大の

平成一桁千葉生まれ大阪在住/瑠璃と胡麻

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平成一桁千葉生まれ大阪在住/瑠璃と胡麻

最近の記事

37.日記4 近況、出演

8月末に小劇場演劇に出演した。役者をやるのは昨年3月以来だったし座組全員と初共演だったので緊張したが、実際に稽古が始まると懐かしい感覚がする。今回、人生で初めて座組の中で最年長になった。こういう機会が演劇に限らず増えていくような予感がした。座組は皆良い人ばかりで想像以上に稽古は楽しかった。 好きな脚本だった。ある真夏の日、大阪のどこかにある団地の一室で流れる家族の時間。家族だから許せることもあれば、家族だから許せないこともある。自分と他人は違う存在ということを人間は少年期か

    • 36.文フリ大阪12お疲れさまでした。

      2024年9月8日(日)に大阪で開催された文フリ大阪にサークル「瑠璃と胡麻」として参加してきました。結果としては既刊エッセイ、新刊評論ともに持ち込んだ9割以上を頒布することができ、ありがたいことこの上ないです。買っていただいた方々、お越しいただいた方々、両隣のサークルの方、運営の方、誠にありがとうございました。 イベント中、「自分も関東から大阪に来た」「大阪出身だけど東京に住んでいたことがある」「自分も都市同士の生活感の違いに興味がある」といった方たちと話す機会があり、エッ

      • 35.9/8(日)大阪文フリ参加します。【す-23 瑠璃と胡麻】

        あさっての日曜日、大阪で行われる文学フリマに参加します。最寄駅は大阪メトロ谷町線の「天満橋」駅です。紫色の地下鉄です。 文学フリマ大阪12 2024/9/8(日) 12:00〜17:00 ・会場: OMMビル 2F A・B・Cホール ・入場無料 【す-23 瑠璃と胡麻】 ・既刊 東京ー大阪の生活比較(エッセイ) ・新刊 〔考察〕仕事vs趣味vs生活(評論) 1月の京都文フリで売り切ってしまったので既刊の60頁エッセイを刷り増しました。さらに新刊として40頁くらいの評論も

        • 34.劇団不労社『悪態Q』感想

          幼稚園教諭のお遊戯の練習、サッカーの試合のハーフタイム、架空の生き物の家族、ネットスラングを話すマスコミと政治家。オムニバスで繰り広げられるシーンの連続は、全く別の作品を通して観ているような、それでいて通底する何かがある。 世界にはそれにあった文法と言い回し、つまり言葉がある。僕らも、家族との言葉、職場での言葉、友人との言葉、ネットでの言葉、フィクションでの言葉を使い分けるように、言葉は無数に存在し、故に世界も無数に存在する。目の前の世界、テレビの中の外国、ネットの中や宇宙

        37.日記4 近況、出演

          33.実質キングスマン〜J・S・スコット『フランス人は10着しか服を持たない』感想書評〜

          「普段なら買わない本を図書館で借りて読もう」のうちの一冊。今から10年前の2014年に刊行された、80万部超えのベストセラーだ。 もともとはジェニファー・L・スコットが2008年から執筆したブログ記事だ。 原題『Lessons from Madame Chic』のとおり、著者がパリへ留学した際のホストファミリーのマダム・シックから教わった様々な生き方の作法を紹介している本。ぶっちゃけ邦題は意訳しすぎというか、宣伝手法として振り切りすぎな気はする。読めばわかるがマジで10着し

          33.実質キングスマン〜J・S・スコット『フランス人は10着しか服を持たない』感想書評〜

          32.TRPG設定小説(冒険都市Z HO1)

          ※この小説は、新クトゥルフ神話TRPGシナリオ「冒涜都市Z~深碧の魔境~」のハンドアウト1 のキャラクター設定用に書いたものです。 ※本編のネタバレは含まれていません。  ケイ・スミス氏について私が知っていることは、典型的なケルト系の顔立ちに大きな痣があることと、爆音のような怒鳴り声を上げることだ。彼は私が勤める新聞社をよく訪問していた。個人としては珍しくタイプライトされた原稿を持ち、デスクの編成とよく口論になっていた。口論の内容は主に自分の原稿の扱いが軽いとか掲載料が安い

