おもしろいこと
渋谷の街を歩く。
一体、どれだけの人数がいるのだろう?
1日にスクランブル交差点を渡る人の数って誰か数えたことがあるのだろうか。そんなことほとんど不可能に近いんじゃないだろうか。
たった一度の赤信号を待つ人たちだけでも、全員が向かえば渋谷のミニシアターやライブハウスはどこも満員になるんじゃないだろうか。
僕はいつもその辺を歩いている誰かが偶然、映画館に来れるような、そして来たら新しい面白さを発見できるような、そんなことをずっと目指している。
もちろん、映画ファンだとかさ、知っている人たちだって楽しんでもらいたいと思っているけれど、それだけじゃない。
映画になんか普段は興味を持たないような人が何かのきっかけで足を運んだり、ふらっと雨宿りのように訪れたり、そんなことがあるといいと思っている。
シネコンに比べてミニシアターは普通の人には敷居が高いかもしれないという話を時々耳にする。
そういうものだろうか?そんなこともない気がする。
小劇場やライブハウスに比較すればずっとカジュアルな場所だと僕なんかは思う。
それに今の時代にサブカルなんてものは存在しているのだろうか?と疑問を持っている。
YouTuberなんて時代が違えばサブカルみたいな場所だと思うし、でももうそれをサブだなんて言える時代じゃないだろうと感じている。
というか、すでにメジャーという定義そのものが危うくなった。
小劇場にタレントが出て、地下アイドルが武道館に立つ。そういうごちゃまぜの時代になっている。
だから、ミニシアターを特別なサブカル的な場所とは思っていない。
ミニシアターはミニシアターである。
快適に映画を楽しむことが出来て、ちょっと特別感のある場所。
そんな感じじゃないだろうか。人にもよるのだろうけれど。
チェーン店のレストランと、個人経営の小さなバーぐらいの違いだ。
渋谷にいる人たちの0.01%ぐらいの人数が足を運ぶ。
それだけで満員になるだろうと思う。もっと少ないか?
そういうものなのだ、きっと。
すべての人に訴求する必要はない。
でもまぁ間口は広い方がいいだろうと思う。
すべての人に知らせられるなら知らせた方がいい。
それで足を運ぶ人がどれぐらいいるかは別としても。
隠れ家的なバーとかさ、噂に聞いたラーメン屋とかさ。
キャパシティは小さいけれど、いつも満員のお店がある。
きっとそういうことなんだろうなぁ。
残念ながら映画は上映期間が限られているから、噂を耳にした頃には上映終了なんてこともあるから、それが困るんだけれどさ。
そういう意味では結局、質なんだって思っている。
面白いかどうか、それだけ。
上映期間があるからさ、宣伝力とか動員力とか、そういうものがどうしても重視されがちなんだけれど、それって実は穴があると思っている。
だって作品ごとだと上映期間はあるけれど、映画館は年中やっているわけだからさ。
大事なのは、もう一度この作品を観たいと思ってもらうことだけじゃなくて、他の作品も観てみたいなぁと思えるような作品であるかということなんじゃないだろうか。
そんなこと言ってる人、あまり聞いたことないけどさ。
どんなに大成功の作品でも、その後、映画館に足が向かないなら大きな意味では成功していないんじゃないかなぁ。
一本でいいんだよ、きっと。
たった一本でも出会えればさ。
ああ、この作品に出会えてよかったって思えたらさ。
もう一度、こんな出会いがあるかもしれないって思うじゃん。
僕はそうだった。
ああ、こんな体感は初めてだ。まだまだ面白い世界があるなってさ。
そういうところから色々な作品に拡がった。
その後、なんじゃこりゃ?って思うようなこともあったけどさ。
最初のインパクトが残っていればそんなことは気にならなかった。
特別な一本。
そうやって出会いを求めている人たち。
そして、まだ特別な一本に出会っていない人たち。
そんな人に出会えると良いなぁっていつも思っている。
上映期間があるからさ。
そんな噂が今から拡がればほんとうはいいのだけれどさ。
ミニシアターが最高なのは間違いないからさ。
なんか面白いことを探している人がたくさんいるのも間違いないからさ。
見ろよ、渋谷を歩いているあんちゃん、ねえちゃん。
みんなそうだぜ。
なんか面白いことないかなぁって顔してるじゃんね。
あるよぉ。あるよぉ。
ちょっとだけ被虐的で、どこか哲学的で、まだ観たことのない世界が。
ここにあるよぉ。
円山町だぜ。来たことあるかい?
映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃
「嘘ばかりの世界」だ
「ほんとう」はどこにある
【上映館】
・2023年11月18日(土)より
ユーロスペース(東京・渋谷)
http://www.eurospace.co.jp/
劇場窓口にて特別鑑賞券発売中
先着50名様サイン入りポストカード付
出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一
撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき
【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。
家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。
やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。
◆終映(特別限定先行上映)◆
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)
投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。