APE OUT……やがてゴリラになる者たちへ告ぐ(あごぶろぐ)
自分は常にゲームをしているがその全てをこのNOTE大陸へ石碑として遺そうとは思っていない。なぜならインディーズゲームというシャンバラは危険な王国であり自分の後を続くことになる冒険者の夢を、希望を踏みに汁邪悪なる罠も数多く待ち構えているからだ。自分もたまに罠に掛かり足をくじいたり任天堂ポイントを無駄にし、苔むした岩の上で歯がゆさや徒労感に呑まれて脱力することがある。宝箱を開けたら空でその底から毒針が飛んでくることには驚きもしなくなった。インディーズゲームという宝物庫は危険に溢れ、一つの成功の裏には数えられない失敗がある。
だが……そんなしみったれた記録をメソメソしながら残すことで成長はできない。例えばTwitterでヘイターとして絶賛活動中の奴らとかは年がら年中、文句を言っているが何か進化の兆しが見えたことはあるか? 少なくとも自分にはない。つまりそういうことだ。真の戦士となる険しき道には不必要……そう理解しているからわざわざ書いて残したりしないだけだ。こんなとき自分はFitBoxingとかでストレスをハッサンさせてからこの大地へと戻ってくる。そして次なる旅へと備えて、ただねむる……だがこの日だけは違った。自分は住処へ戻ってくる前に唐突に意識を失い、気づいたら……体がゴリラになっていた。
Devolver DigitalがSwitchとかSTEAM用に発売した野生のゲーム……それが『APE OUT』だ。この危険と興奮の体験超特急への切符は・・・たった1500円。やすいのか? 高いのか? 人それぞれだと思うが自分は安いと思った。さて、本格的に類人猿の話を始める前にトレイラーを見ればどういうゲームなのかわかるのでまずはそれからだ。トレイラーは1分あれば見れるので1分間ほど待つ。慌てないでいいからちゃんと見てきてくれ。自分はその間につまみを用意して持ってくる。見終わったら乾杯しよう。
……よし、見届けたな? 軽快な音楽に合わせてゴリラが檻を破り飛び出し、駆けていくさまを。人間たちは泡を食ってそれを追うが、ゴリラには知性があるから一筋縄にはゆかない。物陰に姿を隠し、いっしゅんの隙をついて人間どもを壁のシミに変えるだけの知性がある。残虐な行為だと思うか? だがトレイラーには世界観が細かく描かれており、どうやらゴリラはなんらかの実験体として囚われたということがフラスコなどの物体からわかる。その場所からの脱出劇が描かれるのだ。
人間たちは武装し、ゴリラ逃がすまいとする。だがゴリラには正当性があり、ジャングルへと還りたいし仲間と再会したい。人間とゴリラ、二つの思想がぶつかり合い、火花を散らし、鮮やかな血と肉塊がばら撒かれる最高のゲームだ。自分はこれをやって太古の律動が胸によみがえり、熱い気持ちになったので紹介記事という拳を叩き込むためにここへやってきた。「ゴリラのパワー象徴的人気にあやかりたいだけのバカゲー?」そういう決めつけをしたうらなり野郎が青白い顔を向けてバカにし、宇宙開発ストラテジーとかに戻るのはがまんがならない。この記事という拳は電波さえあればどこへでも届くということを教えてやる。
・理不尽なる実験が哀しき生命を生み出す
トレイラーを見た時点では囚われたゴリラについて他人事に思ったはずだ。だだっ広い映画館の真ん中、赤いソファに背中を預けて片手にコーラでも持って上映が始まるのを待つ気分だろう。「ゴリラが脱走して人間と戦うんだ。へえ~」パンフレットのあらすじを流し見して片手につまんだポップコーンを食べたはずだ。だが、他人事でいられるのもそこまでだった。映画館の暗がりから唐突に特殊部隊が現れ、のんきしていたところにしこたま麻酔銃を撃ち込んできたからだ。この記事を読んでいるヤツは為す術もなく昏倒してしまう。意識は闇に溶け、平和なりし日常は跡形もなく消えていく。
