沖縄の米軍基地問題をめぐって
○ブログに、2010年5月10日に記述したものを転載しました。
総理大臣が(当時民主党の)鳩山由紀夫だった時に書いた文章です。
沖縄の在日米軍基地問題を考える際は以下の論点を考慮する必要があろう。
1・日本の領土にアメリカの基地が必要か。
2・必要である場合、在日米軍基地の75%が沖縄に集中している状況をどうするのか。
a.現在のままでよい
b.少しずつ沖縄以外の地域に移転すべき
c.沖縄の基地は必要最小限にとどめ、残りは沖縄以外の地域に移転すべき
d.すべての基地を沖縄以外に移す
3・2で「a.現在のままでよい」以外の選択肢を選んだ場合は、どの地域に移転するのかを考える。
基地をどの地域に設置するかは、まず第一には軍事戦略上の観点から決定するのが本来の在り方であろうが、(私を含めて)軍事問題について専門知識のない一般の国民がこの問題を考える際の思考枠組を提示しているだけなので、以下軍事的な問題は一切考慮せずに記述を進めます。
1の問題は、日本の軍事(防衛・安全保障)政策の基本方針をどうするのか、アメリカとの関係をどうするのかという、より大きな問題を考えなければいけないので、ここではこの問題は保留しておく。現在の政府は、アメリカの基地が必要だという方針をとっているし、国民の意見も不必要という意見が多数とはなっていないようなので、とりあえず2の論点にすすむことにする。
沖縄以外の地域に住む人たち(この言い方が不適切でないのなら本土の人たち)の、2の問題への対応はいくつかのタイプにわけられる。
(1)沖縄に在日米軍基地の75%が集中している状況を不公正・不公平だとは思わない人。
(2)上記の状況を不公正・不公平だと思うが、それでいいと思う人。
(3)沖縄の基地の一部(または半分あるいは多く)を本土に移すべきだ。だが、自分の住んでいる地域に移転するのは反対だ、と考えている人。
(4)自分の住んでいる地域に移転してもかまわないと考えている人。
本土の人の大多数は、(2)か(3)の立場、要は沖縄の人だけに負担を押し付けてかまわないと考えているエゴイストか偽善者なのだから、沖縄の基地負担が減るわけもないし、これから減る可能性もないだろう。
この問題を正攻法、まともなやり方で解決しようとしても、結局はよい解決法がなく、現状が維持されるだけなのだから、いっそ次のような馬鹿げたやり方をとる位しかないのではないだろうか。
沖縄の基地の一部(または半分あるいは多く)を本土に移す方針をとる。移転先はクジで決める。(ただし前述したように、基地の場所は戦略上の観点から決定するのが本来の在り方なのだから、その点を踏まえて幾つかの候補地の中からクジで決めるというやり方になるし、候補地に選ばれた地域では反対運動がおこるだろうから、結局は解決にはならないかもしれない。)
○自民党と鳩山首相
ツイッター上で、「鳩山首相を批判している自民党は、今度の選挙のときに<在日米軍基地の負担は沖縄に押し付け続ける>ことを公約にしろ。」といった主張をみかけた。私自身も似たようなことを考えていたが、民主党を無責任政党と呼び、自らを責任政党と名乗るのならそうすべきだろう。本音は押し隠したまま、曖昧な態度をとって現状維持を続けるのが責任政党だというのでなければ。
「政治家にとって大事なのは結果責任だ。」というセリフは鳩山首相に対してむけられるべき言葉だろう。沖縄の基地負担を減らしたいという善意から一連の言動をとっていたのかもしれないが、結果は鳩山首相が望んでいたものとは反対の方向に行きそうである。
沖縄の基地負担を減らすべきと考えている人こそ、きちんと戦略を立てた行動をとらないと目的は達成されないだろう。