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「俺、バンに乗り換えた!かっこいいやろ」という話題は無茶振りだという説

去年の暮にバンタイプの軽自動車に乗り換えた。

ホンダのN-VAN。

これ、自分的にはけっこう嬉しかった。

なぜなら往年のマニュアルトランスミッションを搭載した車がN-VANのバリエーションには用意されている。しかもそれは6段変速ときている。滅多に無いヤツ。

660ccエンジンは軽にとってはお決まりだけど、それはダブルオーバーヘッドカムシャフト DOHC。今ではDOHCがあたりまえだからいちいちエンブレムにDOHCの文字書いていないけど、そうした往年スポーツ車の走り装置に商用車の皮をかぶせた変態な車、かもしれないところがとてもいい。

普通は宅配屋さん、電気屋さんなどがお仕事用に使うだろうバンを普段使いの家庭用として前車から乗り換えた。

マニュアル車をどうしてももう1回所有してみたかった。

走らせるたびにクラッチを踏み、低いギヤーで決して車重の軽くないN-VANを高いエンジン回転数まで引っ張り上げながら運転しするのは「運転士」になった気分が漂う。悦にる。

『他の人も案外こう思っていのではないかな?』

そんな仮説を想像をしていたら、思いのほか他の人の関心を呼ばないことが最近見えてきた。

知人にN-VANをお見せしながら「これね、今ではもう珍しい部類のマニュアルトランスミッション付の車でね・・・」と目を輝かせて説明するんだけど、

そんな話題を振られた相手の顔の表情が・・・無い。

相手は「ふーん・・・」とは言うけど、それに続く次の言葉が無い。

しかたなくN-VANに乗り換えましたの話題は断念。

しかしよく考えるとなんせ商用車なんだからそのうんちくを語ろうとしても無理なんだろう。そのように仮説を考え直してみた。

それもそうだろう、

週に何度も宅配便配達の方々が軽自動車のバンに荷物積んで玄関の前に来てくれるけど、荷物受け取るついでに「わ!このバン、いいですねぇ」という会話を私は耳にしたことがない。

商用車のバンというカテゴリーはかっこいいとかステキ♡とかいう反応が期待できないお道具のひとつなのかもしれない。

ホームセンターで「このトンカチ!スゲーかっこいい」と言ってトンカチ買い替える人が多分少ないようにバンを眺めてかっこいいから買い替えようとする人はきっと少数派。

そういう私自身もN-VANに乗り換えるまで、まさか自分で商用車を自家用の、しかも普段使いのマイカーとして持つことなんてこれっぽっちも考えていなかった。

マイカーとして買う車はたとえ軽でも乗用車でしょ。だって普段は人が乗るんだから。そう信じ込んでいた。

でもあるときふと気がついた。

人も乗るけど、後部座席を倒して荷物載せて走ることが頻繁にあることを。
そんな発想もあったりして「バンもいいかな!?」って思い始めたのが去年の春ごろ。

もう前車も乗ってから10年。ちょっとお金かけて整備してまた次の10年乗るか、新車に乗り換えるか、どうせ乗り換えるならまたマニュアル車にしたい!

N-VANのマニュアル車に乗り換えるとしたらどうなるだろう?

N-VANへの想いは募るばかり。

一番心配していたのは妻の反対。

でも幸運にも「商用車なんて嫌です」と以前言っていた妻が試乗で「まあ、人生最後の車なら好きなのにしたら」と言ってくれたもんで、即断即決N-VANに決めた。

自己満足で乗り始めた商用車のバンだから、それだけで十分のはずだった。

マニュアルトランスミッションいじくるのも最高!

10年以上もご無沙汰だったクラッチ操作もカラダがまだ覚えていてくれた!

嬉しかったから誰かに話したくなった。やめときゃよかった。

なぜなら新車を見せても誰一人関心を寄せない・・・それが現実。

「これ、今回買い替えたN-VANていう、ま、バンなんだけどね」という私の言葉。

それを聞いた人はきっと心の中で、
『このはなし、どう返事すりゃええんやろ?』

みんなそう思って、『困った話題振られたもんやなぁ』とかなんでしょうねぇ~。


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