパニーごとにピックアップするためだろう。テーマとカンパニーの内訳は、以下のとおり。
・ファッション → 繊維カンパニー
・日用品 → 住生活カンパニー
・食品ロス → 食料カンパニー
・再生可能エネルギー → エネルギー・化学品カンパニー
・サステナブルフード → 食料カンパニー
でも、ふつうの感覚なら「食料カンパニーから2テーマより、別のカンパニーを載せたら?」なんて思いそうなのに、きちんと生活者に近いテーマだけで選んでいるのが英断すぎる。
なぜ、生活者主体のメッセージなのか
よくあるパターンとして、総合商社ならではのダイナミックな仕事と、それがいかにSDGsに貢献しているか、みたいなことが表現されがちだけど、今回のものは真逆の方向性だ。これが、「なんとなく、社会的に注目されているから」という理由で、SDGsの取り組みを紹介するような広告との違いをつくっている。
また、この新聞広告が「Dear LIFE/生活って宇宙だ。」のキャンペーンの一環であることも関係している。ビジュアルにも白抜きで「Dear LIFE」と入っているのはこのため。CMでは、「生活こそ未来だ」からの「生活って宇宙だ」の飛躍がついていけなかったけど、サイトのボディコピーを読めば「未来は、暮らしと地続きの場所にしかない」がコンセプトだとわかったので理解できた。つまり、宇宙とは可能性の象徴で、生活者が新しい道を進むことを応援しているメッセージは、ここからはじまっていたのだ。
最後に、実際に「サステナブルな暮らしのきっかけをつくる場」として、エシカルコンビニなどに取り組んでいることも大きい。アクションがともなっているからこそ、一貫性があり、今回の新聞広告がより信頼できるものになっている。
おわりに
もともと「Dear LIFE」のCMがわかりづらかったので、その解説をしたいなと思っている間に、新聞広告がでてきたのでまとめてしまった。けれど、読めば読むほど味のある、いいメッセージ。やっぱり「Dear LIFE」だけでもまとめたくなってきた。