見出し画像

EV電気自動車が高価なわけ

EVが世の中で話題になってきました。

テスラmodel3もちょこちょこと街中で見かけるようになってきましたが…

乗っているオーナーにしてみれば、

電気自動車を買ったぞ!

だけでなく

高級車を買ったぞ!

という思いの方も多いのではないでしょうか?

安くなった。といってもまだまだ高いEV(電気自動車)のわけ。に迫ります。

1.リーフのデビューと経済事情

日産のリーフは、エンジンを搭載せず排気ガスを一切排出しない、ゼロ・エミッションカーとして開発され、滑らかで静かな走行性能を誇る、革新的で未来的なEV(電気自動車)として、2010年12月に誕生しました。

当時の航続距離は200km
価格は400万弱でした。

しかしながら、航続距離200kmでは街乗りが限界で、バッテリーの劣化なども話題になり、官公庁や一部の富裕層など、購入者は限られました。

それでも、電気自動車という新しい幕開けでした。

画像1

2.テスラのどこが画期的だったか?

当時、電気自動車の開発を模索して、各社が断念した経緯は、ほとんどが、バッテリー問題。
でした。わかりやすく言えば、これが高すぎる。

一般の人がギリギリ買える値段である400万円程度で完成させたリーフは、画期的だが商売としてはお世辞にも成功とは言えなかった。

値段を下げれば、貯めるバッテリーの量が限られ、航続距離が落ちる。航続距離が落ちれば実用的でないので、買えない。という悪循環となる。

ここに、画期的な提案をぶつけたのがテスラ車。

①高級車という割り切り

安く作ろうとするから、無理が出る。値段ではなく、航続距離をむしろ重視して考える。

そこにモーターという加速度に優れた特性で付加価値をつける。

というやり方です。
初めての普及モデルとなったテスラmodelSは、2,000万弱。とても一般人には買えない。
でも、航続距離は400kmを超え実用に足る。
加速は、そこいらのスーパーカーでも勝てないレベル。

だから、安いでしょ!という戦略。

画像3

②それでも高いバッテリー価格をどうするか?

最近までのテスラ車のバッテリーは、パナソニックが供給していました。これは、知っている人も多いと思いますが、では、パナソニックがどうやってテスラ向けバッテリーを作っていたのか?

答えは…テスラ向けなど作っていません。

バッテリーをいかに安くするか?という課題にテスラが出したのは、汎用品を使う。ということでした。

要は、ノートパソコン用のバッテリーを使って、車載用の専門品は作らない。という戦略。

それこそものすごい数のノートパソコン用充電池を敷き詰めて、一つのバッテリーを作り上げるという戦略。

画像2

↑テスラに積まれていたノートパソコン用バッテリー

これなら、パナソニックも専用開発品が必要なく、どのくらいの数量をいくらで提供するか?という問題だけになります。
もちろんそんな大量のバッテリーを制御するのですから、技術は必要です。

電圧を安定させるには?発熱を抑えるには?
テスラの技術開発はここに集約されました。

ちなみに、抑えに抑えたバッテリーの金額は800万円程度。本体価格の約半分ですね。

当時、この性能を他社が専用バッテリーを作って真似しようとすると、3000万以下では出せない!となったのは、当然だと思います。

テスラの画期的だったことは、
高級電気自動車というブランドを確立させたことと、他社では真似のできない破格の安さだった。と言えます。

3.各社の戦略

近年の電気自動車参入で、各社の戦略はキレイに二つに分かれます。

①価格型(日産、主に国産車)。

一つは、価格型。購入者が買えるギリギリの価格がまずあって、そこは動かさずに、いかに高性能なものを出していけるか?というもの。

これは、圧倒的に先駆者の日産が代表例。あとは、主に国産車メーカー。やはり先駆者の日産が有利な位置にいます。
ホンダのe-hondaの予約は好調らしいでが、乗れば分かります。セカンドカーとしてしか多分使えません。
これに対してトヨタがどのように出していくか?ですが、固体電池のような画期的なものでも出さない限り電気自動車のグローバル市場で勝ち残っていくのは、容易ではないと思います。

それは、この戦略は、常に低価格競走になるという致命的な部分があるからです。

新しいものを同時に作り始めたら、日本はコストの安い中国などに勝てません。
自動車は日本の基幹産業なので、国内において簡単に負けるとは思いませんが、自動車市場が縮小傾向で、世界販売台数の一部にしか過ぎなくなってしまった日本市場で、勝っていてもあまり意味はないと思います。

トヨタはどちらかと言えば、レクサスで高級車を売った方が相性は良い気がします。


②性能型(テスラ、おもに輸入車)

次に性能型。まず性能があり、その中でできる限り安くしていく。という戦略。
あとは、高くても、性能が良ければブランド力を付け加えれば売れる!となったのが、ここ最近の流れです。

ポルシェ、ランボルギーニ 、メルセデス、アウディ、BMW、ボルボなど、我先にと新型電気自動車の発表が相次ぎました。
しかしながら、この戦略の欠点は、
そもそも高価格であるため販売台数そのものは伸びない。ということです。
高性能(スポーティ)かつ高価格を売りにできるポルシェ、ランボルギーニ などは、さておき、高級路線とはいえ、1000万円程度で販売しなければならないメーカーは、厳しい戦いを余儀なくされると思います。

最近、新型EV見に行きましたが…
エンジン車のフラッグシップモデルと同価格になるEVでは、内装含めて、やはりかなり見劣りします。
(同じ値段なら、高級車に見えるエンジン車を買った方が満足度が高い。となるケース。メルセデスならSクラス。アウディならA8クラスと同じ価格帯なのに、それでも航続距離などに不安のあるEV買いますか?という問題。)

画像4


4まとめ

要は、バッテリーが高すぎる。という結論です。

逆に言えば、今圧倒的に電気自動車を売っているテスラは、バッテリー価格が下がるにつれて価格そのものを値下げしていますから、そのスケールメリットに勝てるメーカーは、ほとんどなく、
なんだかんだでテスラのmodel3が一番お得。ということになります。
少し気になったのは、上記で戦略区分をテスラ型と表現しましたが、2021年第一四半期(1〜3月)テスラの出荷台数約18万台のうち、モデルS、モデルXの占める割合は2,000台程度しかありません。モデルチェンジ発表直後とは言え、1%程度しかないのです。

逆を言えば、テスラが大衆車で勝負に出てきた。と明確にわかる数値でした。
もはや、テスラは高級車メーカーではないかもしれません。

実用性がある。という意味で、今年の夏には日産アリアが発売になります。
日本ではまだ発売されていないテスラmodelYとの比較で世界販売においてどちらが勝つのか?

実車を試乗できるのを楽しみにしています。



いいなと思ったら応援しよう!