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tomekantyou1
連載「record album」②
二階の部屋のベッドがらそっと滑るように出て足を忍ばせて階段を下りていく。おじいちゃんの部屋にそっと入ると小さく寝息が聞こえてきた。深夜という時間帯をずっと待っていた。
音をたてないようにそぉっとビーサンを履いて外に出る。
親元を離れて一人でおじいちゃんの家に来た大きな理由の一つが深夜の一人での散歩だった。従兄弟が集まっている時に皆で海辺まで星空を観に行ったことがある。一番小さな従兄弟は時々ビーサンが跳ね上げる砂の冷たさだけでひぃひぃと怖がっていたけれど、自分が住む町では見る事の出来ない圧倒的な星空は夜の暗闇の怖さをあっという間に払拭した。5人の従兄弟と叔母や叔父がいてそれだけいると誰かが流れ星をみつけたりゆっくりと動く金星や火星を見つけたりした。あの星空を、あの夜の海を一人占めできる。それはあまりにも魅力的でどうしてもやりたいことの一つだった。
投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。