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【この曲がすごい! Vol.5】(公財)川崎市文化財団理事長 中村茂さん

川崎ゆかりのみなさんに楽曲をお勧めしてもらう「この曲がすごい!」。今回は公益財団法人川崎市文化財団理事長の中村茂さんにお聞きしました。

10代の頃から今も歌い続ける曲

オフコース「幻想」

 中学校1年生の時に、友人と一緒に弾きたくて、当時、元住吉駅前にあった楽器屋でフォークギターを購入。確か、8000円くらいだったと思います。ギターを手に、矢上川の土手で渋川の橋の上で歌ったりしていました。最初はかぐや姫でコードを覚え、その後、オフコースやふきのとうなどにはまりながら、ビートルズのコピーバンドも始めました。高校では軽音楽とロックの二つの部活に参加し、高校1年生の文化祭では、学校の「武道館」でデビュー。その後も20代半ばぐらいまでは、たまに弾いていたのですが、いろいろと忙しくなって、音楽から離れてしまっていました。ひょんなことから、23年7月に高津区にある溝ノ口劇場のステージに立つことに。人前で歌わせていただくのは30年ぶりくらい。その久しぶりの解放感に目覚めてしまい、それ以来、ことあるごとに、恥も顧みずに歌っています。
 そして最近よく歌うのは、10代の頃に歌っていたオフコースの「幻想」です。1975年12月に発売されたアルバム「ワインの匂い」に収められている「幻想」、小田和正作詞、鈴木康博作曲で、二人の初の共同作品です。この「幻想」は学生運動を思い起こしながら作られた楽曲と言われていますが、1975年当時は60年代後半までの社会の高揚感が消え失せ、オフコースの二人は20代後半。「同じ時代に生まれ、いくつかの同じ季節を過ごして」、何を感じていたのでしょうか。
 この歌の歌詞とメロディーから、どんなメッセージを読み解くかは、この歌に出会った人それぞれの自由。正しい解釈や決められた解はありません。だからこそこの歌、「幻想」に向き合い、これからも自分なりに歌い続けていきたいと思います。


中村茂さん

公益財団法人川崎市文化財団理事長
川崎生まれ、川崎育ち。大学卒業後、民間企業勤務を経て川崎市役所に。環境まちづくりや市民活動支援、市民自治、コミュニティ施策、文化行政などを経験し、2024年3月に退職。6月から現職。

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