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#のののーとの1

「いってらっしゃい」

と決まって手を振る相手は忙しいのか後ろ姿しか見せない。夜は遅く帰って、朝は早く出ていく。これはすれ違いというレベルではない。もう別居だ。
結婚生活も長く続けていくと同じことの繰り返しとなる。マンネリだ。ここはビシッと言う時だ。

「あのさ、これはマンネリだと思うの。あなたは毎日朝早く出ていって夜遅くに帰ってくる。顔を見合わせるのはいつ?こんなこと言いたくないけど仕事と家庭どっちが大事なの?」
「はい?」

彼と私は初めましてだった。そうだった。さっきたまたま道ですれ違おうとしたら避けようとした方向と同じ方向に動いてしまってあーこれは気まづいなとなっていたのだった。
その状況から妄想して長い結婚生活に突入する私はすごいな。妄想界のスターウォーズだな。

「このSF妄想野郎!」
「言ったなーこの野郎!」
「ははははは」
「はははははは」
短期間の私の脳内世界

「あの?大丈夫ですか?」

という優しい声で我にかえる。
「大丈夫です。すいませんでした」
危うく病気と疑われるとこだった。人はだいたいわからない挙動や感情を病気ということにする。危うくその引き出しに私も入れられるところだった。

瞬時に妄想してしまうこの癖をどうにかしたい。最近は現実世界でもリアクションをとってしまうからタチが悪い。

とラーメンの麺箸で持ち上げながら止まっていた。この状態で妄想していたのか。

「インサートですか?」と隣の人に聞かれた。

「インサートではないです」
「よかった」

よかったのか?そしてこれはどこだ?現実なのか?まぁラーメンは美味そうだ。

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