「ソウルフル・ワールド」【映画は観たけれど】
Twitterを見ていたらときおり「○○できる方法を教えてます。最も大切な事はプロフへ」とか「モテる秘訣はプロフの最後に」とかある投稿を見かけるようになった。こらえ性のない私は、ひゅん、と答えを見にいく。たいていは「ネバーギブアップ」とか「第一印象が9割」とか、あああ……?と意図を聞くとドヤ顔で帰ってきそうで数秒で忘れてしまう内容のことが多い。
アフェリエイトやビジネス動線の定型文のようだけど、面白いのでなんとなく真似してみようかと考えた。「パンはパンでも食べられないパンは?答えはプロフへ」「プロフ:フライパン」などというジョークである。
ぼんやりの雑談で夫に告げると、半笑いで「いやせっかく笑ってもらうなら、主語は大きいほうがいい」とアドバイスを受けた。
なるほど。「結婚式のスピーチで秘密にされた4つ目の袋が」……いや、こうか「仕事に希望がない、こんなはずじゃなかったと思ってる、好きなことがある、でもチャンスに恵まれない。そんな人生の意味は。答えはプロフへ」とかね。「プロフ:『ソウル・フル・ワールド』みよ」になるなあと浮かぶ。
例のごとく前段がながい。
死ぬまでになにを成し遂げたいんだろうか。大人になるほど考えさせられる。人生を送る意味って?そんなものないのかも。
前歯がチャーミングで、まだ生まれる前の「22番」。彼女が主人公のジョーを通した観た世界を思い出す。くるくると回って落ちる木々の葉。風の吹く感触。木漏れ日の陰影と、人のざわめき。なんでもないありふれた光景が特別に思えるときを、大切にしたいと思える。
何度も見返したいのは、一時的に猫になった音楽教師をしりめに、楽器をやめようと申し出る生徒と「22番」ふんする教師が会談で語らう場面だった。一度はやめようと心に決めた生徒が、いざ「最後に」と弾き始めると、「また」続けるといい始める。
どうにかして「何か」を手にいれたくなっても、諦めと再起と繰り返し。人生は何が起こるかわからないし、だから面白い。
映画を観てしばらく経ったせいかな、すぐに答えを手に入れようなんて考えはやめておこうと、言い聞かせている。
2021年5月に発行したフリーペーパー『映画は観たけれど』に掲載した原稿です。一部加筆修正を加えています。
予告編&詳細
初公開: 2020年10月11日
監督: ピート・ドクター
音楽: トレント・レズナー; アッティカス・ロス; ジョン・バティステ
主題歌: JUJU『奇跡を望むなら...(ソウルフル・ワールドver.)』
2021年5月に発行したフリーペーパー『映画は
おまけ
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