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臨床家としての私は。

言語聴覚士となって20年目。
独立して6年目を迎えている。
法人代表となった今、徐々に現場での仕事が減っている。

まだ勤めていた頃、経営者の先輩方が「もう現場はほとんど行かないよ」と言っていたのをよく聞いていた。
その時は「そんなの楽しくないんじゃないのかな?」と思っていたし、逆に経営者でも「現場がまだ多くてね」と言ってる人には、「どっちもやってすごいなぁ」とも思っていた。

そうして今の自分を見てみると、まさに前者の「もう現場にはほとんど行かないよ」という状態になっている。
私自身は、決して不器用な方でもないし、要領が悪いわけではないと思うけれど、それでもやっぱり現場を減らさないと仕事が回らないな、と思えるので、これは私にとっては最善の状態なんだろう、と思っている。

けれど本当は臨床が好きだ。
だから、やりたくてウズウズすることも多い。

言語聴覚士というただでさえ少ない職種で、在宅リハ歴が18年ともなると、全国探しても、そんなに多くない。さらに小児で、さらに嚥下も、となると見られる人が少ない。
それも知っている。
だから困っている人が多いのも知っているし、見てほしいと言う相談も本当に多い。さらに、全国のセラピストからも「教えてほしいです」と言う問い合わせは非常に多い。どうにかしなきゃと日々悩んでいる。

思い返せば私が独立する時のこと、市内のセラピストの会合の中で保険外のみとなることを伝えると、あるセラピストからは「あの子達を見捨てるんですか?」と言われたこともある。

それでも現場を減らすことに決めたのはいろんな理由がある。

その中でも一番大きな理由。それは、私が1人で個別対応するには限界があるからだ。

そして限界を感じた私が独立直後に始めたのが顧問事業。1人で1名ずつサポートするより、1人でその施設の数十名を一気にサポートできたら、もっとできることが増えるはず。そう思ったからだ。

けどまだまだ足りないと思った。

そして単純で欲張りな私は「じゃあ私と同じような働きかたができる人を増やせばいいんだ。」そう考えるようになり、オンラインでの働きかた塾を開講することにした。

私のような働きかたができる医療者が増えれば、間接的だけれどもサポートできる人が何十倍・何百倍にも膨らむはず。

そんな欲張りな私から生まれた事業。
良いか悪いかはわからない。どんな社会を作れるものなのかも、正直わからない。

けれど、巡りに巡って、誰かが助かる。社会が変わる。それが当たり前になる。

そんな、夢をつかまえに行ったって、いいじゃないか。
そして私もまた目の前にいる子供の「おいしい」を支える。

いろんな事業が巡りに巡っていく。そんな社会を楽しく作ろうじゃないか。

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