寒暖差
寒暖差激しすぎる毎日。
皆様、体調はいかがでございますか。
微妙に調子が悪い方も結構いるようで。
間違えて半袖で出かけてしまって寒そうにしている方を見かけたり。
明日は暑くなって、明後日は寒いとかもうわからなくなります。
そんな風に日々は季節と共にうつろうのだなんて思っていると。
こっちでは議案が可決され、あっちでは破裂寸前の緊張感。
世界は僕たちの生活と同じ時の中で動き続けているわけで。
暖かい日差しの中で理論武装さえせずに歩く僕は罪深いような。
そんな気がしてしまう憂鬱なニュースが飛び交っています。
ギャップはどこにでも当たり前に存在している。
暖かい空気と冷たい空気がぶつかるから風が生まれるわけで。
思えば個人と個人の温度感のギャップでさえ僕たちは完全に把握できない。
どれだけ情熱を込めて進んでも、それは一方通行かもしれない。
現代というものと僕自身が乖離しているのであれば僕の存在そのものがギャップなのかもしれないなんてふと思いついて背筋が寒くなったり。
けれどギャップこそ、差こそ、面白いのだと僕は思うのです。
止まっていたモノが急に動き出す瞬間。
静かだった音楽が強く激しく鳴り響く空気。
淡々と進んでいた物語が大きく動き出す細かいカット割。
歪んだ音響と早いテンポの後にやってくるスローモーション。
その瞬間に痺れるんだよなぁと僕は思います。
そう考えれば寒暖差も、世界と生活も、僕と時代も。
愛すべきギャップなのだと受け止めてもいいか。いいだろ。
あなたと僕との違いが、差が、そのまま愛情なのだと言ってもいいじゃんね。違いや差に対するスタンスが問題さ。そこに理解と差別の分かれ道があるのかな。
何もかも同じだったら面白くないもの。刺激もないもの。
多様性って平均化することじゃなくて、違いを認めて理解することと同時に理解してもらうことのセットだよな。と僕は思います。
懐かしい恩人からの報せ。
とてもお世話になった方。
次はどんなステージに進むのかな。
わからないけれど。
とりあえずはお疲れさまでしたと連絡。
過去、現在、未来が頭の中を交錯する。
夕方。満員電車に乗っていた。
5類になったとはいえ混雑した車内はマスク着用者がまだまだ多い。
身動きも取れない中でスマフォでニュースを読む。
僕は立ち止まっているけれど、体は電車に運ばれて移動している。
僕は身動きが取れないけれど、小さな窓から世界の情報を受け取っていた。
背中側に立っている女性が携帯ゲームをしていて肘が時々背中に刺さった。
こんなの異常な状態なんだろうな、きっと。地獄と言えば地獄かもしれない。この電車が止まることなく永遠に続くのだとすれば僕はどの段階で頭がおかしくなるのかな。それとも永遠にニュースを更新し続けて読み続けるのかな。現代に生きることの地獄を覗いてしまったような気がしてふと顔を上げてみたんだよ。
窓の外に流れる圧倒的な夕焼け。
稜線をたどればそこに夕富士。
あまりにも見事な風景に心を奪われて。
ニュースアプリを閉じて狭い中で窓の向こうを写真に撮った。
写真にすると夕富士は小さく写ってたよ。
僕の頭の中ではこれほど大きいのに。
頭の中ではスローモーションで流れていく夕富士の風景。
ギャップはギャップじゃなくなる。
すべて違うことこそが自然なことで。
すべての一瞬が永遠にやってこない一瞬で。
当たり前に存在しているだけなのだとしたら、もはや差などなくなる。
僕は世界で、世界は僕なのかもしれない。
地獄上等。
今、ここに生きている。
逃げ出したってそこも地獄さ。
でもさ。
地獄だって見上げれば夕富士が見えるのさ。
圧倒的に生きる。
映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
「ほんとう」はどちらなんですか?
◆終映◆
2023年3月25日(土)~31日(金)
K'sシネマ (東京・新宿)
2023年4月15日(土)16日(日)
シアターセブン(大阪・十三)
2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一
撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき
【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。
家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。
やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。