そして気がついたら体がゴリラになり、狭くつめたい檻の中に押し込められていたわけだ。居丈高な警備員が銃を持って檻の前に立ち、舐め腐った視線をこちらに向けてきている。隣の檻からは他の動物の死臭が漂ってくるだろう。ひどい臭いだ。どうしてこうなった? 絶望的な光景を見てようやく他人事ではいられなくなっただろう。そうだ。これは映画の世界じゃない。リアルだ。プレイヤーは、ゴリラになってしまった。
暗黒企業のじゃあくなる実験は森の動物と人間を混ぜ合わせるという近畿の領域に足を踏み入れたものであり、実験体として捕まったことでプレイヤーはゴリラの体に人間の頭脳を併せ持った存在になってしまったのだ。「ママ、どうすればいいの?」「これって・・社会保険は利くの?」悲観的な現代日本人であるところのプレイヤーはあまりの逆境に沈み込んでしまいそうになる。だが・・・ここで思わぬ化学反応が起きた。
ゴリラの本能だ。ゴリラは森に還りたいし、仲間を助けたい。そのための勇気と力という野生を秘めている。そしてプレイヤーも還りたい。友人、家族の元へ。日常へ……その二つの魂がUNISONしたとき、この冷たいコンクリートジャングルに太古の律動が蘇る。原始的な怒り。体制への怒り。環境への怒り。プレイヤーは怒りの化身となり、抑圧されし闘争本能が呼び覚まされる。
皮肉なことだが現代社会という檻の中でよくあつされ育ったプレイヤーはゴリラになってようやく、内から湧き出る怒りを自覚したはずだ。ならば次に行うことは簡単……檻の目の前で鼻をほじっている警備員の頭をガラスごとかち割り、走り出せ。それが本能と理性を併せ持つバイオゴリラとしてのプレイヤーの産声だ。
・どういうゲームなのか?
自分は買う前に入念なリサーチをする。そして洋画でよく見るみたいにホワイトボードに紙を貼って赤ペンで繋いだりバツしたりする。そうして集めた情報によるとAPEOUTは「HOTラインマイアミ」に似ている見下ろし型のゲームだ……とウィキペディアに書いてあった。自分はホットラインマイアミをまだやっていないが、おそらくそういうことだ。特徴的なのは単色のシルエットのようなグラフィック。そしてゴリラがゆく先々に人間の血とガラスの青が撒き散らされ、まるでアートかのように床を染め上げる。
ゴリラの目的はこの地からの脱出であり、横に長いマップの一番右に到達できればそのステージがクリアできる素直な造りだ。そこまでの道のりは迷路のように複雑になっていたり人間が巡回しているが、要するにゴリラが死なずに踏破できればゴリラの勝ち、阻止できれば人間の勝ちというシンプルな対決となる。人間を殺すほどハイスコアみたいなのはたぶんないので生き残ったやつが勝者となり、末代まで語り継がれる伝説の勇者になる。
死んだらどうなる? 全体マップが表示され、志半ばで倒れしゴリラの足跡が示されるのでちゃんと見ておいたほうがいい。このゲームではチャレンジごとに軽くマップの構成が変化するが大きなオブジェクトとかの位置はおおよそ変わらないので地図を頭に叩き込んでおくことで有利に立ち回れることがあるからだ。敵から姿を隠すための遮蔽物が多いルートを選んだり、敵が少なそうなルートを選んだり……持っている知恵を有効活用しろ。
「ゴリラになったから、直進しかしない!」そういうヤツも出てくることも自分はお見通しだ。だが、その手のヤツは決定的な勘違いをしている。ゴリラはゴリラでもプレイヤーは人間知能を持ちしバイオゴリラであり、頭で考えたらダメみたいな野生のルールはどこにも存在しない。そもそも現実のゴリラも危機が近づけば脱そうとアレコレ考えて回避しようとするはずだ。極端な思い違いで死にまくるのはただのマゾのすることだから早めに改めろ。
ではこのゲームは暗がりから暗がりへと移動してステルスを繰り替えすだけの爽快感の欠片もない地味な造りなのか? もちろん違う。トレイラーにあったようにゴリラの強烈な一撃は人間を粉砕し、真っ二つにする。
