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つまみ食い上等 その2 フロリクス8から来た友人 フィリップ・K ・ディック

SF小説をほとんど読んだことがない。子供の頃からでも10冊くらいかも。マンガやアニメだとビジュアルでイメージが見られるのでかえって楽しんで来たと思うのだけど。映画もさほど見ていない。

なので名高いディックの小説を読むのはこれが初めて。
Our Friends from Frolix 8
1970年作 大森望訳 創元SF文庫 1992年 初版。
https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000012245/

英語の題を書いていて気づいたけど「Friends」って複数なんだ。たしかに地球に来たのは単数(1人と言っていいのか、一体というか)だけど、そういえばまだ宇宙空間にほかの「友人たち」が待機しているらしかった。

この小説は題のように、宇宙に行った人が宇宙から「友人」を連れて地球に帰ってくるんだけど、、、という話で、ディストピアな状態の地球をなんとかしようとする人たちや、なにかと翻弄される主人公たちが登場して、ドラマもいろいろ起こるんだけど、読んでいてワクワクするのは、宇宙に行った人が帰ってくるらしい、なんか連れてくるらしい、というネタを引っ張るからだと思う。けっこう最後の方まで帰還者&宇宙人、出てこないし。ラスボス登場!まで、あれこれ事件を入れて飽きさせず、引っ張り方がうまい。見世物小屋的な面白さがあるとも口上がうまいとも言える。

日本語版ウィキペディアに立項されている。

ウィキペディアに載っていた、この本についての英語のページ。表紙のギャラリーも面白い。日本語訳もふくめて各国の翻訳版の表紙もあり。

日本語版のカバーの絵、ちょっと三尾公三みたい(有名なのは写真週刊誌『FOCUS』の表紙、エアブラシで描いてある)と思ったら違った。
※三尾公三の絵で国立美術館所蔵のものはこちらで見られる
https://search.artmuseums.go.jp/records.php?sakuhin=156494

この本のカバーは松林富久治という人の絵。
こちらに少し紹介があった。SF読者で、本格的なデザインの勉強を経て、工業デザイナーを目指していた人。「後に、創元推理文庫やハヤカワ文庫の表紙デザインを多数手がけたが、仕事の条件面で折り合わずに、最近では止めているようだ」とある。
https://bookreviewonline.net/sonota/sfcon_chap6_4_2.htm


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