例祭
開けて7月24日。
その日に向かって息を切らせて進んだ日があった。
あれからまだ2年?
ちょっと信じられないな。
目の前に何度も現れた壁という壁。
どう突き破るか。
僕のような人間がその推進力の一つになることが出来るか。
わからないままもがいた。
世界的なパンデミックにも立ち向かわなくてはいけなかった。
母の誕生日でもある。
破壊の日と誕生日。
まったくもってなにがなんだか。
不思議なものでまだ闘っているような感触がある。
あれから時間が経過したけれど。
この感触についてはうまく説明することが出来ない。
別に血生臭い戦いではない。
何が前進なのかもわからないまま、もがいている。
自問自答を続けるような日々。
目に見えない鎖のようなものはいつの間にか僕たちに纏わりついている。
時にはその鎖を打ち壊さなくてはいけないし。
そして時には僕自身の腕を切り落とす必要があるだろう。
がんじがらめになってもがくほど縛られることだってある。
ある者はその鎖を受け入れて、それを業と呼ぶのかもしれない。
ある者はその鎖を全て断ち切ることと引き換えに縁も断ち切るのかもしれない。
いずれにせよ空を飛ぶには鎖は邪魔になる。
いつまでも続くのか。
どこまでも続くのか。
軽妙に。ふわりと。ユニークに。
いつの間にか空に浮かんでいるような。
そんな瞬間が来る。必ず。
あんなにもがいていたはずが。
スルリと何もなかったかのように抜け出す日。
ああ、来年はパリ五輪か。そうかそうか。
僕自身がまだ行けるかわからないけれど。
今年も破壊の日はやってくるらしい。
ついに例祭を名乗った。
あの日々が蘇る。
狼の遠吠えが聞こえる。
僕はここにいる。
映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
「ほんとう」はどちらなんですか?
◆終映◆
2023年3月25日(土)~31日(金)
K'sシネマ (東京・新宿)
2023年4月15日(土)16日(日)
シアターセブン(大阪・十三)
2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一
撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき
【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。
家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。
やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。