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ムーミン谷のなかまたち シーズン3 第3話 あらすじと感想

令和アニメ・ムーミン谷のなかまたち 29話(シーズン3 第3話)「颯爽たるブリスク」
Moominvalley Season3 EP3 Brisk & Breezy


・公式予告編


・あらすじ
家族アルバムを見て昔を懐かしむムーミン一家。リトルミイはその中の一枚の写真から、ブリスクにとある疑いの念を抱くようになる。その疑惑を確かめようと、ブリスクのやることなすことに挑戦状を叩き付け気概ある彼を見届けようと期待するミイ。一方フィリフヨンカは晴れやかで完璧な日々に満足しつつも何かが気になっていた……。


・英語理解度
1回め(字幕なし):30~40%
2回め(英語字幕あり):70%
3回め(英語字幕のリーディングのみに集中):85%

字幕なしで観たら、話の肝のセリフを全く聞き取れなかった。
2回めでキャラの大まかな主張は理解できたが、色々気になる点が多々あり、計3回見た。


・感想
第3話はブリスクが主人公、と思いきや実際はリトルミイが大活躍します。
最初に字幕なしで見て、ああリトルミイを話の中心にしちゃ駄目だろう、「ムーミン」としてこれはルール違反だわ、今話はいまいちだなあ、と感じました。

リトルミイに感情移入して、自分もリトルミイのようになりたい!と思うムーミンファンってそんなにいないと思うんですよ。
だからリトルミイの気持ちに共感せよ、と制作者から押し付けられてるような気分になって、あまり面白くないなと思いました。
本当のリトルミイファンなら楽しめる回なのかなあ、なんてことを考えましたが…。

2回めに字幕ありで見たら、びっくり仰天しました。
1回めに感じたことは全くの見当違いだったのです。

話の主役も必ずしもリトルミイと決まってるわけではなく、視聴者の見方次第だったのです。
いまいちだと感じたストーリーも実は様々な含みを孕んだ奥の深いものだったことが分かり、ああリスニング力全然まだまだだなあ、と思いました。

また細かい点で気になるポイントが多々あり、今話は初めて3回見ました。
しかも3回めは音声を消して英語字幕を読むことだけに集中しました。そして気になったところは巻き戻してセリフを再確認しました。
色んな英語動画を今まで見てきましたが、こんなことしたのは生まれて初めてです。それだけ気になった回であり、素材がムーミンだからこそこんなことする気になったと言えます。

1回め見た時は星3つぐらいの話かな、と思いましたが、3回め見終えた時は断然星5つだと確信しました。
今までこのアニメのスタッフをナメていましたね。こんなに奥の深いアニメだったとは…。驚きました。


で、これより先ネタバレあり。注意です!


話の主役はリトルミイでもあり、見方によってはムーミンパパだったりまたフィリフヨンカだったり、人それぞれであり、また一番の主役は大自然とも言えます。

この回のメインテーマは「自然」とは、というもので、

・自然とどう付き合うか
・自然と共に生きるとはどういうことか
・「自然に」生きるとはどういうことか
・各キャラにとっての「自然」とは何か

という問題を扱っており、ひいては視聴者であるあなたにとって「自然」とは何か、という問いかけにもなっており、決して軽く流せる話ではありません。
各々の問いにアニメはどう答えを出しているか、刮目して潜思せよと言えるほどの内容になっています。

例えばフィリフヨンカはとある体験から、自然とは人と人との分断を促すものではない、その相手と共有しお互い一緒に過ごし体験するものであると喝破します。

この結論に至るのに、彼女は暴風に飛ばされてクルクル宙を舞うという不思議な経験をするのですが、このシーンが面白いのです。
フィリフヨンカは宙に舞っているのに、彼女の姪っ子たちは普通に地面に立っている。
ということは、このシーンは彼女の妄想ではないか、と容易に想像できます。
もしそうだとすると、彼女は自分の脳内だけで自分の不安を克服できた、自分だけの力で自分に打ち克ったと言えるわけで、これはフィリフヨンカにとっては万感の思いのする経験に違いありません。

原作をご存じのムーミンファンなら、フィリフヨンカの苦悩は一筋縄では行かないことは重々承知のはず。
そして原作では様々な体験を経て様々な答えを見つけ出してゆくのですが、今話のアニメではそうした実体験を経ずに直截的に答えに辿り着いたわけで、今話の彼女は原作より数段進化していると言えるでしょう。

しかしそれも一つの見方でしかないのです。見る人によっては宙に浮いたのも実際に起こった事だと言う人もいるでしょうし、それを完全に否定することもできないのです。
そういう各人の自由な見方をゆるしている、スタッフの懐の広いところを見せている演出であり、いち視聴者としては唸ってしまいます。

つまりフィリフヨンカの出した答えは制作者の押しつけなどでは決してなく、どう捉えるかは見る方次第という自由を与えている点で洗練された脚本であると言えます。

さて、他に何個か細かい発見がありました。

私は今までフィリフヨンカに従う3人の子は、彼女の息子だとばかり思っていました。
ところがセリフを聞いてビックリ。
子供たちはフィリフヨンカを「auntie」と呼び、フィリフヨンカは子らを「my nieces」と呼んでいるではありませんか! 叔母と姪っ子。
子供たちは女の子だった!
しかも実の子ではない!
ダブルでショック。
これってムーミンマニアにはとっくに承知の設定なんでしょうか?
私は自分を結構なムーミンマニアだと自負してましたが、全然まだまだですね。驚きの事実でした。

またムーミンパパのセリフで面白い語が。

ムーミントロール族に関する語なのですが、「Moominous」というのは知っていました。確かコミックで「そんなの全然ムーミンっぽくないよ」というセリフがあったような。ちょっと記憶が不確かですが。

今話ではなんと「Moomin-ing」という語が使われます。
動詞!!
こんなの見たことない!
いや新鮮すぎです。
「ムーミンしようぜ!」って日本語は…ちょっと無理がありますね。
日本語版でどう訳すのかすごく注目したいです。

他には「Moominkind」という単語も使われます。
これも見たことない!!
ムーミントロールといえば、"Moomintroll"、または、"moomintroll"。
この2つのどちらでもない"Moominkind"は一体どう訳せばいいのか…。
「ムーミン族」でしょうか? すると「ムーミントロール」の上に位置する区分けがあるということか…?
というか「ムーミントロール」と「ムーミン」の正しい区別って公式に決まってるんでしょうか?
ちょっとサラッと流すことができない単語が出てきましたが…。

あとは、名前だけですが、

Whomper(ホムサ)
Booble(竜)
Gaffsie(ガフサ)

の名が使われていました。
字幕はスペルが間違っていたような…? ちょっと記憶があやふやです。
ここも日本語版でどう訳されるのか要注目ですね。

英語で先に見ると、日本語訳が気になるという、これも一つの発見でした。

いやとにかく非常に興味深い第3話でした。面白かったです。


・おすすめ度
★★★★★

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