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最高のウッカリ誤字と失われる笑い

 天然のウッカリは、面白いし目を奪われる。
 昨今のコンテンツを見るに、きっと僕だけではないはず。

 態とやるのんじゃあない。
 真剣に取り組んでいる最中で出てしまうウッカリミス。本気だからこそ生まれる珍play。必死で頑張る瞬間に誕生する他者の想像を超越する小さなミラクル。
 それは漫才やコントのような考え尽くされた笑いの対極に位置する笑いで、努力だけで量産出来る代物ではない。
 一期一会だからこそ魅力的に感じる。勿論具体例を出すと各々好みは分かれるとは思うが。

 そういう天然ウッカリの一種に、誤字脱字が存在する。
 単品で笑ってしまう作品から前後の文脈込みでニコっとなる事例まで程度は様々であるが、最近はフリック入力やカスタマイズ予測変換の所為で、数自体は増加傾向にあると思われる。

 僕自身も、疲労感に包まれながら必死に書き上げたレポートで、「品」という漢字を上2個下1個にしていて疑問符を添えられた経験がある。
 発見した時は自分のことながらニヤケてしまった。しかし何故そんなことになってしまったのかは、今も尚謎である。


 お陰様で結構な奇人変人と楽しい時間を過ごしてこられた僕にも当然『人生で出会った中で一番好きな誤字』が存在する。The best GOJI.
 僕が初めて本誤字を見つけた時、誤字の主に根差すセンスに震えつつ笑うと同時に物悲しさを覚えてしまった。

 昨今は様々な領域で電子化や機械化が進んでいる。
 僕自身も大学入学後はパソコンやスマホでの作業が劇的に増加し、紙に何かを書く機会が激減していることは痛感していた。
 これから先、時代が更なるデジタル化に突入してゆくと、紙に知らぬ間に新たな文字を生成してしまうなどの笑いが新しく誕生する機会がドンドンと減少してゆく。
 そしてもっと時代が進むと、デジタル化以前の世界の様子を過去の記憶としても保持していない人間や大衆が増えてゆき、そもそも話が伝わらなくなってゆく。

 今この瞬間、大衆が当たり前と感じるが故に取り沙汰すらしない価値観や知識も、ゆくゆくは古くなりそして消えてしまう。
 どんな事物も、常に期間限定品なのである。
 今しか出会えない、その時代ならではの笑いは、存在する内に先を見据えた活動をしつつ目一杯楽しみ尽くさねばならない。

 何事も無くなってしまってから後悔するのでは遅い。
 そのことを努努忘れてはならない。


 最後にオマケとして、僕が『人生で出会った中で一番好きな誤字』を紹介する。
 なんと現物を収めた写真がある為、詳細説明と共に添付しておくが、誤字の主の名誉の為に一応有料にしておく。
 そのThe best GOJIがコチラ。

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