          32.TRPG設定小説(冒険都市Z HO1)

          31.砂の中で暮らすわれわれ〜石弘之『砂戦争 知られざる資源争奪戦』感想書評〜

          最近家の近所の図書館がリニューアルオープンするという僥倖にあずかり、普段なら買わない本を見繕っている。その中で目についた本。刊行は2020年。まあ正直おもしろくなさそう〜と思いながら、仕事上土砂に関係したこともあるので頁をめくった。 めちゃ惹き込まれる冒頭じゃん!! この1行だけで、われわれが如何に砂という資源の恩恵を受けているかわかる良い書き出しだ。 6章構造であり、内容はざっくり以下の通りだ。 1章 世界は都市化している 2章 各国がいかに砂を消費しているか 3章 

          31.砂の中で暮らすわれわれ〜石弘之『砂戦争 知られざる資源争奪戦』感想書評〜

          30.小5に薦めたい〜辻村美月『かがみの孤城』感想書評〜

          原恵一がアニメ映画の監督をしてたので「気になるな〜」と思いつつスルーしてた作品。最近、家の近所の図書館が「駅直結になり蔵書数大幅増」という激進化を遂げたので借りて読んでみた。 ああ〜〜〜〜〜懐かし良い! 「学校に行きたいけど行けない子どもたちが鏡の向こうの城に招待される」という王道直球の思春期ファンタジーストーリーが直球エンタメで素晴らしい。なんか『虹色ほたる』にも通じる直球さ。これは思春期の時に読んだら、家の鏡という鏡を毎日凝視していただろうな〜。 思春期の少年少女が不

          30.小5に薦めたい〜辻村美月『かがみの孤城』感想書評〜

          29.人間くささと恐怖〜鈴木光司『リング』感想書評〜

          自分はホラーというジャンルが死ぬほど苦手だが、『天久鷹央シリーズ』で本書が登場したことと、小説なら映画や漫画より耐えられるだろうと思って読んでみた。ホラーという一大ジャンルの金字塔として一度体験してみたかったのもある。 怖えけど怖いだけじゃない!!激辛だけど旨味もある麻婆豆腐みたいだ!! まず地の文の描写がとても写実的。人物の挙動や姿勢、表情についての描写も細やか。また、東京を中心に、箱根や鎌倉、大島などへ呪いの謎を解くために赴くことになるが、道中の経路や風景描写が写実的な

          29.人間くささと恐怖〜鈴木光司『リング』感想書評〜

          28.政治実験小説〜堂場瞬一『デモクラシー』感想書評〜

          みすず書房の読書アンケートで、竹内洋が挙げていたので読んでみた。堂場瞬一は本屋でしょっちゅう見かけるが読むのは初めて。 ほぉ〜〜〜〜〜!! 国会が廃止され、無作為に選ばれた千人の国民が「国民議員」として立法府となる世界を描いた政治実験小説。文体がシンプルかつどんどん展開が進むので、とてもテンポ良く読めた。 物語は主に以下の登場人物の目線で語られる。 ・議員に選ばれて不安な女子大生 ・新体制を作り直接民主制を推す現首相 ・旧体制復活を目指す都知事 ・国民議員を補助・監視す

          28.政治実験小説〜堂場瞬一『デモクラシー』感想書評〜

          27.日記「新しい町は良い」

          目覚ましの鳴らない7時前に目を覚ますと、首の左側が凝り固まっていた。昔から寝違えをする癖があり、決まって首の左側だ。変な寝相の癖でもあるらしい。 もそもそとベッドから起き出してパスタを120gぐらい茹で上げる。大皿に移してだし醤油とチューブわさび、作り置きのなめたけとごちゃ混ぜにすれば、即席和風パスタが出来上がる。混ぜる最中、立ち上がるわさびの匂いで現実が厚みを増す。ダンジョン飯を観ながらすぐに完食する。 筋トレをする日なのだが気分が乗らず、雀魂の三麻を何周かして勝って気