ゴリラをナメていた人間すべてが泣いて平伏し、企業アカウントTwitterとかがゴリラをナメた発言をしたことを謝罪しても許すことのない消えぬ暴力の炎となり、狭い通路を駆けて世界を人間の血というインクで染め尽くすことも可能だ。ただし、考えなしのゴリラではジャングルにたどり着く前にビルの谷間とかで冷たくなっておしまいになるため、この記事には立派なゴリラになるための操作法・レッスンなどをちゃんと残しておく。いずれゴリラになる宿命を背負いし者たちのための、わずかばかりの餞別だ……。
ゴリラにできるダッシュ以外の操作は二つだけ。「ゴリラパンチ」「ゴリラつかみ」……この二種類だ。そしてそれだけで完成されている。一つずつ説明していく。「ゴリラパンチ」は要するに目の前にいる人間を殴りつける本能ほとばしる一撃だ。ゴリラの有り余る膂力でなぐられた人間は吹き飛び、何かにぶつかるといともたやすく潰れトマトのようになる。さっきまで人間だった両手と胴体が辺り一面に散らばるわけだ。これは、かなりのゴアだ。窓から突き落とされた場合は遥か下のほうで染みが広がる。さすがにレーティングがついてるので子どもは買うな。子どもにやらせるな。でないとPTAとかがゴリラに文句を言い始める。自分はPTAに文句言われて縮こまるゴリラ界隈なんて見たくない。だから注意しろ。
パンチ? 人間は武装しているのにそんな近くに寄る余裕があるのか? 人間だった時代にFPSとかで慣らした新人ゴリラは疑問に思うかもしれない。その疑問はもっともだ。しかしゴリラと接敵した人間はちょっとビビり、および腰になるのですぐには撃って来ない。これはご都合のゲームシステムなどではない。現実的に考えるとどれだけ日頃イキってるヤツでも訓練を受けてるヤツでも部屋の窓からゴリラが登場したら驚きでなにもできなくなると思うのでリアリティがあると自分はおもった。
とはいえ人間たちは群れているので多少ビビらせても平静を取り戻したら撃ってくる。ゴリラは屈強だ。だいたい三発までの銃弾は耐える。しかしあらゆる方向から撃たれたらどうなる? いくらなんでも蜂の巣になって死ぬ……そういう場合にパンチだけで乗り切るのは不可能だ。ゴリラ・オブ・ジ・エンド……哀れな実験体は回収され、次の被害者が拉致されてくる最悪の流れになっただろう。だが幸か不幸かバイオゴリラとなったことでプレイヤーには人間のずのうがある。パンチが本能の一撃なら、「ゴリラつかみ」は理性の一手だ。これを使いこなせ……。
ゴリラは「ゴリラつかみ」で身近な人間を掴み、引きずって動かすことができる。掴まれた人間は焦りと恐怖のあまり失禁し、手に持っている武器を暴発させる。無理からぬことだろう。この「ゴリラつかみ」は立ち回りに無限の選択肢をもたらす。掴んだ人間を銃撃のために使ったり、他の人間にぶつけて殺したり、盾にして狙撃を防いだり、窓の外に放り出して道路のシミにしたりできる。パンチか? つかみか? 二つの選択肢をすばやく選択することができればいずれ一個大隊とも渡り合える歴戦のゴリラになる。逆に言うと人間の前に飛び出していってもどう動くか? というヴィジョンを描けてないヤツはただの考えなしゴリラとして淡々と処理される。位置関係から最初に殺す相手を決めろ。奴らに鉄槌を下すのはそれからだ。
・怒りのセッションが木霊する
これまで説明した内容を聞いた者は「なるほど、ゴリラを慎重に動かすゲームなんだね」と思うに違いない。ステルスしつつ適宜じゃまな人間を退かしていく……システマチックに進んでいくアクションなのだと。しかし冷静たらんとするバイオゴリラの本能をくすぐり、闘争心に火を付ける仕掛けがこのゲームに隠されている。それこそが太古の律動……つまり音楽だ。このゲームのBGMはフリー・ジャズ・ドラムで構成されている。そして、ゴリラが人間を殺した際にはドラムが鳴る……キルSEがドラムということだ。徐々にではあるが・・解ってきたはずだ。本能レベルでの理解が進み始め、ゴリラアドレナリンが湧いてきた……違うか?
