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【特許図面図鑑 No.04】昭和のレトロ図面から発掘する現代家電アイデア

本コラムでは、昭和時代に出願されていた 特許 or 実用新案 に記載された図面を5つ紹介します。中には、その後に似たコンセプトの家電製品が他社から販売されている事例も見つかりました。

先人達の「知的財産」である図面を参考にさせてもらい、当時は製品化には至らなかったものの、技術が発達した現代においては実現可能な家電アイデアを発掘する・・・そんなことを夢見ながら、味わい深いレトロ図面を眺めていきましょう。

1:羽根なし扇風機(出願人:東芝)

特開昭56-167897:扇風機

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特開昭56-167897(出願日:1980.5.28)

これはDyson社による扇風機と風貌が似ていますね。東芝は製品化の意志が無かったためか、本件は出願されたのみです。特許として権利化には至っていません。

2:上から水を注ぎ入れる加湿器(出願人:東京芝浦電気)

実開昭50-22950:カシツキ

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実開昭50-22950(出願日:1973.6.22)

2件目も東京芝浦電気(現:東芝)による案件。こちらは実用新案です。図2をみると、上部よりそのまま水を注ぎ入れている様子がわかります。こちらはバルミューダ社のRainと似たコンセプトですね。

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バルミューダ社 HP より

3:自動走行掃除機(出願人:シチズン時計の社員)

特公昭53-1590:自動走行電気掃除機

3件目は、自動的に部屋の中を走行しホコリを吸引する自動走行掃除機について。こちらは個人名で出願されていますが、公開公報の出願人住所に「シチズン時計 所沢寮内」とあるので、どうやらシチズン時計の社員の方による発明のようです。

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特公昭53-1590(出願日:1972.9.13)

本発明は、建築物内の床などのように平らに制作された床面を人手をあまり使用させずして自動的に走行し、壁や机などで走行が妨げられた際その進行方向を変えながら床面をより有効に掃除する自動走行電気掃除機を提供するのを目的とする。(特公昭53-1590 より)

こちらは iRobot社Roomba(ルンバ)などのロボット掃除機と似たコンセプトですね。

余談ですが、ロボット掃除機については、1981年発売の「こち亀」第19巻にも同様のアイデアが描かれています。(参考「こち亀は時代を先取りする?-こち亀アイデア関連の特許出願紹介 Vo.1-」)

以上、すぐに製品化には至らなかったものの、後に他社から似たコンセプトの製品が登場している 特許出願 or 実用新案登録出願 の図面を紹介しました。

先人達が残した偉大な「知的財産」の中には、他にも面白い事案が隠されていることでしょう。

次の2つの案件は、まだ現代において実現されていない家電アイデアについて紹介します。

4:暖房機能付きテレビ(出願人:個人)

実全昭61-071858:テレビ付暖房器具

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実全昭61-071858(出願日:1984.10.16)

テレビ × 暖房 の新結合!

冬の ”おうち時間” を楽しむにあたって捗るアイデアかもしれません。本考案の効果として、「学生においては、本製品を勉強部屋に置き、暖を取り乍らテレビ(2)で教育番組を見て勉強することが出来る。」との記載がありました。他にも、例えば家庭内で暖を取る手段が本製品しか無い状況であれば、自然とテレビの周囲に家族が集まり、一家のコミュニケーション円滑化に寄与する素敵な製品となるのではないでしょうか。

5:洗濯機能付浴槽(出願人:松下電工)

特開昭63-238819:洗濯機能付浴槽

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特開昭63-238819(出願日:1987.3.26)

これは...!今度は 洗濯機 × 浴槽 の新結合です。

余ったお風呂のお湯を洗濯に活用する場合もあるので、確かに両製品には新結合する利点がありそう。洗濯機を置くスペースを有効活用できるのも魅力的ですね。

以上、5つの昭和レトロ図面を紹介しました。

家電のようにコモディティ化していると思われる製品分野においては、大昔の出願案件を眺めて、出願当時では実現性が低かったものの現在の技術力なら実現可能な価値あるアイデアを発掘するのも面白そうですね。

#特許図面 #家電 #新結合


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