鐘のない釣鐘堂
2023年最後のnoteエントリー。
今年も一年間、皆様ありがとうございました。
今年1月5日から始まったこの「誰が為に編む」
毎日読んでくださった方もいるのだろうか。
ついに大晦日を迎えました。
くだらない駄文も多かったと思います。
感謝いたします。
映画が完成して映画祭に提出し始めた頃、戦争が始まって。
公開した今年はまた新しい戦争が始まっていて。
戦争が終わらないまま新しい年を迎えようとしている。
鐘は鳴らないままだ。
メインとなるロケ地をみてまわっていた時。
鐘のない釣鐘堂をみつけたときに電撃のようなものが走ったことを思い出す。
まさかこんなに近くにこんな釣鐘堂があるだなんて!と。
たまたま終戦間際は鐘がなくなっていたことを知っていたから、頭の中で色々な組み立てが出来上がっていった。
日本ではお寺から釣鐘が消えていったことが歴史上2回ある。
最初は幕末期、黒船来航の頃。
お寺から釣鐘が集められて、沿岸に並べられた。
遠くからみれば大砲に見えるという理由でだ。
アジア各国が欧米諸国に植民地化されていることをすでに知っている層がいた。黒船来襲という言葉は侵略に来たと誰もが思っていたからだ。
それから先の大戦の終戦間際。
その頃になると金属が足りなくなって、あらゆる金属が接収されていった。ヤカンや鍋、釜まで接収されて、当然のようにお寺の鐘も接収された。
空襲警報は鳴っても、鐘はならなくなっていた。
そして多分、現代は3度目だ。
僕の住む街でもあまり鐘の音を聞かなくなった。
つい先日、夕方ごろにどこからか風に乗って聞こえてきたのだけれど、それが実に久々に聴こえてくる鐘の音だった。
最近は多くのお寺で除夜の鐘をつかなくなったという。
近所のクレームがあり、その風習は住宅街では消えつつある。
僕の近所のお寺もすっかりやらなくなって何年も経過した。
まったく風情がないよ。
鐘が鳴るということは平和の証でもあるってことを知らないのだな。
まったくうるさくなんかないんだけどな。
あのロケ地のお寺に釣鐘がぶら下がる日はあるのだろうか。
鐘の音を聞いて終戦を実感して涙したなんて日もかつてはあったのに。
とは言え、山間部だったり、境内が広かったり、一部のお寺ではまだまだ続いているからどこかから聞こえてくるかもなぁなんて思う。
僕の家から一番近い除夜の鐘は10km以上離れているけれど。
僕なりにゆったりとしたいつもの正月を迎えようと思います。
来年は平和の鐘が鳴ることを心から願っております。
皆様、2023年はいつも以上にお世話になりました。
ありがとうございました。
また2024年にお会いできる日が来ますように。
映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃
「嘘ばかりの世界」だ
「ほんとう」はどこにある
【次回上映館】
未定
出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一
撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき
【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。
家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。
やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。
◆終映◆
・2023年11月18日(土)~24日(金)
ユーロスペース(東京・渋谷)
◆終映(特別限定先行上映)◆
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)