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スリザーリング
実家に帰ったある日のこと、父親が新聞に掲載されているパズルを解いていた。
彼は例に漏れない仕事人間で、移動時間等の妙に無視出来ぬ長さの手持ち無沙汰な時間を過ごす技の一つとして「パズルを嗜む」を会得している。彼が元々頭を使うことが好きだから暇な時間にもパズルをやり始めたのか、何気なく新聞のパズルを解いている内に好きになり技を習得したのかは、知る由もないが。
考えることが好きな僕も興味を唆られたので隣の席に座る父親の手元を覗くと、何やら見慣れぬパズルが掲載されていた。そのパズルは、名をスリザーリングといった。
スリザーリングのルールを見た時の僕の理解は、マインスイーパーの線版やん!であった。
格子状に配置された点の中に数字が書かれており、その数字が各格子の何辺を線が通るかを表している。その条件を満たすように繋ぎ合わせてゆき、一つの円環となる解が正解というルールである。
覗き見した僕は、父親と一緒になって問題を解き独特な楽しさに心を躍らせたので、早速自分で問題を作ってみることにした。
まず小さなサイズの具体的円環を一つ作り数字の分布等の雰囲気を掴んだ。次にそもそも面白いパズルとはどういうものなのかを改めて考えた。最後にどれぐらいの数字がどういう配置で書かれているとどれぐらいのパターン数に絞れるのかを局所的な小さな具体例で考えた。
上記の基礎事項を約1時間確認した後に、3時間程度を費やし作成したスリザーリングが画像の本問である。自らの一生で遭遇した二つ目のスリザーリングが本問であるので、至らぬ点があるやもしれぬが是非解いてみて欲しい。
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因みにベータテスターとなってくれた父親は、解き切った後に「最初が少し難しいと思うよ。」と述べていた。
どうやら自分が思い付いたオープニングギミックを詰め込み過ぎたようである。パズル作家もまた、欲望との戦いである。自分のやりたいことをやり過ぎると誰もが解ける問題では無くなり面白いと思って貰えなくなってしまうのであるから。
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