【この曲がすごい! Vol.2】ピアニスト 小川典子さん
川崎ゆかりのみなさんに楽曲をお勧めしてもらう「この曲がすごい!」。今回は国際的ピアニストでミューザ川崎シンフォニーホールのアドバイザーも務める小川典子さんにお聞きしました。
今生きている作曲家を聴いて!
ジョゼフ・フィブス作曲 Night Paths
これまでいくつか作品を書いていただいているイギリスの作曲家ジョゼフ・フィブス(Joseph Phibbs)さんは最近特に好きな作曲家で、中でもコロナのロックダウン中に生まれたサクソフォンとピアノのための「Night Paths」は、ぜひ皆様にお聴きいただきたい曲です。
ジョゼフは物静かで、いつもどこか寂しい感じを漂わせています。「Night Paths」は私の友人のサクソフォン奏者が委嘱した曲で、できたてほやほやの楽譜が届いてすぐに試演した時「これは次元が違う(ずば抜けた曲だ)ね」と興奮して言い合ったほどでした。夜とか孤独(Solitude)を思わせる繊細な魅力のいっぽう、普段は控えめな彼のどこにこんな激しさを秘めているのか、と思うような荒々しい部分もあって、弾いていても聴いていても感動します。
彼は綺麗な旋律を書くことを恐れない人なので、いわゆる現代音楽が苦手な方でも楽しんでいただけると思います。クラシック音楽の作曲家って生きていないと思われがちなので、作曲家は生きているということを私たち奏者も知っているべきだし、聴いて下さる方にもお伝えしていきたいですね。彼の作品を特集する2/23のコンサートでは、ピアノソロの新曲も書いてもらっているので、それもぜひお楽しみに!
ピアニスト 小川典子さん(ミューザ川崎シンフォニーホール ホールアドバイザー)
英国と日本を拠点に、数々の世界的オーケストラとの共演や、リサイタル、マスタークラスを行う他、国際的なコンクールで審査員を務める。浜松国際ピアノアカデミー音楽監督。浜松国際ピアノコンクール審査委員長。国際音楽コンクール世界連盟役員。英国ギルドホール音楽院教授。東京音楽大学特任教授。ジェイミーのコンサート主宰。