要するに流れているフリージャズの中でキルすることでドラムセッションが生まれるということだ。BGMは敵に近づくことで徐々に盛り上がっていき、交戦しキルするごとにゴリラドラムが高らかに叩きつけられる! トンツクトンツクトンツク……ジャーン! そういうふうにだ。この仕組みは巧妙であり、没入感が増して本当にゴリラに近づいていく恐ろしいギミックだ。物陰から出ずにステージの隅を歩こうと思っていても、敵が増えれば増えるほどドラムを鳴り響かせたくなり物陰から飛び出してキルしたくなる……リスクより闘争を取るようになるのだ。
このゲームは実によく出来ており、あまり考えなしだと死ぬがいきなり飛び出しても位置や動き方さえ良ければ何とかなることも多い。これがもう少しシビアであれば頭が冷え、慎重さを胸に刻んで行動せねばならなくなるだろう。出て行っても何とかなる……熱烈に人間というドラムを叩きたい……その感情が暴走し、気づけばゴリラは敵へ向かって駆け出している。人間を殴りたくなるように仕組まれているのだ。リズムに支配され知らぬ間にプレイヤーはゴリラそのものになりきるようになる。
この辺りのシステムは絶妙でかなり良く考えられており、おそらくこのゲームの制作陣はかつて実験体としてゴリラと融合させられた元人間なのだと自分は当たりを付けた。かつて囚えられたが脱獄し、自らに起きた出来事をそのままゲームにすることで社会に警鐘を鳴らしている……そういう真に迫るゴリラ感がある。ビリビリと肌にくる緊張感をゲーム全体が放っている。それを感じたからこそ自分は真剣に向き合い、ゴリラとして戦い……ノーマルモードをクリアした。後半は戦争そのものの様相を呈し、腕力だけでいかんともしがたい戦力差に何度も夜空を見上げながらぶざまな亡骸をさらした。だがその度に立ち上がり、両腕で地面を叩いて敵へ向かっていった。そうして生き延びての今がある。
・立ちふさがる人間
序盤はゴリラをナメきって警戒の薄かった人間たちも解き放たれしバイオゴリラの猛攻を見て考えを改め、本気で向かってくるようになる。それに対してゴリラが持っているのはゴリラ筋力……そして人間の知恵のみ。このゲームには都合の良いパワーアップアイテムが出てきたりはしない。ゴリラのスペックは終始変わらないから銃弾を三発撃ち込まれれば死ぬし、ロケット弾なら一発で爆死する。ならば狩られっぱなしになるか? 負け犬ならばそうなるだろう。だがプレイヤー=バイオゴリラ。哀しき実験によって弄ばれつつも誇り高き魂を失っていない、頼もしき戦士だ。立ち上がり、学び取り、復習の機会を窺え。ここには先達としてそれを手伝うために仇敵たる人間どもの情報を残しておく。
→兵士
チュートリアル時点でガラスの前に立って鼻をほじってるあほを筆頭とした一番ポピュラー人間だ。ゴリラを強化ガラス程度で閉じ込められると本気で信じているので人間の中ではもっとも知恵がない個体だと言えるだろう。こいつらはただのライフル銃で一発ずつしか撃ってこない。こんなやつを掴んで一発だけ撃つのはかんぜんに時間の無駄だ。敵に向かって投げつけてベーコンレタスサンドにしろ。
→ショットガン
