道ばたの雑草で生け花しませんか
「雑草」とは、邪魔な草という意味だと思いますが、どの雑草にも名前がちゃんとあり、目立たないかもしれないけど花を咲かせ、花言葉もある「野草」です。
道ばたに茂っている雑草は、何だか汚いと思われているかもしれませんが、草刈して捨てる前に、生け花にしてみましょう。思う以上に綺麗な生け花ができます。コロナ自粛はやや解けましたがまだ人ごみの多いところが気になる方に、朝夕の近所を散歩しながら、道ばたの「野草」を見つけ、日替わり生け花にしてみませんか。
べつに大きな花が咲いていなくても、枯れていても、虫に葉を食べられていても、それらを組み合わせると、自然な野の風景になってしまうから、あ~ら不思議!!
「雑草で生け花作ってみましょう!」は、小学校の総合的な学習の時間という授業用に続けてきました。綺麗な生け花だけでなく、植物の種類を図鑑で調べ、外来種なのか、日本在来のものか、食べられる・薬になるなどの特徴も知って、雑草も生物多様性を豊かにしていると分かって欲しいから。
今年もしかしたらその授業は感染防止のために出来なくなるかもしれませんので、今まで撮った写真をつなぎ合わせて、多くの方々の「他の人に会わない単独のお散歩」で「雑草で生け花しませんか!」をまのめてみました。
雑草を集めるところ
ずばり、道ばたです。
なんの変哲もない、こんな場所に生えている「草」を眺めて、創造力を使って「こんな感じにできるかな?」と思い、10種類各2ほんぐらい少し長めに切るか折って家に持って帰りましょう。
花にこだわらなくても綺麗な生け花ができます。
じつは葉や実に見えていたものが「これがこの草の花だったのか!」って図鑑で調べると後で気づくでしょう。緑色ん花や、花びらの無い花、やたら小さくて見えない花も野草では多いのです。
道ばたん植え込みの下草も絶好の収穫場です。
生け花の足元を飾る蔓に小さな花をつける植物、たとえばカタバミなどがここで見つかります。
雑草生け花の台は、オアシス
持って帰った雑草(野草)は、改めて見て構図を考えて使うものを選びます。
生け花の基本は中心に据える「真」になる背の高い植物の周りに「そえ」と「控え」というやや低い植物を配置して、正面になる方向を決め、左右非対称で植物の形を活かして美しく配置するそうです。使う植物は数本ぐらい、あまり多くにならないようにしましょう。
本格式生け花では剣山を使いますが、雑草は細いものもあるために剣山には刺さり難いです。そのために「園芸用吸水スポンジ」というものを使うのがおすすめです。
これは100均などでも買えます。「オアシス」という商品名が有名みたいです。そのオアシスを適当な大きさ(上の写真を参考にしてください)水に30分ぐらいつけて、よく水を浸み込ませたものを皿などに載せ、細い草の軸の場合はつまようじをオアシスに突き立てて穴を明け、そこに植物の軸を挿しこむとうまく生けられます。
どうぜなら、雑草らしい野草で生けてみてください
雑草生け花は、つくってみたら思う以上に綺麗だな!なんです。
だから「美しい花の雑草はどれかな」ではなくて、いかにも雑草、という風情の草や木が趣きが出ます。
これはイタドリという日本在来種の大きくなる雑草です。白い花が咲いています。若い芽は食べられるので日本では身近な野草ですが、これが外国に渡り繁茂して「ジャパニーズデビル(日本の悪魔)」と呼ばれているいわくつきです。でも白い花のある部分は生けると美しく映えます。
これはヨウシュヤマゴボウ。
熟した実で子供が遊び、紫色汁が服に着くと・・・シミになってたいへんなアレです。アメリカ原産。毒も持ってます。しかし茎は鮮やかに明るい紫色、しかも実はブドウのようで生け花アクセントになります。
アザミの仲間ですが、これはヨーロッパ渡来の、しかし名前はアメリカオニアザミ。立派な花が生け花の主役になります。スゴイ!トゲトゲなので採集と生けるときに厚めのゴム手袋必須です。ちなみに小学生の男の子はこれが好きみたい。
採る植物は下の写真のようにみすぼらしい姿、枯葉、落ちていたススキの穂でも作品になってしまいます。
春と夏は花のある作品で、それなり豪華。秋と冬はわびさびの世界ができます。
上の写真はサンジソウ。午後3時になると花を咲かせる面白いヤツ。まあだいたい3時なのですが。花は小さなピンク色です。中国原産ですが、日本の生け花にはこんな奥ゆかしい花がけっこういいかも。
道ばたの敷石割れ目に出るヒナキキョウソウ。
花の咲く前はほんと単なる雑草にしか見えませんが、長く立ち上がった茎の先に咲く紫色の一輪の花は、これもやはり奥ゆかしいです。でも自由の国アメリカ産。
これはコバンソウといって、イネ科の植物です。穂が写真のように小判?みたいな形で垂れ下がり、品が良くてしかもお金貯まるような気がして愉快です。雑草ですが、都会のお花屋さんで売っていたとか。ヨーロッパ産。
カヤツリグサ。日本在来種。写真は自分ちの庭に生えているものです。これは丈夫な草なのでハサミで切らないと手で引きちぎれないかも。生け花では「そえ」や「控え」に使ってみたらと思います。
このモジャモジャしたのはグンバイナズナです。ナズナはペンペン草ともいい、振り回すと実がペンペンと音を立てますが、グンバイナズナは小さな実なのであまりペンペン鳴りません。生け花の下の方を飾るのにいいかな。
ご存じネコジャラシ。正式名称はエノコログサ。これ、粟の原種だって知ってましたか?生け花の「そえ」や「控え」にどうぞ。
ネジバナ、またの名をモジズリです。花がねじねじしているのですね。よく見ると右巻きも左巻きのヤツも、中にはぜんぜんねじれていないものもあります。下の方を飾る花にどうでしょうか。
ツタバウンランという蔓性植物です。ちっちゃい花が着いているので、生けた花の足元を飾るのにふさわしいかと。
たくさん載せましたが、道ばたの雑草はもっともっとたくさんの種類が生えています。まずは気に入った雑草(野草)を採ってきて、生けて、その作品を家に飾ってから図鑑やGoogle レンズを使って名前を調べてみるといいと思います。
そうやって、雑草(野草)に親しむ大人が増えてくれればなぁ、と期待してます。