手塚治虫『アドルフに告ぐ』読了
手塚治虫『アドルフに告ぐ』
全5巻読了。
アドルフ・ヒトラーの出生にまつわるミステリーというか、サスペンスというか…
「手塚後期の傑作」と言われていて、ずーっと読みたかった。やっと読み終われた。
“やっぱりこの人は、悲劇が描きたいんだな”と思った。
読んでスッキリ爽快とかじゃなくて、登場人物ひとりひとりにのしかかる運命の重さに、読者は胸が切なくなり、ため息が出る。そういう話。
読み終わったばかりで、今は冷静に作品を語ることが出来ないけど、たしかに、傑作だと思います。
手塚作品の長編の中でも、かなりの出来だと思う。
※
ここからは蛇足になります。
かつて、宮崎駿は、
手塚作品の悲劇的な展開について、手塚治虫本人が、
「その方がストーリーが盛り上がる」と言ったというのを伝え聞いて、(かつては好きだったが)激しく嫌悪したと聞きます。
でも、この、『アドルフに告ぐ』という作品を読むと、本当に、手塚治虫は、悲劇が好きというか、
“ストーリーを至上のもの”と掲げて、キャラクターに一切の私情を挟まないで作品を描いてたことが伝わってきます。
だから、「盛り上がる」というのは、言い方が悪かっただけで、信念を持って漫画を描いてたと思うので、そこは、宮崎駿も、手塚治虫を、許してあげて欲しいな。と思いました。
でないと、今度はおれが、宮崎駿を許せなくなってしまうので… この作品で語られているように、負の連鎖は何も生まないと思うので… 終わります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?