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春画をみてニヤニヤする大人

団紅春画展へ。
春画と呼ばれる絵を知ったのはいつだったか。
確か祖父が晩年に画集を買って枕元に置いていた。
ちゃんとは見せてくれなかったけれどさわりだけ見せてくれた。
おじいちゃんはこれを枕元に置いているんだ!と自慢された。
どうしてそれが自慢げなのかさっぱりわからなかった。

中学生とかだったからチラリと見ただけなのだけど。
ああ、こりゃ中身はもっとえげつないんだなとわかった。
艶っぽい数枚の絵だけでも少しドギマギしたものだ。
おじいちゃん、それ教育的にどうよと思いつつ。
でもそれは美しい絵でもあって、芸術なのだなとも感じていた。

さて切腹ピストルズの総隊長こと飯田団紅。
お世話になった隊長さんが春画展を開くというので。
どこかでチャンスがあれば行こうと決めていた。
のだけど、結局最終日滑り込みになってしまった。
あの子供の頃に見たどぎついやつなのだろうか?と想像しながら。
出来れば誰もいない中でプラプラ見て、さっさと帰る予定だった。

のだけれども、到着予定時間よりも隊長は早く来場されていて。
ドアを開けると同時にばれるという失態を演じた。無念。
そしてそこに描かれていた春画たちは僕の想像していたどぎついアレではなかった。
白、黒、朱色、肌色。4色の版画。
漢字一文字を春画というテーマでポップアートとして再構築していた。
あ!こういう感じか!とたじろぎながら一枚一枚、近距離遠距離で眺めていった。
近くで見れば具象もあるけれど、少し離れると抽象。象形文字そのものは捨象といった重層的でポップなアートそのものだった。
多才で、博識で、その上この軽やかさに、すげぇなぁと言葉が出る。
この版画が飾られる空間をイメージするだけで楽しい。
なぜかすごく広い西洋式の水洗便所に飾られていることを想像してニヤニヤした。

ふと見れば隊長の羽織。
あれ、これはみたことがないやつだぞ!と気付く。
隊長の描くニホンオオカミはどれもかっちょいくて大好きなのだけれど。
多分、一番好きなやつを見つけてしまった。
なんかすっげー躍動感で。
いつもの神々しさとか禍々しさとかとは違うやつだった。
動物の本能的なものがにじみ出ている感じが好き。

判事絵だとか浮世絵ってあまり影を書き込んでいない。
二次元に落とし込んでいるという感じがある。
水墨画とかは影の表現をするのだけれど、版画だからなのか削ぎ落した美しさがある。
西洋の画風ではあまり見かけないよなぁって思う。
そう思えば今、日本の漫画が世界に発信されているのはそんな歴史的背景もしっかりあるよなって。
素晴らしいアート作品を前に、これはヒトコマ漫画に近い面白さだ!なんて思ってしまったことは内緒だぜ。

映画館で出会った幾人かの皆様にもたまたまご一緒で挨拶。
ニヤニヤしながら、そそくさと退散したのでありました。
行く前はドギツイ春画を想像していたくせに。

あ。最終日だったのですみません。
どこかでまた開催されたら皆様もぜひ。

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小野寺隆一
投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。