徹底的な省人化+おいしい寿司作りにお金をかけるスシローをマーケティングトレース
外食業のマーケティングトレースシリーズ。
今回は、回転寿司チェーンのスシローをマーケティングトレースしていきたいと思います。
運営元のスシローグローバルホールディングスは、「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」という経営理念を掲げており、国内586店舗を展開しております。
スシローの2020年度通期決算状況
営業利益は、前年比よりも落ちているものの、売上ベースでは増収という結果になりました。
背景としては、既存店の売上が一時期5割近くに落ち込んだものの現在では回復傾向で、既存店の売上が昨年の90~100%に近づいている点やテイクアウトの売上が恐ろしく伸びている点にあるようです。
また、今回の決算では投資CFが大幅に増加しております。背景としては、出店(都心にも多く出店)や省人化投資と書いているのですが、出店状況は、コロナ化にも関わらず、積極的な姿勢を見せています。(以下図)
マーケティングトレース
外部環境の特徴しては、
・コロナによる外出自粛のためのテイクアウト需要やデリバリー需要UP
・コロナ感染を控えた非接触サービスの利用ハードルが下がる
・コロナ不景気により、より低価格志向が高まる
・自動調理ロボやAIによる需要予測、好みのパーソナライズなど効率化・自動化の波が今後来そう。
となっているかと。特に、お手頃価格で提供する上で、自動化の波や非接触を好む波はプラスになりそうですね。
競合分析としては、手早くお寿司が食べられるという観点だと、大手寿司チェーンやコンビニ、スーパーなどが挙げられます
価値競合として、家族でみんなでワイワイ食べれる、テイクアウトがしやすい、などの価値と定義すると、ファミレスや大手のファーストフードチェーン店がでてくるかと。
コロナ禍になり、テイクアウト市場が拡大したことでより競合が増えた印象です。
ターゲット層としては、いまいまCMでもファミリー向けのCMを流していることから、ファミリー層と一人で寿司屋にいくような独り身層を挙げました。
ターゲットにおいたファミリー層目線でポジショニングを考えた際に、子供と食べに行くとかテイクアウトに対象になるものは、美味しいかつ子供が喜びそうなものが前提だと思います。
また、提供しているお寿司カテゴリー独特の正月やなにかのお祝いなどの特別な日に食べる”特別感”なども競争軸としてあるかなと思いました。そのため、軸としては、お手頃価格×お得感を置きました。
マーケティング・ミックスの特徴としては、
・最近では、100円~120円の低価格帯の他に、480円や980円などの高価格帯商品も提供している。
・スシローアプリを通して、予約・受付ができるので、待たずに非接触に快適にお寿司を食べられる・
・広告面では、「おうちでスシロー」など、テイクアウトを意識した訴求にしている。
です。
成功要因3つ
成功要因は以下の3つがあげられるかと。
①コストカットのための徹底的なテクノロジー導入
スシローでは、省人化やコストカットを意識した様々なテクノロジーが開発・導入されています。特許庁のサイトで特許を調べてみても、「飲食物の提供装置」やら、「飲食物管理装置」など様々な特許を所有していました。
具体的にどんなテクノロジーが使われているかは以下です。
ここまで、テクノロジーによるコストカットと顧客の利便性向上に努めているのは驚きでした。(Googleアシスタントで予約できるのは流石はやすぎないかwと突っ込みたくなりましたw)
②コストカットによって生まれた余剰でおいしさ追求へ
スシローでは、食材の原価率が50%と一般的な飲食店と比較しても高いです。食材にお金をかける分、技術投資をしてコストカットをしサービスを提供しているんですね。
また、回転すし総合管理システム(特許取得済み)では、店舗運営を効率的にし、顧客の満足度を下げないための仕組みが組まれています。
③ブランド価値を活かしたテイクアウト強化・新価格帯・新ニーズの発掘
①と②をもとに培ってきたスシローブランドを軸にしたテイクアウト強化や新価格帯商品の提供が3つ目です。4月1日には、テイクアウト向けの商品を出しているので、非常に対応が早いですね。
最近では、持ち帰り専門店なども展開を開始し、仕事帰りのテイクアウト需要とマッチしそうです。
CMO仮説:365日スシロー計画
CMO仮説としては、
コンセプトは「365日スシロー計画」です。既存の顧客が今の1.5倍、2倍利用してもらえるように、様々な市場を代替していく施策です。
①夜市場の開拓
・スシローのおいしいネタ・シャリを活かした夜メニューの提供。
・コロナで外食規制はかかっているが、コロナが抑制されたときに、飲みなどはなくならないはず。
・スシローのおいしさを前提に非接触型・省人・個別席などのコロナ対策を訴求
②朝市場の開拓
・朝の通勤時のスシロー利用を促す。
・既存のネタ・シャリリソースを活かした朝メニュー提供。
・カフェ部とも連動し、朝のコーヒーテイクアウト需要などの取り込み
です。
転用可能な学び
1.コストをかけて自動化するべき点とお金をかけるべき点を精査する(業界常識にとらわれない)
2.自社のコアビジネスの価値・顧客満足度を徹底的に磨く
3.時代の波をとらえて、波に積極的にのる(省人化・テイクアウト・デリバリー、店舗投資の加速)
以上、スシローマーケティングトレースでした!
自分が思っていた以上に深さを感じる企業でした!
グローバルでのスシローの攻防も調べてみたくなる企業でした。
引き続き継続ウォッチしていきます。