夏至
夜の短い日。
夜行性の僕には困るよ。
夜はなんでもくれるからさ。
太陰暦、太陽暦。
夏至は太陽暦か。
農耕が一番の産業だった長い歴史。
時計なんかない時代。
天体観測で季節を測った。
太陽の運行、月の運行。
種を植える季節も、衣装替えの季節も。
天体観測で決まってた。
大きなリズム。
太陽が一周するリズムは地球の自転。
太陽を一周するリズムは地球の公転。
月が一周するリズムは月の公転。
僕たちはその中で鼓動を打っている。
ドクン、ドクン、ドクン。
複雑にリズムが重なり合ってる。
風を読む。
暑いけれど風がある。
追い風、向かい風。
全てのリズムが重なって。
風が僕らを運ぶ日。
その時まで耳を澄ます。
その時まで風を感じる。
明日世界が終わります。
そんなニュースが流れてもおかしくない緊張がどこかで燻ぶっていて。
火薬のにおいがする煙がまだ残ってる。
大きなリズムと小さなリズムはどこに向かうだろう。
短い夜の日に熟睡できているだろうか。
警報や爆発音は耳障りなリズム。
世界が終わらないまま夏至が来た。
そのまま秋分の日も冬至もやってくるといい。
地球の公転の折り返し地点。
地球が少しだけ斜めに傾いているからそんな日が来るのさ。
大きなリズムは斜に構えてる。
夏に至る。
映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
「ほんとう」はどちらなんですか?
◆終映◆
2023年3月25日(土)~31日(金)
K'sシネマ (東京・新宿)
2023年4月15日(土)16日(日)
シアターセブン(大阪・十三)
2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一
撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき
【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。
家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。
やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。
投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。