220710

何を隠そう「親しい人と交換日記を始めた友人」とはわたしのことである。
10年、Twitter越しに思い続けた。10年、空中リプライで会話をし続けた。
10年である。向こうからのほんのりとした、「嫌悪されてはいないであろう」という、これまたほのかな気持ちを抱いたまま、10年、何も無かった。
そこで切り出したのが「交換日記」であった。まずはお友達からよろしくお願い致します、といった心持ちである。

かたや、この「ひとつの大きな真人間」である。
我々は先述の10年思い続けた"彼の方"……とまではいかないが、現時点で5年ほどの付き合いがある複数人のMemberで構成されている。

先の日記で書かれた「この交換日記がはじまった切っ掛け」に対して、少々の追記をする。

例の神社

「わたしたちのいいところ(人並みな部分)をパーツとしてくっつけ合えば真人間になれるんじゃないですか?」
恐らく発起人の発言だったように記憶している。
たしかに。
我々もそれなりに長い付き合いだ。先の日記ではリモートシェアハウスでもしているのかと書かれていたが、作業通話と称して一日20時間ほどの時間を共に過ごしたこともある。(多分絶対、ほどほどにして睡眠時間を確保した方がいい。)
その中で、各々が人間として生活を営んでおきながらも、己の内の一長一短な性質によってもんどり打つように、日々をなんとかなんとかやり過ごしているのを知っていた。有り体に言うと、全員、誰一人として、「自分は真人間です!」と胸を張って言うことが出来ない状態なのである。

そしてそれぞれの人並な――「真人間」な部分を「足して割るべく」我々はひとつになった。そして満足して、元のMemberの人数分に再度配分することを忘れていたのである。つまり、いびつな粘土の小かたまりをくっつけあった、粘土の大かたまりが、残った。
そして――「ひとつの大きな真人間」は出来上がった。大きいのはそのせいなのだ。

混濁する意識の中で、わたしは「"彼の方"とおだやかな地に引っ越して同棲したい」「そのためには"彼の方"に対して恥ずかしくない、真人間になりたい――」という意識を辛うじて保っている。
ひとつの大きな真人間となってしまったわけだが、まだまだ真人間度が足りない。そう思ったひとつの大きな真人間のうちのわたし、わたしである、わたしが、自由意志で勝手に担当する部分は「脱・セルフネグレクト」である。

外に出ない、食べない、寝ない。不健康極まれりのこの体を作り変えて、"彼の方"を支えて余りある、独立したひとつの真人間になることが、わたしの当面の目標だ。
そうじゃないと、もしも"彼の方"、そして残りの中途半端に大きな真人間の部分が瓦解しかけた時に、ひとつの大きな真人間として踏ん張る膂力が足りない。圧倒的に足りない。

とりあえず、明け方のまだ人がいない時間に外に出てちょっとだけ散歩をすることにした。そして「これだけ食べておけばとりあえず大丈夫」系の、いわゆる完全栄養食をモソモソと食べる頃にはくたびれて寝ている。
完璧だ。この完璧なリズムを保っていけば、いつかわたしもひとりの真人間になれる……はずだ。

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交換日記の体なので、日記らしいことも一応書いておこう。
先に書いた通り、わたしはいわゆる引きこもり生活を送っているので、なかなかここに貼れるような写真を撮る機会も無い。

今日は日曜なので8時に起きた。普段はもっと早い。前日大雨が降っていたこともあって、今日の散歩は諦めていたが、なんとな~く、晴れている。
そのあと完全栄養食として手元に置いているうちのひとつのパンにピーナッツバターを塗ってモソモソと咀嚼し、机に向かう。
仕事関係のメールが来ていないことを薄目でこっそりと確認し、"彼の方"から返ってきた、それはもう――わたしにとっては恋文と呼んでも差し支えのない交換日記を拝読し、小一時間ほど胸をときめかせ、そして一国民として国民の権利を行使するため近所の学校へ向かった。わたしは休日や大雨の日など、点くべきところに電気の点いていない薄暗い校舎に若干の興奮を覚える質である。なんか特別感あるから。ブルーシートとパイプ椅子の設えに無表情で待ち構えている役員の皆さんに軽く礼をしながら、国民の義務を行使する。もう何度か国民の義務を行使する機会を乗り越えているが、未だに場内を巡る順番と取るべき振る舞いがいまいちわからない。微妙にギクシャクしつつ、わたしは国民の義務を果たし、逃げるように巣へ戻った。
そしてまた午前中に拝読した恋文――恋文に目を通しては胸の動悸を早め、その後は3Dソフトを勉強するという名目で画面の中にコップや椅子を作って遊んでいた。2時間ほど経ったところで脳みそのシワがギュワ~と縮こまっていくのを感じたため、席を立ち、リングフィットアドベンチャー(いわゆるRFA)のボス戦で敗北を喫し、ふてくされて交換日記を記すべく筆を取った。

そろそろくたびれて眠くなってくる時刻である。
だが真人間になるためには……お風呂に入らなければならない。

このように、あまり書くべくこともないわたしのパートではあるが、いずれ何かしらのコンテンツ性を編み出していきたいものである。
でもいきなり真人間になると負荷が高すぎて体が壊れちゃうかもしれないからね。何事も程々に、徐々に高めていくのが肝要である。

それでは"彼の方"との交換日記をまたネットリ……と読み返して、高まった勢いのままにわたしはお風呂へ行ってくる。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

追記:
この前日、わたしは朝から天気が良いことに気を良くし、マットレスの上に敷いている薄めの敷布団をベランダに干した。
そして夜中まで忘れていた。
思い出した頃には土砂降りも土砂降りである。降り始めて5時間は経っている。わたしは全てを諦めて――びしょびしょの布団はベランダに放置して、そのまま寝た。
今日も雨だったらどうしようと嘆いていたが、不意な晴天に恵まれて、先程取り込んでみたらなんかいつもよりいい匂いでいつもよりふわふわだった。
「このまま敷いて寝てもいいかも。」とこぼしたら、リモートシェアハウスの人に「やめなさい。」とたしなめられた。明日にでもコインランドリーに行きます。

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