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本当にやりたいことは、後回し。

独立して6年目になる。
独立したいな、と思う人の相談もたくさん聞いてきた。

独立するってどんなイメージだろう?
大変そうだな、とか、難しそうだな、というのはあるだろうけれど、もう少しポジティブなイメージとして

時間の自由がある
上司がいない
好きなことを仕事にできる

そういうのもよく聞く。
でもはっきり言っておくと、それは全くの誤解だ。

時間に自由はない。独立したら24時間365日仕事。寝ても覚めても、仕事。夢にもでてくる。休む暇なんてない。
確かにその時間の組み立ては自由かもしれない。けれど「空き時間がある」ということは「仕事がない」ということだ。
その時点でその事業は停止を意味する。
だから、自由があってはいけない。それが独立だ。

独立したら上司はいない。それを気が楽だと思うかもしれない。けれど上司がいてくれたらなんていいんだろうと思うはず。
だって、責任は取ってくれる、指示は出してくれる。
独立したら、今日の24時間の間に何をするか、誰も指示してくれない。全て自分で組み立てないといけない。そしてその間に何かトラブルがあったとしても誰も変わってはくれない。
全責任が自分の背中にのしかかってくる。
だから、上司のありがたみがわかるかもしれない。それが独立だ。

そして、好きなことを仕事にできる。
実はこれも大きな誤解だ。
好きなことだけをしていくことはできない。
仕事は自分のやりたいことをするものではないからだ。
では仕事とは何か?

相手が求めていることをする。ひたすらする。
それが仕事だ。

私は全国各地の重症児デイサービスのオンライン顧問をしている。
もちろん大好きでやっている。好きなことを仕事にできていると言えば間違っていない。けれど、施設の望むことが何か?そこに応えられなければ、契約を更新し続けてはもらえない。

私が独立した時のこと、ありがたいことにスタート前から複数の施設の顧問契約が決まっており、生活は困らないことが保証された状態だった。

その契約先の中でも、最も最初に決めてくれた施設の管理者から、あることを言われた。

独立しても3年くらいは芽が出ないだろうから。そのくらいサポートするから、安心して、頑張れ。

その言葉を受け、安心すると同時に、身が引き締まる思いだった

3年後、契約解消になっても困らないように、私は事業を大きくしよう。

そう決意した。
そして始まった顧問としての仕事。
正直に言う。一番やりたかったことができなかった。もちろん仕事は楽しかった。顧問として関わる中で、食事介助に困るスタッフが安心する様子を見るのは、私に取っては本当にやりがいを感じるものだった。

けれど、一番やりたかったことには少し遠かった。

でもやった。それが施設のニーズだったからだ。ひたすら施設のニーズを探し、そこに応えるように動いた。実際に貢献できたかはわからない。けれど、一定の結果は残せていたように思う。

そうして3年が経つ頃、
「そろそろ契約終了になっても、大丈夫かもしれない。」と言う自信が持てるまでになってきた。

ありがたいことにそれからも仕事は続き、5年が過ぎたとき管理者と契約更新の話になった。

5年かかった。
一番やりたかった内容に繋がった。

1つずつ自分のやりたいことには目もくれず、ひたすら施設のニーズを模索した結果だと思っている。

だから好きなことだけを仕事にできるのが独立なわけではない。
むしろ好きなことは我慢して、相手の求めることをひたすら考えるのが仕事になる。

だから独立すると
自由な時間はなく
上司も同僚もいないので不安で
好きなことなんてできない

でもね、だからこそ、日々が楽しい。
ただひたすらに充実している。

この働き方が、何より好きだ。

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