戯言「運も実力の内」

「運も実力の内」
 本フレーズは、運一辺倒で実力や中身が皆無な大衆の拠所か、真に実力を有する人間の謙遜か、意図は多種多様ながらも比較的耳にする。

 しかし、明確に否定しておく。
『運は実力の内ではない』
 運は運、実力は実力である。
 運という要素は個体の強みには成り得るが、個体の実力とは無関係である。


 そもそも運とは『事象発生時点の自己にとっての系外要因が結果へ及ぼす不可視の作用』のことである。
 従って、自らの努力で運を向上させる事は出来ない。

 努力によって叶うのは、知識の増強や思考力の向上等である。
 そしてそれらの努力を重ねることで、系外要因や不可視の作用を減らすことが出来る。

『努力によって実力を向上させて運の影響を減らす』
 これが努力と運と実力の正しい関係性である。


 三者の関係性を誤解している大衆は星の数程存在している。
 そして誤解しているが故に、本質的に意味の無い言動を選択したり平然と他者に心無い言葉を投げ掛けたり詐欺師に鴨にされたりするのである。
 本項の戯言は、悲惨な大衆社会に一役買っている為、是非気を付けて欲しい。

イタチ