こいつらはゴリラを相手にしているという自覚をちゃんと持っており、前半から後半まで出てきてショットガンをぶっ放してくる厄介な人間だ。こいつらは防弾チョキを着ており、ゴリラパンチの衝撃は防げないが銃弾をいっぱつくらい防いでしまう。ショットガンの範囲は広く、近いとまず避けられない。先に掴み、盾にしつつショットガンを暴発させてやるといいだろう。またダメージはなくとも何かをぶつけられるとノックバックするので一兵卒をぶつけてひるませてやるのもいい。
こいつらは防弾チョッキを着ているのでフレンドリーファイアにも強く、うまくカチ合わせても撃ち合って全滅とかにならない。序盤は一人で偉そうにうろついてるので壁に叩きつければ済む話だが後半ひらけた場所にこいつらが6人くらい出てきてショットガンを構えたら? 考えたくない話だ。一人を盾にするか、遮蔽物に隠れて逃げ切ってしまうのもアリだろう。
→爆弾工作員
爆弾によるあぶり出しとライフルによる銃撃を使い分ける特殊な工作員だ。だがこいつはゴリラと戦う訓練は受けていない。つかんで放り投げ、人間爆弾にしてやれ。
→緑のすばしっこいやつ
ちいさくて掴む価値もない弱きじんるいだが引き撃ちする頭があり、逃げられると厄介だ。物陰から飛び出し、一瞬で息の根を止めろ。
→マシンガンマン
マシンガンを持って出てきて乱射するがこいつはクソAIMだ。スプラトゥーンに出ていったら一瞬で小がく生とかにボコられてインクまみれで破裂するだろう。だがこのゲームはスプラトウンじゃないので三発くらったら死ぬ銃弾を撒き散らすこいつは脅威以外のなにものでもない。何とかしろ。
掴んで乱射させることで最強の矛となり一斉掃射が可能であり、他のヤツと違って持続火力があるので掴んで暴れ撃ちさせる価値が最も高いと言っていい。だが同時に覚えておかねばならないのはコイツを掴んでいるということは他にもマシンガンマンがいるということであり、その乱射に対して人間の盾など何の役にも立たない……マシンガンマンを掴んで世界王者になった気分はさっさと捨て、新たなマシンガンマンが出てきたら柱とかにすぐ移動しろ。獣の危機察知能力が働けば、できる。
→火炎放射
トレイラーでの動きがかっこいいアイツだ。この辺りからようやく人間たちはゴリラの強さに恐れおののき、こいつを実戦投入する。かえんほうしゃは当たると火傷になり、銃弾と同じダメージを受ける。つまり派手なエフェクトよりは大したことはないのだが、こいつらは火炎放射器を持って執拗に追っかけてくる強気の姿勢を持っており、プレイヤーは火という文明の暴力に追われることで注意力サンマになり他のショットガンマンとかが見えなくなり、死ぬ……そういうことが起こる。
しかもこいつらは接敵からすぐに引き金を引くので投げる前に火傷を負わされることも多く、近づくこと自体が割りとリスキーだ。掴んでも射程があまりないので遠くから銃撃されたらマズい。さらに壁にぶつけると炎上するのでゴリラ自身が巻き込まれて焼かれかねない。ではどうするか? 文字通りのフレンドリーファイヤを狙い、柱とか建物を中心にグルグルと回って火炎放射器同士で炙り合わせろ。するとやがて人体に着火し、逃げ回って死ぬ。他のヤツもそうなのでショットガンマンとかもうまく巻き込めると一気に殲滅するといった芸当が可能だ。
→ロケットランチャーズ