          27.日記「新しい町は良い」

          26.日記「最近好きな家事」

          最近好きな家事がある。ベッドメイキングだ。 これまで家事として認識していなかったが、眠る前に枕と掛け布団を整えるだけで、随分といい気持ちで眠れることに気がついた。 家事は生活の重要な一分野であり、自分を生かす活動という点で生活そのものと言ってもいい。自炊で腹を満たし、掃除で清潔を保つ。自分で自分の世話をしているようなもので、手間をかけた分だけの満足がある。自分が大切だから手間をかけるのではなく、手間をかけられたことで大切だと認識する。その効果は、生存に関係ない家事でこそ顕著

          26.日記「最近好きな家事」

          25.映画感想『LAMB ラム』

          予告編が不気味でゾクゾクしたのと、羊が好きなので気になっていた。prime見放題に追加されなので観た。 羊かわいい〜〜〜〜 ↓ うわっ……………… まず、舞台アイスランドの自然がとにかく美しい。どのシーンで止めても絵画のようだ。山間部だが、日本のように雑木林が生い茂るでもなく、草地が広がる高原といった光景だ。牧草地も家屋もフィヨルドの雲海が白く包み込み、人里離れた山間部は神秘的な雰囲気を出している。牧羊を営む夫婦の自給自足的な生活も慎ましく、現代版おとぎ話のようだ。 音

          25.映画感想『LAMB ラム』

          24.日記「買い物をたくさんした日」

          8時ごろ、重たい身体をどうにか持ち上げる。歯磨きをしたはずの口にはニンニクの臭いがこびりついており、喉や胸の毛穴はアルコールが張り付いているような感覚があった。昨日は友人と打ちっぱなしの後に牛角の食べ放題に行って酒盛りまでした。胃袋はまだ重たい。 フラフラと浴室に向かって蛇口を捻り湯を溜める。洗面所の室温計は10.7℃を示していた。待つ間にマグカップに水道水を入れてレンジで温め、ぬるい白湯を作る。すすると荒れた食道から全身にゆっくりと熱が広がる。昨夜は寝つけず、『リング』と

          24.日記「買い物をたくさんした日」

          23.共同体の横糸〜謠人和楽『民謡訪ねて300m〜唄に生きる〜』感想書評〜

          1月14日の京都文フリで買わせていただいた本。八軒屋浜にある石碑が登場すると聞いて読みたくなった。前の職場で八軒屋浜に関係する仕事をしていたからだ。 著者は信仰と民謡の類似性を上のように述べる。優しい目線だと思う。高校日本史並みの知識だが、人類が定住農耕生活を始めてこれから、共同体というものが生まれた。特に水田は水利権の問題もあり、隣人との競争も避けられない。我田引水という四字熟語の成り立ちも納得できる。共同体は生活の安定も生むが、身分の上下や望まぬ労役、妬み嫉み、軋轢など

          23.共同体の横糸〜謠人和楽『民謡訪ねて300m〜唄に生きる〜』感想書評〜

          22.言葉の強度〜シロナミ『金星』感想書評〜

          2024年1月14日の文学フリマ京都で隣のブースで買わせていただいた日記本。道いく人に片っぱしから声をかけまくるバナナのたたき売り実演販売スタイルだった我々と違い、自然と人が集まり滑らかに手渡されていく姿勢が美しいくらいにスマートで、こうありたいと思った。 あまりにも良すぎる。 シンプルな感想になってしまったが、本当に良い。買わせていただいたとき、日記本と聞いて背筋が伸びた。今回自分が販売したエッセイも、東京4年間大阪3年間のいわば回顧録で、広義の日記本のようなものだ。日々

          22.言葉の強度〜シロナミ『金星』感想書評〜