ステーキってのはこういうのを言うんだ

ロスとかハワイとかに行った日本人がアメリカンなステーキを美味すぎる!って言うわけです。
赤身肉でバカでかくて、バーベキューソースやらガーリックたっぷりみたいな。
主食はマッシュポテトなの?みたいな。
あれ見ると、いいなあ、うまそうだなあと思うのです。

一方でインバウンドな外国人は和牛を絶賛してたりするという。
コーベビーフ、デリシャス。
海外の人からすれば油っぽいのかなとか、歯ごたえがないんじゃないかなとか、肉本来の味をまだまだ島国は理解してないとか言われそうなものなのに。
なんかむしろ和牛を食べに来るみたいな観光客もいたりして。
あれれれ?そういうものなのか?と少し戸惑うという。
やっぱり食文化って、その国々の平均的な旨いものが生き残っていくはずだしさ。
同じステーキでも、平均的なステーキが全然違ってくるわけでしょ?
なんなら、岩塩とワサビだけとかでもいいのか?みたいな。

うまいものはうまいなのかもしれないし。
日本の食文化は世界に通じるでもいいんだけど。
さて、ところでほんとうに?って視点も必要だよなって思うのです。
慣れていないこと、異国文化に触れている感じが、何割か評価を底上げしてるかもよと。
だってさ、アメリカンなステーキ、ほんとうに日本人は美味しいって思ってるかな?って考えちゃうわけです。
いや、そんなのロスに行ってレストランで高い金はらって食べたら絶対に美味いって言うけどさ。
実際にうまいんだろうしさ。
でもでも、同じ味を新宿で食べても同じ評価するかなって。
塩っ辛い鮭とかのが美味いって思っちゃったりしそうだよなって。

なんかそういうさ。
わずかに視点をずらしたら風景が変わるようなこと。
一瞬でものの見方が変わるというか。
フィルタを付けたり外したりすること。
そういうことが出来るのが物語なのではないかなあと思ってさ。
状況や立場、角度、感覚、コンディション。
あらゆる要素が影響して人は世界を把握しているわけでさ。
虚構というシステムは世界の把握をコントロール出来るから。

アメリカンなステーキは食べたいしうまそうなんだけど。
ほんとうのほんとうは別の憧れみたいなものを含んでるのかもなあ。
そんなに覚めてどうすんだ?って話だけれども。
いくつものレイヤーがあることをちゃんと知ったうえで、やっぱうめえ!って言いたいみたいな。

結局うまいのかよ。

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小野寺隆一
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