人間軍の最終兵器だ。奴らはこれで全てを破壊することに決めた……なりふり構わなくなったわけだ。ロケットランチャー砲はプレイヤーが頼りにしてきたゴリラパンチを遥かに上回る破壊力を持ち、ゴリラに当たると一撃で粉砕されてしまう。そしてこの威力に怯え逃げ惑えば逃げ惑うほどに人間軍は勝利に近づいていき、ゴリラの夢も絶たれることに繋がる。「こんな理不尽、あっていいの?」思わずそんな泣き言をいうかもしれないが、事ここに至って退くことは許されていない。プレイヤーには全てのゴリラの命運が懸かっている。どうにか突破口を探せ。
自分は何度も戦っているうちに距離を取って決断的に走ればロケランは避けられるという事実に気づいた。なまじ処理したいがために焦って中途半端に近づくと、角度とか速度のアレコレからロケラン命中は覆せなくなりゴリラ空中爆散で死ぬ。ロケラン隊を処理するか? あるいは無視するか? どちらかの方向に舵を取り、取ったら最後までブレない鋼の意思が重要だ。自分ならロケランよりショットガン・マシンガンを先に殴って片付ける。
ちなみにロケランを暴れ撃ちさせてもうまい具合に当てるのは難しいのでゴリラ掴みの優先度は低いと自分は思っている。これが「難しい」の難易度モードとかになったら大量虐殺キルのための必須テクニックとかになるのか? それは知らない。
→科学者
こいつが出るような終盤になったらプレイヤーは完全に獣性に呑まれているのでうらなりあおびょうたんごときにどうこうされはしない。こいつらはこれまでゴリラを捕獲するために使ってきた麻酔弾みたいなものを撃ってくるがそんなちゃちな玩具につきあって遊んでやる暇はない。ぶちまけろ。
・解き放たれてゆけ
このゲームにおいては一つの面が8つのステージに分かれており、4つステージを進んだところでディスク1が終わる……どういうことか? つまりA面という前半戦からB面という後半戦へと切り替えるという演出が入っている。このゲームの面はオリジナルのレコードアルバムめいた形式を取っているということだ。イカしたデザインのジャケットを見せてやりたいところだったが、それは買ってゴリラになった人間の特権なのでこの記事では見せない。とどのつまりこのゲームはサウンドとアートに特化しつつアクションの快感を計算し尽くした異色作であり、ゴリラであり、一つの音楽でもある。
この記事の冒頭でも言った気がするが檻に閉じ込められしゴリラの怒り、抑圧された環境は現代人であるプレイヤーと切っても切れない関係にあり、他人事ではない。これは自らの居場所へ帰るゴリラの物語であり、日々理不尽という敵とたたかうプレイヤーの物語でもある。だからこのゲームはフリージャズのBGMでプレイヤーを挑発し、ドラム(人間)を気持ちよく叩かせる。スクリーン越しで起きていることじゃなく、お前がゴリラになるんだと、そう呼びかけてくる。そして怒りのセッションが始まり、コンクリートジャングルは鮮やかな敵の血で染まり、リズムが響き渡る。やがて気づけばプレイヤーはゴリラになっている。獲物を探す。叩く。走る。叩く。小刻みに、途切れなくだ。
4つのアルバムを全て聴き、両腕で奏できったらBonus trackにいけ。そこは全ての救済と新たな曲が響き渡る場所……思わず雄叫びを上げるはずだ。そのシャウトが響き合い、セッションとなるまで自分は何度でも呼びかけるだろう。やがてゴリラになる宿命の者たちよ。立ち上がれ。打ち鳴らせ。
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ドーモ! ドネートは常時受け付けています。 ドネートはときにおやつやお茶代に使われます。