雑誌『庭NIWA』のコラム『2100年の日本庭園へ』。vol.255では新潟県で「伝える」「残す」活動をしている方へのインタビュー。
■コラム『2100年の日本庭園へ』が掲載されている雑誌『庭NIWA』vol.255が発売中
創刊40周年を迎えた日本の「庭」の専門誌『庭NIWA』。2023年から続いている庭園情報サイト《おにわさん》編集者:イトウによるコラム『2100年の日本庭園へ』。2100年=次の次の世代に伝えるために、「今の自分が次の世代になにができるか」みたいな意味を込めています。
その前段に関しては以下のnoteをお読みください。
前回のvol.254、日本各地に広がる「坪庭展」に関わる人々へのインタビューに関するnoteはこちら。
■4月発売 vol.255でフォーカスしたのは『新潟県』
すでに発売から2ヶ月経ってしまい紹介が遅くなり恐縮ですが、、、vol.255では「新潟県」の庭園パーソンにインタビュー。
近年、庭園ファンのあいだでは(きっとおそらく、)評価が高くなってきている「新潟の庭園」。実は、過去「おにわさん」のInstagramで最も「いいね」数が多い庭園も新潟県内の庭園でした。当サイトでもたくさん紹介していますので、下記よりご覧ください。
中の人もメディア等に出させていただく時は柏崎市の『貞観園』の名をよく挙げさせていただきます。
でも2018年に自分が訪れた段階では「公式HPしか情報が無かった」。しかもマジでこれどうやって行ったらいいんだ状態。(※公式HPも無い庭園も多いので、HPがあるだけ大切にされているとも言えますが)
自分で言うのもなんですが、2018年『おにわさん』での絶賛から少しずつ火が付いていったのではという自負はある。(肝心のおにわさんに火が付ききってないので疑問を持たれそうですが…!)
でも、その「新潟の庭園の価値・可能性」に気づいてアクションをし始めていたのはやはり「地域の方」なのです。
①:『庭屋一如研究会』邸園文化伝道師:藤井哲郎さん
新潟県内を中心に、これまで450回以上もの庭園ツアーや講座をされてきた藤井さん。「全国的な有名人」ではないかもしれませんが、これだけの回数、一般の方に向けて「庭園案内」をされてきている人は稀有な存在です。(その点、「おにわさん」はまだ足元にも及びません…)
「おにわさん」にも早くから好意的にコンタクトを取ってくれた藤井さん。京都や首都圏と比べて決してメジャーではない『新潟の庭園』を伝える活動をはじめた経緯などについて紹介しています。
藤井さんの講座にはお庭や建築の専門家の方も参加されているそう。「庭園と建築の関係」を学びたい方はぜひ庭屋一如研究会の活動をチェックされてみてください。公式Facebookは下記。
https://www.facebook.com/teiokuichinyo/
②:『CAFE HAYASHI/林冨永邸』:酒井里香さん、酒井宏明さん
▼おにわさんでの紹介
繰り返しになってしまいますが、新潟には素晴らしい庭園がたくさんある。その中で、場を残し維持し続ける=「運営面」においてもそれぞれ強み/弱みを持っていると感じています。
たとえば文化施設として入場料で一般公開をされている施設が中心ながら、Snow Peakとコラボした『五十嵐邸ガーデン』のような施設もある。
その中で、今回もう一者紹介させていただいたのは、上越市指定文化財の『林冨永邸』をカフェとして利活用されている酒井里香さん、酒井宏明さんのお二人にお話を伺いました。
広い新潟県の中で今回「上越」を紹介したいと思ったのにも理由があり…
・新潟県の国指定文化財クラスのお屋敷で言うと、どちらかと言えば下越(新潟市/新発田市)方面が多い。なので、まだ行ったことがない度合いが強そうなエリアが良いな…と思った点。
・また、2024年1月の能登半島地震。新潟県内の被害も様々だったようですが(距離のある新潟市内でも被害が大きいところは大きい)、上越市は比較的震度も大きかったというところで、その様子を伺いたかったのもその一つ。
この『林冨永邸』は、カフェとして人気ということ以外にも『地域に根ざしてこの文化財を後世に繋げる』ための工夫や施策にもチャレンジされています。そんなお話をインタビューでは触れていますので、ぜひご覧ください。
■何度でも言いたい:47都道府県、それぞれに素晴らしい「庭園文化」がある
最近ちょっと興奮したのは、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーが日本庭園(※アメリカの)で写真を撮って載せていた点。
いやぁ。かねてから言葉にしていることですが、根本的に「日本庭園って、映える」なぁって思うんですよね。
それは決して京都や日本三名園だけではない。
47都道府県、いや更に言えば市町村レベルで「その地域、地域に素敵な庭園がある」と、お庭を巡れば巡るほど思います。そしてきっと、それは上のShofuso Japanese Gardenのように「世界」にも広がっている…。
ビートルズを全曲聴いて、ビートルズを極める、それもまた良し。
だけど、ジョアン・ジルベルトなお庭、ダフト・パンクなお庭、スクリレックスなお庭、マネスキンなお庭、プッシー・ライオットなお庭、そしてサカナクションなお庭、YOASOBIなお庭…『世界にはもっともっと素敵な庭園があるはず』を追求していくのはもっと楽しいと思いませんか?
地域創生的な分野で「シビック・プライド」という言葉があるけれど、「お庭」においてもそれがもっと育っていけばいいなと思うし――
それは耳にタコができるぐらい「京都の庭園と比べたらこんなお庭大したことないでしょう」というセリフを聞いてきたからで――
勿論それが謙遜だとしても「言霊」は後々影響してくる。
それをもっと「京都に負けてないでしょう!?」と言って地域に愛されれば、もっとその場も磨かれていくんじゃないか。
そんな「日本庭園全体の底上げ」に繋がるような何かが出来ていけたら、そんな風に思います。