37.日記4 近況、出演
8月末に小劇場演劇に出演した。役者をやるのは昨年3月以来だったし座組全員と初共演だったので緊張したが、実際に稽古が始まると懐かしい感覚がする。今回、人生で初めて座組の中で最年長になった。こういう機会が演劇に限らず増えていくような予感がした。座組は皆良い人ばかりで想像以上に稽古は楽しかった。
好きな脚本だった。ある真夏の日、大阪のどこかにある団地の一室で流れる家族の時間。家族だから許せることもあれば、家族だから許せないこともある。自分と他人は違う存在ということを人間は少年期から青年期にかけて学んでいくが、家族だけは純粋な他人として割り切れなかったりする。その微妙なラインを距離感や空気で見せる脚本で、映像にしても面白そうな本だった。役者としては関西弁のイントネーションには心から苦労した。
そういえば演劇を始めて干支が1周したのだと思う。発声や滑舌など色々な練習法やワークショップを経験してみたが、一番印象に残っているのは社会人になってから参加した劇団の稽古だ。立ち位置と重心で相手とのパワーバランスを見せる技法を理論で聞いたときは納得しすぎて興奮したし、「このあたりフィーリングでやってたわ…」と過去を反省した。即効性もあるのですぐ演技で使いたくなった。
演劇をやっていて面白いところは、自分たちの感性に向き合えるところだ。親しさや険悪さなど、人間関係や感情はどう表現すれば伝わるのか、そもそもどんな動作や状態に親しみや緊張感を感じるのか。感性のはたらきを分析して、言語化して共有し、協力してアウトプットしてみる。分析が誤ってたり言語化をミスったり表現が拙かったりすると当然失敗するので難しいが、たまに思惑通りハマると大変気持ちいい。これは観劇の楽しみではなく、演劇をやる楽しみなのだと思う。
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